荒木悠展:LE SOUVENIR DU JAPON ニッポンノミヤゲ @ 資生堂ギャラリー

 

荒木悠展:LE SOUVENIR DU JAPON ニッポンノミヤゲ
2019年4月3日(水)-6月23日(日)
資生堂ギャラリー
http://www.shiseidogroup.jp/gallery/
開館時間:11:00-19:00(日曜、祝日は18:00まで)
休館日:月 ※月曜が祝祭日にあたる場合も休館

 

資生堂ギャラリーでは、世界各地での滞在制作を通じて、文化の伝播と誤訳、その過程で生じる差異や類似などに着目した映像作品を制作する映像作家、荒木悠の個展を開催する。

荒木悠(1985年山形県生まれ)は、思春期をアメリカ合衆国南部の地方都市ナッシュビルで過ごし、2007年にワシントン大学サム・フォックス視覚芸術学部美術学科彫刻専攻を卒業。帰国後に東京藝術大学大学院に入り、2010年に同大学院映像研究科メディア映像専攻修士課程を修了している。東京に拠点を置きつつも、2013年にスペイン・サンタンデールのボティン財団主催のタシタ・ディーン・ワークショップに参加、2017-8年にはゲスト・レジデントとして、光州の国立アジア文化殿堂、アムステルダムのライクスアカデミーに滞在。近年、数々の展覧会や映画祭で作品を発表しており、2016年には横浜美術館のアートギャラリー1にて個展『複製神殿』を開催。そのほか、岡山芸術交流2016、『The Way Things Do』(ジョアン・ミロ財団現代美術研究センター、2017)、国立国際美術館の『視覚芸術百態:19のテーマによる196の作品』(2018)などに参加。第47回ロッテルダム国際映画祭では、ダニエル・ジャコビーとの共作「マウンテン・プレイン・マウンテン」でタイガー・アワードを受賞。また、ピンチューク・アートセンター主催のフューチャージェネレーション・アートプライズ2019の最終候補に選ばれ、現在ピンチューク・アートセンターで開かれている展覧会に出品。同展はヴェネツィア・ビエンナーレ会期中に関連展覧会としてヴェネツィアに巡回する。

本展に際し、荒木は急速な近代化、西洋化を進めていた明治期に日本を訪れ、紀行文を残したフランス人、ピエール・ロティの著作『秋の日本』(1889)を取り上げ、同書の中の「江戸の舞踏会」の章をベースとした映像作品を発表する。ロティは明治18年に鹿鳴館で催された舞踏会に訪れ、その様子を見聞録に記した。その「江戸の舞踏会」に着想を得て、芥川龍之介はロティのダンスの相手をした17歳の日本人女性を主人公とした短編小説『舞踏会』を1920年に発表している。映像では、このふたつを原作として東洋と西洋の「まなざし」がワルツを軸に同じ時空間のなかで交差する情景をつくりだす。そのほか、『秋の日本』に収録されている「聖なる都・京都」「日光霊山」「江戸」の章でロティが記録した場所を荒木自身が撮影した映像作品も合わせて発表する。

 


Bivalvia: Act I (2019) installation view, PinchukArtCentre, Kyiv, Ukraine

Copyrighted Image