愛知県美術館リニューアル・オープン記念 全館コレクション企画『アイチアートクロニクル1919-2019』@ 愛知県美術館

 

愛知県美術館リニューアル・オープン記念 全館コレクション企画
アイチアートクロニクル1919-2019
2019年4月2日(火)-6月23日(日)
愛知県美術館(愛知芸術文化センター10階)
https://www-art.aac.pref.aichi.jp/
開館時間:10:00-18:00(金曜は20:00まで)
休館日:月(ただし4/29、5/6は開館)、5/7

 

愛知県美術館では、リニューアル・オープンを記念し、愛知における作家の自主的なグループ展の先駆けとなった洋画グループ「愛美社」による展覧会の第1回展が開かれた1919年を起点に、愛知の前衛的なアートシーンを揺り動かしてきたムーブメントや事件をめぐる企画展『アイチアートクロニクル1919-2019』を開催する。

本展の起点となる1919年は、岸田劉生を中心とした東京の洋画グループ「草土社」に触発されて、大沢鉦一郎を中心とする愛知在住の10代20代の美術家が洋画グループ「愛美社」を立ち上げ、その第1回展を開催する。以来、鬼頭鍋三郎が率いた「サンサシオン」、「緑ヶ丘中央洋画研究所」、「フォーヴ美術協会」、「美術新選手」といった洋画グループが次々と誕生した。1930年代に入ると、詩人・山中散生と画家・下郷羊雄がいち早く海外の動向の紹介をはじめ、1937年に美術評論家の瀧口修造と共同で『海外超現実主義作品展』を開催。同展に触発された若い美術家が「ナゴヤアバンガルドクラブ」を結成する。

 


大沢鉦一郎「大曽根風景」1919年 油彩、キャンバス 愛知県美術館

 

戦時色が強くなる1940年代には、前衛的な表現が弾圧、あるいは自粛されるなか、画材の配給制も敷かれ、多くの美術家たちが体制への協力を余儀なくされるが、いわゆる「戦争画」の展覧会は盛んに開催され、多くの観客で賑わった。この期間における表現はいずれも1945年の度重なる空襲により失われたことにより、現在、その具体的な検証は困難な状況を抱えている。敗戦後わずか一年足らずで「中部日本美術協会」が発足し、同会の活動は1955年の愛知県文化会館美術館での開館記念展まで続いた。また、同会の日本画部は第3回展以降に出品規定から画材の制限を外したため、戦前のシュルレアリスムの流れが加わり、抽象表現を含めた前衛的な傾向が強まっていく。

画壇から個人へと先鋭的な美術の活動の場が移っていくなかで、1960年代、1970年代にはゼロ次元やぷろだくしょん我Sは屋外で前衛的な活動を展開。1980年代、1990年代にはギャラリーが海外の美術動向を紹介し、コレクターがその動きに敏感に反応するなど、現代美術シーンが活発となる。2000年代に入ると、美術家たちが自主的に運営するアーティスト・ラン・スペースが、次々と誕生すると同時に、行政主導の公募展や地域のまちづくりと連動したアート・プロジェクトが増え、2010年にあいちトリエンナーレがはじまる。

本展では、全館を利用して、愛知県美術館、名古屋市美術館、豊田市美術館をはじめとする地域のコレクションを通じて、100年のあいだに展開した愛知のアートの渦巻くような熱量を紹介する。

 


村瀬恭子「Watering Place」2008年 油彩・色鉛筆、綿布 豊田市美術館

 

出品作家
青田真也、秋吉風人、浅井忠、あさいますお、浅野弥衛、味岡伸太郎、有馬かおる、安藤邦衛、安藤正子、安藤幹衛、猪飼重明、イケムラレイコ、市野長之介、伊藤髙義、伊藤利彦、伊藤敏博、伊藤廉、稲葉桂、今村文、岩田信市、魚津良吉、臼井薫、大﨑のぶゆき、大沢海蔵、大沢鉦一郎、太田三郎、大塚泰子、岡田徹、荻須高徳、小栗沙弥子、尾沢辰夫、加藤靑山、加藤静児、加藤延三、加藤マンヤ、川口弘太郎、河本五郎、岸田劉生、岸本清子、北川民次、北脇昇、鬼頭甕二郎、鬼頭健吾、鬼頭鍋三郎、木村充伯、河野通勢、久野真、久野利博、熊谷守一、倉地比沙支、栗本百合子、栗木義夫、黒田清輝、鯉江良二、河野次郎、小杉滋樹、後藤敬一郎、小林耕平、小林孝亘、斉と公平太、坂井範一、坂本夏子、佐藤克久、佐分眞、沢居曜子、設楽知昭、島田卓二、下郷羊雄、庄司達、白木正一、杉戸洋、杉本健吉、鈴木不知、清野祥一、関智生、ゼロ次元、染谷亜里可、竹田大助、田島二男、田島秀彦、辰野登恵子、東郷青児、東松照明、徳冨満、戸谷成雄、登山博文、中條直人、中野安次郎、奈良美智、西村千太郎、額田宣彦、野崎華年、野水信、長谷川繁、原裕治、櫃田伸也、平川祐樹、古池大介、ぷろだくしょん我S、堀尾実、眞島建三、松下春雄、三岸好太郎、三岸節子、水谷勇夫、宮脇晴、村瀬恭子、村松乙彦、森北伸、森眞吾、八島正明、矢橋六郎、山口勝弘、山下拓也、山田彊一、山田純嗣、山田睦三郎、山本悍右、山本高之、山本富章、横井礼以、吉川家永、吉川三伸、吉本作次、渡辺英司ほか

 

関連イベント
ウォーキングA「モザイク壁画ツアー」
案内人:森上千穂(モザイク愛好家)
2019年4月6日(土)13:30-16:00
集合:地下鉄東山線「新栄町」駅
解散:地下鉄名城線「市役所」駅周辺
定員:15名(要申込・先着順)※既に申込終了

ウォーキングB「プレイスカルプチャーをめぐる」
案内人:牛田吉幸(富士山すべり台研究家)
2019年4月13日(土)13:30-16:00
集合:地下鉄東山線「星ヶ丘」駅
解散:地下鉄名城線「東山公園」駅周辺
定員:15名(要申込・先着順)※既に申込終了
※東山動植物園の入園料が必要

ウォーキングC「セロ次元の現場検証」
案内人:石崎尚(愛知県美術館学芸員)
2019年4月21日(土)13:30-16:00
集合:オアシス21
解散:地下鉄名城線・鶴舞線「上前津」駅周辺
定員:15名(要申込・先着順)※既に申込終了

記念座談会「路上のアートクロニクル」
パネリスト:森上千穂(モザイク愛好家)+牛田吉幸(富士山すべり台研究家)、石崎尚(愛知県美術館学芸員)
司会:副田一穂(愛知県美術館学芸員)
2019年5月3日(金・祝)13:30-15:00
会場:アートスペースA(愛知芸術文化センター12階)
定員:150名
※申込不要、聴講無料

その他の関連イベントは公式ウェブサイトを参照

 


ぷろだくしょん我S「人形参院選」1974年 空気人形 名古屋市美術館

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