韓国美術家賞2024最終候補


(左上から時計回りに)クォン・ハヨン、ヤン・ジョンウク、ジェーン・ジン・カイゼン、ユン・ジヨン

 

2024年4月9日、韓国国立現代美術館は、国内有数の現代美術賞「韓国美術家賞2024」の最終候補に、クォン・ハヨン、ヤン・ジョンウク、ユン・ジヨン、ジェーン・ジン・カイゼンを選出したと発表した。最終候補全員が参加する展覧会「韓国美術家賞2024」は、韓国国立現代美術館 ソウル館で2024年10月25日から2025年3月23日まで開催。会期中に最終公開審査を行ない、2025年2月に受賞者が発表される。

韓国美術家賞(今年の作家賞)は、韓国国立現代美術館とSBS財団が、韓国現代美術に貢献、新しいヴィジョンや可能性を探求するアーティストの支援を目的に2012年に設立。2015年には歴代最終候補の国外での制作活動を支援する基金を開設し、2022年には同賞の開催を休止し、過去10年間の歴史を振り返る展覧会「10-Year Path of Korea Artist Prize」を開催した。2023年からは韓国国籍保持者に限られていた選考対象を、朝鮮半島にルーツを持つアーティストであれば国籍を問わない規定に変更するなど、複数の制度改正とともに再開している。

クォン・ハヨン(1981年ソウル生まれ)は、3Dアニメーションやドキュメンタリー、VRなどに先端技術を実験的に応用しながら、仮想空間を通じて個人的な記憶の空間を体験させる作品を制作してきた。記憶の中の空間は、歴史を再構成すると同時に、現実と仮想の間の境界を探るように、現実の制約を越えて鑑賞者の目の前で展開する。近年は釜山ビエンナーレ2018をはじめ国内外で作品を発表、昨年はリウム美術館で個展「Strange Walkers」を開催している。ヤン・ジョンウク(1982年ソウル生まれ)は、マンションの警備員や事務員、一家の主人のような平凡な人々の日常を観察し、その物語をキネティックな彫刻を通じて具現化する。木材、糸、電球などで構成された彫刻が作り出すアナログな動きが、鑑賞者の想像力を刺激し、隣人の日常の物語を伝える。2015年には国立新美術館の「アーティスト・ファイル 2015 隣の部屋――日本と韓国の作家たち」に出品。近年は韓国国立現代美術館 ソウル館の「My Your Memory」(2022)などで作品を発表。現在、蔚山美術館にて個展「A Child Embraces a Child」を開催中。

ユン・ジヨン(1984年生まれ)は、自身の彫刻言語を用いて、社会の基礎をなす犠牲や信頼の構造を顕在化させる作品を制作する。事物の物理的、構造的特質と意味を繊細に調整して彫刻的状況を作り出し、韓国社会の心理的構造を象徴的に示していく。近年はナムジュン・パイク・アートセンターやソウル市立美術館、アートソンジェ・センター、国立韓国現代美術館 果川館などのグループ展で作品を発表。2021年にはOne And J. Galleryで個展「Yellow Blues_」を開催。韓国とデンマークを拠点に活動するジェーン・ジン・カイゼン(1980年済州島生まれ)は、デンマークに養子縁組された経験を持つ。済州島の歴史や文化遺産に関する広範なリサーチを基に、記憶、移住、境界、翻訳などの問題を深く探究。詩的言語にパフォーマンスやドキュメンタリーの要素を結びつけた映像作品が、個人的な記憶と公的な記憶の間を横断し、社会文化的、地政学的状況に対する対話を触発する。2019年の第58回ヴェネツィア・ビエンナーレの韓国館にナム・ファヨン、サイレン・ウニョン・チョンとともに参加。昨年は済州4·3平和公園で個展「Reiterations of Dissent」を開催。現在はマンチェスターのesea contemporaryで個展「Halmang」を開催している。また、2024年3月に国立国際美術館で開かれた第26回中之島映像劇場「空、境界のない」にも出品作家のひとりとして参加している。

審査委員を務める韓国国立現代美術館ディレクターのキム・ソンヒは、「韓国現代美術の潜在能力を世界に披露する「韓国美術家賞2024」は、それぞれ多様なメディアを扱う4名のアーティストを選出し、各自のメディアや独自のテーマに対する徹底した思考を捉えたものになります。観客の皆さんには、本展が未来の韓国現代美術を担うアーティストに出会う機会になるでしょう」と語った。

 

韓国美術家賞http://koreaartistprize.org/

韓国美術家賞2024
2024年10月25日(金)- 2025年3月23日(日)
韓国国立現代美術館 ソウル館
http://www.mmca.go.kr/
参加アーティスト:クォン・ハヨン、ヤン・ジョンウク、ユン・ジヨン、ジェーン・ジン・カイゼン

 


韓国美術家賞2024審査委員会
シャルル・ランドフルーフト(アムステルダム市立美術館 リサーチ&キュラトリアル・プラクティス部門長)
コスミン・コスティナス(第24回シドニー・ビエンナーレ アーティスティックディレクター)
ルバ・カトリーブ(MoMA PS1 キュラトリアル・アフェアーズ キュレーター兼ディレクター)
キム・ソンウン(ナムジュン・パイク・アートセンター 前ディレクター)
キム・ヘジュ(シンガポール美術館シニアキュレーター)
キム・ソンヒ(韓国国立現代美術館ディレクター)
イ・ジュヨン(「韓国美術家賞2024」キュレーター)※投票権なし

 


歴代受賞者および最終候補(太字はグランプリ)
2023クォン・ビョンジュン、ガラ・ポラス・キム、イ・カンスン、チョン・ソジョン
2021チェ・チャンスク、キム・サンジン、バン・ジョンア、オ・ミン
2020イ・スルギ、キム・ミネ、チョン・ユンソク、チョン・ヒスン
2019イ・ジュヨ、キム・アヨン、ホン・ヨンイン、パク・ヘス
2018サイレン・ウニョン・チョン、ク・ミンジャ、オキン・コレクティヴ、チョン・ジェホ
2017ソン・サンヒ、パク・ギョングン、ペク・ヒョンジン、サニー・キム
2016ミックスライス、キム・ウル、バク・スンウ、ハム・ギョンア
2015オー・インファン、キム・キラ、ナ・ヒュン、ハ・テボム
2014ノ・スンテク、ク・ドンヒ、キム・シニル、チャン・ジア
2013コン・ソンフン、シン・ミギョン、チョ・へジョン、ハム・ヤンア
2012ムン・キョンウォン&チョン・ジュンホ、ギム・ホンソック、イ・スギョン、イム・ミヌク

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