韓国美術家賞2020最終候補


 

2020年2月10日、韓国国立現代美術館とSBS財団が共催する韓国国内有数の現代美術賞として知られる韓国美術家賞2020の最終候補として、キム・ミネ、イ・スルギ、チョン・ユンソク、チョン・ヒスンの名前が発表された。

韓国美術家賞は、韓国国立現代美術館とSBS財団が前身となる「Artist of the Year」(1995-2010)を引き継ぐ形で2012年に設立、韓国現代美術に貢献し、新しいヴィジョンや可能性を探求するアーティストの支援を目的としている。審査プロセスは隔年毎に編成される運営委員会が選んだ推薦委員によるリストより、同じく運営委員会が選んだ審査委員が最終候補となる最大4組のアーティストを選出する。国内外の専門家からなる審査委員は、絶え間なく変化をつづける美術界のさまざまな視点を反映し、韓国美術への国際的な関心を促進するために、毎年新しく任命される。最終候補に選ばれたアーティストは、SBS財団からの4000万ウォン(約360万円)の経済的支援を受け、最終選考を兼ねた韓国国立現代美術館で開かれる展覧会で新作を発表する。会期中に審査委員の最終審査を実施、12月に受賞者の発表と授賞式を開催、受賞者には賞金1000万ウォンが贈呈される。

本年度の最終候補、キム・ミネ(1981年生まれ)は、建築的空間と美術制度に対処すべく、日常環境に介入するサイトスペシフィックなインスタレーションを制作している。ソウル国立大学大学院で学んだのちに渡英し、2011年にはロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートで修士号を取得。近年は、2017年に韓国国立現代美術館果川館の企画展に出品、2018年にはいずれもソウルのアルコ・アートセンター、アトリエ・エルメスの展覧会で作品を発表している。イ・スルギ(1972年生まれ)は、現代では伝統的な工芸品や民芸品として捉えられている日用品の造形性に着目した作品を制作している。1990年代初頭からフランスを拠点に活動し、2000年にパリ国立高等美術学校のジャン=リュック・ヴィルムートのクラスでDNSAPを取得。2014年には光州ビエンナーレ、2017年にはパレ・ド・トーキョーの展覧会に作品を出品、2019年にはレンヌのラ・クリエ現代美術センターで個展を開催している。チョン・ユンソク(1981年生まれ)は、ドキュメンタリー映像制作を通じて、鋭い視点で社会的問題を扱い、人間らしさとはなにかを問いつづけている。韓国芸術総合学校で視覚芸術を学んだのちに同校大学院で映像制作を学び、修士号を取得。2012年に光州ビエンナーレに出品。近年は2018年にソウルのイルミン美術館で作品を発表している。チョン・ヒスン(1974年生まれ)は、写真とテキストを組み合わせたインスタレーションをはじめとするさまざまな表現方法により、写真の再現性が持つ可能性と限界を探求している。弘益大学校で絵画を学んだのち、ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーションで写真を学び、修士号を取得。2017年には釜山のコウン写真美術館で個展を開催し、2018年には光州ビエンナーレにも出品している。

なお、韓国国立現代美術館とSBS財団は、2015年に同賞の歴代最終候補者のための海外活動基金を設立し、作品制作やプロジェクトの支援を継続している。近年の主な支援に、第13回シャルジャ・ビエンナーレにおけるク・ドンヒの展示(2017)、第57回ヴェネツィア・ビエンナーレにおけるイ・スギョンの展示(2018)、ムン・キョンウォン&チョン・ジュンホのテート・リバプールでの個展(2018)、第59回ヴェネツィア・ビエンナーレ韓国館におけるサイレン・ウニョン・チョンの展示(2019)が挙げられるほか、数々のアーティストの海外でのプロジェクトを支援している。

 

韓国美術家賞http://koreaartistprize.org/

 

 


 

韓国美術家賞2020審査委員会
ロリータ・ヤブロンスキーネ(ヴィリニュス国立美術館チーフキュレーター)
パトリック・D・フローレス(フィリピン大学美術学部教授、シンガポール・ビエンナーレ2019アーティスティックディレクター)
クリストファー・Y・ルー(ホイットニー美術館キュレーター)
イ・ヨンチョル(桂園芸術大学校教授)
ユン・ボムモ(韓国国立現代美術館ディレクター)※投票権なし

韓国美術家賞2020運営委員会
ユン・ボムモ(韓国国立現代美術館ディレクター)
パク・ジョンフン(SBSヒマンネイル[希望明日]委員会委員長)
ペ・スンフン(元韓国国立現代美術館ディレクター)
ムン・キョンウォン(アーティスト、梨花女子大学校准教授、2012年韓国美術家賞グランプリ)
アン・ギュチョル(アーティスト、韓国芸術総合学校教授)

 


 

歴代受賞者および最終候補(太字はグランプリ)
2019イ・ジュヨ、キム・アヨン、ホン・ヨンイン、パク・ヘス
2018サイレン・ウニョン・チョン、ク・ミンジャ、オキン・コレクティヴ、チョン・ジェホ
2017ソン・サンヒ、パク・ギョングン、ペク・ヒョンジン、サニー・キム
2016mixrice、キム・ウル、バク・スンウ、ハム・ギョンア
2015オー・インファン、キム・キラ、ナ・ヒュン、ハ・テボム
2014ノ・スンテク、ク・ドンヒ、キム・シニル、チャン・ジア
2013コン・ソンフン、シン・ミギョン、チョ・へジョン、ハム・ヤンア
2012ムン・キョンウォン&チョン・ジュンホ、ギム・ホンソック、イ・スギョン、イム・ミヌク

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