小山市出身の版画家の回顧展、「小口一郎展」開幕

足尾鉱毒事件3部作を一堂に展観

栃木県小山市出身で版画家として活躍した小口一郎(こぐち・いちろう、1914-1979)の全貌を、そのライフワークとなった足尾鉱毒事件を主題とした作品を中心に紹介します。

小口一郎は、田中正造と足尾鉱毒事件を知り、ジャーナリストのように、彼の地に生きる人々を丹念に取材するようになり、連作版画集『野に叫ぶ人々』(1969年完成)、『鉱毒に追われて』(1974年完成)、『盤圧に耐えて』(1976年完成)の3部作にまとめ上げ、世に問いました。それらは小口一郎の代表作として、今なお、高い評価を得ています。

本展は、小口一郎研究会の全面的な協力を得て、初めて連作版画集『野に叫ぶ人々』、『鉱毒に追われて』、『盤圧に耐えて』の全点を一堂に展観するものです。あわせて油彩画や版画作品、資料も紹介し、約300点で知られざる美術家、小口一郎の生涯を回顧します。

小口一郎《自画像》1968年 カンヴァス、油彩 小口一郎研究会蔵
  • 「二つの栃木」の架け橋 小口一郎展 足尾鉱毒事件を描く

日時:1月21日(土)~3月26日(日) 午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)

休館日:月曜日

観覧料:一般 900(800)円、大高生 600(500)円、中学生以下無料。

※()内は20名以上の団体料金

※企画展観覧券でコレクション展Ⅳ「時のながれ」もご覧いただけます。

小口一郎《「鉱毒に追われて」より 1.治水か破水か》1971-73年 紙、木版 小口一郎研究会蔵
小口一郎《「鉱毒に追われて」より 35.帰郷》1971-73年 紙、木版 小口一郎研究会蔵
小口一郎《「鉱毒に追われて」より 38.鋼鉄の爪跡》1971-73年 紙、木版 小口一郎研究会蔵
  • イベント

①ギャラリートーク:担当学芸員による作品解説(事前予約不要)

日時:   2023年2月18日(土)、3月4日(土) 各回とも午後2時~

会場:   栃木県立美術館 企画展示室

 

②講演会「足尾銅山鉱毒事件と田中正造―小口一郎「三部作展」に寄せて―」(事前予約不要)

講師:   安在邦夫氏(早稲田大学名誉教授)

日時:   2023年2月26日(日) 午後2時~

会場:   栃木県立美術館 集会室

定員:   80名

 

③上映会+解説

小口一郎の連作版画による映画を上映後、各回とも、赤上剛氏(田中正造・足尾銅山鉱毒事件研究者)が解説(30分程度)

 

  1. 映画「足尾鉱毒事件 野に叫ぶ人々」(事前予約不要)

日時:   2023年1月22日(日) 午後2時~

会場:   栃木県立美術館 集会室

備考:   1971年制作、脚本・演出:篠崎隆、上映時間:約28分

定員:   80名

 

  1. 映画「木版画で描く足尾鉱毒事件 鉱毒に追われて」(事前予約不要)

日時:   2023年2月5日(日) 午後2時~

会場:   栃木県立美術館 集会室

備考:   2013年制作、脚本・撮影構成:篠崎隆、上映時間:約45分

定員:   80名

 

  1. 映画「版画で描く足尾鉱毒事件 盤圧に耐えて」(事前予約不要)

日時:   2023年2月12日(日) 午後2時~

会場:   栃木県立美術館 集会室

備考:   2015年制作、構成・演出・撮影:篠崎隆、上映時間:約48分

定員:   80名

小口一郎《ねこ》1954年 紙、木版 栃木県立美術館蔵

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