企画展「日本画のゆくえ―継承と断絶・模倣と創造」

企画展「日本画のゆくえ―継承と断絶・模倣と創造」開幕!

 

2022年最初の展覧会は、現在活躍する11名の気鋭の作家とともに「日本画」とは何かを探る企画。

何をもって「日本画」とするのか、という問題を考えていきます。

 

木村了子《蓮池寝仏図》2019年、作家蔵。

「日本画」とはいったい何か・・・

幕末から明治への転換はわが国にとって実に劇的なものでした。日本が近代国家として世界へはばたくための経済政策を推進するにあたり、さまざまな方面で西洋の技術を導入することになります。国の近代化は「美術」という新しい概念とともに日本の絵画界にも押し寄せました。18 世紀後半に現れた司馬江漢らによる洋風画は、伝統的日本絵画の流れの上にある西洋画法の和様化ともいえるが、日本絵画の近代化は、西洋絵画芸術にとって必須である「光と影」を表現する写実的な油彩画の本格的導入をひとつの方法としたのです。

棚町宜弘《過日》(部分)2017年、作家蔵。

その西洋絵画(日本における洋画)の対概念として、国の名を冠した「日本画」という用語が明治20年代には定着したといわれています。その契機となったのが、1882(明治15)年にフェノロサが龍池会の講演会で「Japanese Painting」と称して展開した「日本画優位論」。その後、「日本画」は日本の「公絵画」としてのスタイルを模索する時代に入ります。フェノロサの側近であった岡倉天心らによる日本美術院を中心とした新派は、西洋の絵画に負けない独自の表現形式を目指し、それに反する日本美術協会(龍池会を前身)ら保守系美術団体による旧派は、近世までの流派や画系の伝統を継承していくことになったのです。

浅葉雅子《きりふり乃滝鉢にいちご》2021年、作家蔵。

「日本画」の現在

それから時を経た現在、「日本画」は日本の「公絵画」としてのスタイルをもつに至ったのだろうか。「日本画」は、「日本の絵画の総称」として用いられる場合が多いが、果たしてそれでよいのだろうか。また、技法的側面からすれば顔料を膠で溶いて彩色する「膠彩画」を「油彩画」と対峙させて用いるべきなのではないか。

高村総二郎《カップヌードル》2005年、日清食品ホールディングス蔵。

【上図】誰もが知る日清食品のカップヌードル。アンディ・ウォーホルのキャンベルスープ缶を思わせるが、シルクスクリーンではなく、和紙に岩絵具、胡粉、膠といった日本画に使われる素材で描かれている。

 

本展では、現在日本画家として活動する気鋭の画家たちによる作品を通して、明治・大正・昭和の激動期から平成を経て令和に至る「日本画」が、その歴史上に今も存在するのか、それともピリオドを打ったのか、もしくは「新しい日本画」が誕生したのかということを問いかけます。

 

「日本画のゆくえ―継承と断絶・模倣と創造」

  • 会期:1月29日(土)~3月21日(日)午前9時30分-午後5時(最終入館は午後4時30分まで)
  • 観覧料:一般900(800)円、大高生600(500)円、中学生以下無料、()内は20名以上の団体料金
  • 電話:028-621-3566
  • 公式HP:http://www.art.pref.tochigi.lg.jp/
  • イベント:ギャラリートーク(担当学芸員+出品作家による)
  • 2月26日(土)、3月19日(土)各回とも午後2時より約1時間程度。
  • ※担当学芸員のみで実施する場合もあります。
  • ※事前申込不要。企画展観覧料が必要です。

 

Copyrighted Image