とびたつとき:池田満寿夫とデモクラートの作家

池田満寿夫《姉妹たち》1965 広島市現代美術館蔵

 

開花する若き才能

池田満寿夫(1934–1997)は旧満州国・奉天で生まれ、終戦の年に父母とともに長野に引き揚げました。高校を卒業後、画家を目指して上京し、靉嘔を通じて、デモクラート美術家協会を率いた瑛九や、美術評論家で「創造美育」運動の主宰者であり、版画のコレクターでもあった久保貞次郎に出会います。
デモクラート美術家協会は、主に東京と大阪で活動していましたが、「既成画壇に出品しないこと」が唯一の参加条件で、制作に自由を求める多くの作家が参加しました。池田もその一人でしたが、瑛九から銅版画を習い、久保の後援によって版画制作に打ち込みました。
戦後、国力を回復しつつあった日本は、初の国際現代美術展として1957年に第1回東京国際版画ビエンナーレ展を開きます。池田をはじめとするデモクラートの作家が同展に出品入選し、彼らの飛躍のきっかけとなりますが、一方瑛九はデモクラートの解散を決めます。しかし、若い作家たちは版画の可能性に目ざめ、旺盛な創作活動を見せ、なかでも池田は、1966年にベネチア・ビエンナーレで版画部門の国際大賞を受賞するなど、国際的に評価されるようになりました。
この展覧会では、没後四半世紀を経た、当館が所蔵する池田作品のうち、1950年代から1966年頃までの作品とともに、池田が影響を受け、また交友のあった作家の作品により、当時、世界から注目された彼らの版画と油彩画を振り返ります。

[前期展示] 1月20日—2月18日  [後期展示] 2月21日—3月17日

出品作家
池田満寿夫、靉嘔、泉茂、磯辺行久、瑛九、加藤正、利根山光人、舩井裕、吉原英雄

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とびたつとき
池田満寿夫とデモクラートの作家

会期:2024年1月20日(土)—3月17日(日)
開館時間:10:00–17:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし2/12は開館)、2/13(火)
また 2/20(火)も展示替えのため休室します
会場:広島市現代美術館 展示室B-2、B-3(広島市南区比治山公園1-1)
観覧料:一般1,100円 (850円)、大学生800円 (600円)、高校生・65歳以上550円 (400円)、中学生以下無料
※( )内は前売り及び30名以上の団体料金
※前売券は広島市現代美術館受付、オンラインショップ「339」チケットぴあ〈Pコード 686-764〉でお求めいただけます(販売は1/19まで)
https://www.hiroshima-moca.jp/exhibition/masuo_ikeda

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///関連プログラム///
講演会「池田満寿夫 人と芸術」
日時|2024年1月27日(土) 14:00-15:45
講師|横山勝彦(呉市立美術館館長)
会場|広島市現代美術館 地下1階ミュージアムスタジオ
定員|80名(先着順)
※参加無料、申込不要

館長によるギャラリートーク
2024年2月10日(土) 、3月2日(土) 14:30–15:15
※要展覧会チケット、申込不要

アートナビ・ツアー
アートナビゲーターによる展示解説
毎週土曜・日曜・祝日(講演会、学芸員によるギャラリートーク開催時は除く)
11:45–12:15、14:45–15:15
※要展覧会チケット、申込不要

 

利根山光人《子供のいる風景》1957 和歌山県立近代美術館蔵
瑛九《自転車》1956 和歌山県立近代美術館蔵
磯部行久《ワッペン》1965 和歌山県立近代美術館蔵
靉嘔《倦怠》1955 個人蔵

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