杉本博司 絶滅写真 @ 東京国立近代美術館

杉本博司《ポコット族》2025年 ゼラチン・シルバー・プリント 119.4×185.4cm © Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi

 

杉本博司 絶滅写真
2026年6月16日(火)–9月13日(日)
東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
https://www.momat.go.jp/
開館時間:10:00–17:00(金・土は10:00–20:00、入館は閉館の30分前まで)
休館日:月(ただし、7/20は開館)、7/21
展覧会URL:https://art.nikkei.com/sugimoto/

 

東京国立近代美術館では、現代美術作家・杉本博司の、初期から現在にいたる銀塩写真約60点を一堂に展観する「杉本博司 絶滅写真」を開催する。

杉本博司(1948年東京生まれ)は、写真を原点に、建築、日本の古典芸能をはじめとする舞台芸術の演出、書、陶芸、和歌、料理、古美術蒐集など、さまざまな領域で活動してきた。銀塩写真の技術としても頂点を極める作品によって、確たるコンセプトにもとづく独自の表現で写真というメディアの可能性を押し広げている。1970年に渡米し、1974年よりニューヨークと日本を行き来しながら制作を続けている。2008年に建築設計事務所「新素材研究所」、2009年に公益財団法人小田原文化財団を設立し、2017年には構想から10年をかけて建設された文化施設「小田原文化財団 江之浦測候所」を開設。演出と空間を手がけた『鷹の井戸(At the Hawk’s Well)』が2019年秋にパリ・オペラ座にて上演されるなど、その活動は国境やジャンルをこえて広がる。2001年ハッセルブラッド国際写真賞、2009年高松宮殿下記念世界文化賞(絵画部門)受賞、2010年秋の紫綬褒章受章、2013年フランス芸術文化勲章オフィシエ叙勲。2017年文化功労者に選出、2023年日本芸術院会員に就任した。

 

杉本博司《U.A. プレイハウス、ニューヨーク》1978年 ゼラチン・シルバー・プリント 119.4×149.2cm © Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi
杉本博司《カリブ海、ジャマイカ》1980年 ゼラチン・シルバー・プリント 119.4×149.2cm © Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi

 

写真作品で構成される美術館での個展としては、国内では2005年の森美術館での開催以来となる本展。1970年代後半の初期作から近作まで、全13のシリーズを3章構成で紹介し、ゆるやかに時系列に沿いながら杉本の作品世界の展開をたどる。「時間・光・記憶」と題された1章では、1970年代から1980年代に着手され、杉本の評価を確立した〈ジオラマ〉〈劇場〉〈海景〉により、その出発点を提示。2章「観念の形」では、人間の知性や想像力がつくりだした「かたち」を主題とする〈建築〉〈観念の形〉〈スタイアライズド・スカルプチャー〉などにより、作品世界が広がりを見せていくさまをたどる。3章「絶滅写真」では、終焉を迎えつつある銀塩写真というメディアの始原にさかのぼる〈前写真、時間記録装置〉〈フォトジェニック・ドローイング〉から〈肖像〉、近作の〈Opticks〉まで、6つのシリーズを紹介する。

各章には、〈ジオラマ〉〈海景〉、〈スタイアライズド・スカルプチャー〉〈Opticks〉の初公開となる新作も加わる。とりわけ杉本のデビュー作として知られる〈ジオラマ〉では、《ポコット族》などの新作により、1975年のシリーズ開始時からひそかに構想され、半世紀を超えてついに実現にいたった、人類史をめぐる深淵なストーリーが初めて提示される。展覧会のタイトルでもある「絶滅写真」は、銀塩写真というメディアの終焉と、自らの作家活動の終幕を見据えて浮上した主題だが、そこで示される「絶滅」は、それにとどまるものではない。撮影から暗室作業にいたるすべての工程が技術的に完璧に行なわれることで成立する銀塩写真が、デジタルへと移行するとき、そこでは何が変容し、何が失われようとしているのか。約200年の歴史をもつ銀塩写真の行方に重ねて杉本が投げかける問いは、人類史的なスケールへと展開していく。

 

杉本博司《スタイアライズド・スカルプチャー 120[クリスチャン・ディオール、Bar、1947]》2025年 ゼラチン・シルバー・プリント 149.2×119.4cm © Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi
杉本博司《ダイアナ、プリンセス・オブ・ウェールズ》1999年 ゼラチン・シルバー・プリント 149.2×119.4cm © Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi

 

なお、本展のサテライト展示として、3階の所蔵品ギャラリーでは「劇場・海景・スギモトノート」を開催。東京国立近代美術館が所蔵する〈劇場〉〈海景〉全13点とともに、撮影や暗室作業に関する覚書を記した杉本のノート「スギモトノート」を初公開する。1970年代半ばから記しはじめられたこのノートは、完璧なネガを得るための工夫など、作品の背後にある杉本の「職人的」な側面の一端を伝えるもので、実物に加え、来場者がページをめくりながら見ることのできるレプリカも用意される予定。

 

開催記念特別講演会「絶滅について」
日時:2026年6月20日(土)14:00–15:30
登壇:杉本博司、浅田彰(批評家・京都芸術大学教授)、増田玲(東京国立近代美術館主任研究員)
会場:東京国立近代美術館 地下1階講堂
定員:100名(予定)
参加費:無料(先着順、展覧会観覧券は不要)
※詳細はウェブサイトを参照

 

杉本博司《Opticks 087》2025年 タイプCプリント 119.4×119.4cm © Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi

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