福田尚代|日な曇り @ YOKOTA TOKYO


福田尚代《書籍の魂 #03》2013-2025年

 

福田尚代|日な曇り
2025年5月19日(月)-6月13日(金)
YOKOTA TOKYO
https://yokotatokyo.com/
開廊時間:11:00–17:00
休廊日:土、日

 

YOKOTA TOKYOでは、言葉や文字に対する繊細な感覚に基づいた美術作品や、始めから読んでも終わりから読んでも同じ回文形式の詩作で知られる福田尚代の個展「日な曇り」を開催する。

福田尚代(1967年埼玉県生まれ)は、本や文房具、郵便物、ハンカチなど、日々の傍らにあった私物に繊細な手仕事をほどこし、彫刻、コラージュ、刺繍、折り込みなどの技法により作品を制作している。その制作は、失われつつあるものへの感受をすくい上げることからはじまり、それらに新たな相を与える試みであり、記憶と物質、過去と現在を静かにつなぎ直す、ささやかでありながらも、気の遠くなるような所作とも捉えられる。福田は1992年に東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻を修了。1994年から2000年にかけてアメリカ合衆国ワシントン州に居住。これまでに「アーティスト・ファイル2010―現代の作家たち」(国立新美術館、東京、2010)、「MOTアニュアル2014 フラグメント―未完のはじまり」(東京都現代美術館、2014)、個展「福田尚代 言葉の在り処、その存在」(うらわ美術館、埼玉、2016)、「ふたつのまどか―コレクション×5人の作家たち 」(DIC川村記念美術館、千葉、2020)、「旅 と想像/創造 いつかあなたの旅になる」(東京都庭園美術館、2022)、「雰囲気のかたち―見えないもの、形のないもの、そしてここにあるもの」(うらわ美術館、埼玉、2022)、「1990–2025 作品、建築、自然」(DIC川村記念美術館、千葉、2025)など、各地の美術館で作品を発表している。主な著作に『福田尚代作品集 2001-2013 慈雨百合粒子』(小出由紀子事務所、2014)、『ひかり埃のきみ 美術と回文』(平凡社、2016)、『わたしたち、言葉になって帰ってくる』(私家版、2020)など。2026年には神奈川県立近代美術館 鎌倉別館での個展「福田尚代 あわいのほとり」の開催を控える。

本展タイトルの「日な曇り」は、やわらかな光が差し込みつつも、空に薄く雲がかかった、晴れと曇りのあわいにある気象を表す言葉。本展は、書物の記憶を宿すもの、漂う断片、ことばの影をとどめたかたち、静謐な気配など、福田の創作に通底する造形を、自然光が差し込むギャラリー空間に織り込む試みとなる。

 


福田尚代、展示風景より《漂着物/ひとすくい》2024-2025年


福田尚代《書物の骨『漂泊の魂 (クヌルプ)』》2003-2010年


福田尚代《無題》1989年

Copyrighted Image