第2回ヒューゴ・ボス・アジア・アート賞


Maria Taniguchi, Installation view at Rockbund Art Museum. All Images: Courtesy Hugo Boss Asia Art.

2015年11月26日、ロックバンド・アート・ミュージアム[上海外灘美術館]とヒューゴ・ボスはヒューゴ・ボス・アジア・アート賞を、マニラを拠点に活動するマリア・タニグチに授賞した。タニグチには賞金30万元(約575万円)が授与された。

マリア・タニグチは1981年ドゥマゲテ(フィリピン)生まれ。形への関心を一貫して持ち続けながら、絵画、彫刻、映像といった複数のメディアを通じて、社会的文脈や歴史的文脈を伴う空間や時間について探求している。毎日、4x2センチの長方形をグリッド状に描き続けるというシステマティックな方法で制作されたモノクロームの絵画作品「Untitled」シリーズは、近年の代表作として知られ、今回の審査対象となった展覧会にも出品されている。そのほか、同展には、レーザーでカットされたさまざまな形の小さな穴の空いたポスターが約25センチの高さに積まれた、記憶装置としての彫刻作品「Untitled (ram dram sram)」、石膏や大理石で象られたタニグチ自身に関連するオブジェを映し出した映像作品「Figure Study」や白黒のイメージの上に赤や緑のフィルターが重なり、観客の感情やイメージに対する反応を動かす映像作品「I See, It Feels」が出品している。
タニグチはフィリピン大学で彫刻を学んだ後に渡英し、2009年にロンドンのゴールドスミス・カレッジで修士号を取得している。2000年代前半より作品の発表をはじめ、2011年と2012年にはフィリピンの36歳以下のアーティストを対象としたアテネオ・アート・アワードを二年連続で受賞している。近年は、ベルリンのcarlier|gebauerやマニラのSILVERLENSで個展を開催、バンコクのジム・トンプソン・アートセンター、アントワープ現代美術館のグループ展やテート・ブリテンのスクリーニングで作品を発表。現在、クイーンズランド・アートギャラリーで開催中の第8回アジア・パシフィックトリエンナーレに参加している。

同賞は、2013年にロックバンド・アート・ミュージアムが中国本土、台湾、香港、マカオ出身の若手アーティストの活動支援を目的にヒューゴ・ボスとともに創設。初代受賞者には香港出身のクワン・シャンチ[關尚智]が選出された。2回目の開催となった今回は対象地域に東南アジアが追加された。

マリア・タニグチのほか、最終候補に残ったグァン・シャオ[关小]、ホァン・ポージィ[黃博志]、モエ・サット、ヴァンディ・ラッタナ、ヤン・シングァン[杨心广]の新作が展示されている『ヒューゴ・ボス・アジア・アート』展は、来年1月3日までロックバンド・アート・ミュージアムで開催している。

ヒューゴ・ボス・アジア・アート
http://www.rockbundartmuseum.org/en/exhibition/overview/e6djst

ヒューゴ・ボス・アジア・アート
2015年10月30日(金)-2016年1月3日(日)
ロックバンド・アート・ミュージアム[上海外灘美術館]
http://www.rockbundartmuseum.org/


From Above: Maria Taniguchi Untitled series (detail) (2012–2015). Maria Taniguchi Untitled (ram dram sram) (2015). Maria Taniguchi Figure Study (2015)

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