⾵間サチコ展:⽅丈ルームの1000⾥眼 @ 弘前れんが倉庫美術館

⾵間サチコ《ありがとう、我が愛する⽩⿃よ!》2026年 作家蔵 ©Sachiko Kazama Courtesy of the artist and MUJIN-TO Production Photo by Kei Miyajima

 

風間サチコ展:方丈ルームの1000里眼
2026年6月5日(金)–11月15日(日)
弘前れんが倉庫美術館
https://www.hirosaki-moca.jp/
開館時間:9:00–17:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日:火(ただし、8/4、8/11、9/22、11/3は開館)、8/12、9/24、11/4
展覧会URL:https://www.hirosaki-moca.jp/exhibitions/kazama-sachiko/

 

弘前れんが倉庫美術館では、東京を拠点に活動する風間サチコの東北初となる個展「風間サチコ展:方丈ルームの1000里眼」を開催する。初期作から近年の大型木版画に加えて、作家が新たに取り組む油彩などによる絵画も初公開され、約60点の作品が紹介される。

風間サチコ(1972年東京都生まれ)は、黒一色で刷られた木版画を主な表現手法として、近代化によって変化した日本社会に関心を寄せ、国家、資本主義、科学技術を象徴するモチーフを軸に、それらがもたらした進歩の裏側にある犠牲や矛盾を鋭い視点で描いてきた。オリンピック、東日本大震災後の原発事故などの時事的なトピックから学校などの身近な場所まで、近現代の社会的事象を題材に、文学、神話、個人的記憶を大胆に交差させた作品で知られている。主な個展に「Tokyo Contemporary Art Award 2019-2021受賞記念展:風間サチコ ‘Magic Mountain’」(東京都現代美術館、2021)、「風間サチコ展 ―コンクリート組曲―」(黒部市美術館、富山、2019)、「ディスリンピア2680」(原爆の図丸木美術館、埼玉、2018)などがある。また、シドニー・ビエンナーレ(オーストラリア、2024)、横浜トリエンナーレ(神奈川、2017)、光州ビエンナーレ(韓国、2016)をはじめ、国内外で数多くの国際展に参加してきた。

 

⾵間サチコ《⽩⿃の聲が聞こえる》2026年 作家蔵 ©Sachiko Kazama Courtesy of the artist and MUJIN-TO Production Photo by Kei Miyajima
⾵間サチコ《噫!怒涛の閉塞艦》2012年 東京都現代美術館蔵 Photo by Kei Miyajima

 

本展のタイトルは、鴨長明が記した随筆『方丈記』から着想を得たもの。鴨長明は本書で、四畳半ほどの部屋で、必要最小限の調度品や生花、本などに囲まれながら、歌を詠むなどして生活をおくったことを綴っている。風間にとって、自宅の四畳半の居間もまた、本を読んだり作品の構想を練ったりする思索の場所であり、外界から距離を置いたこの空間は、千里眼のように過去・現在・未来へと思考を巡らせ、世界を見つめ、想像力を膨らませるための場でもある。本展は、近現代の社会や制度、歴史を起点としながら、壮大な空想の物語を編み出してきた風間の作家性を、あらためて浮かび上がらせる。

初の試みとなる油彩画では、文学や音楽に登場するさまざまな白鳥をモチーフにした作品を発表する。風間は、2015年に青森公立大学国際芸術センター青森(ACAC)で滞在制作時に手にした、19世紀フランスの小説家ヴィリエ・ド・リラダンの『トリビュラ・ボノメ』をきっかけに白鳥に着目したという。本書は、主人公であるボノメ博士が、科学的・理性的に世界を理解しようとしているにもかかわらず、奇妙で不条理な状況に巻き込まれる様子を描いた幻想小説となる。ここに収録された『白鳥扼殺者』という短編では、主人公の博士は、締め殺される瞬間の白鳥の鳴き声が世界一美しい音色だと知り、その鳴き声を確かめるべく、中世の騎士の格好で白鳥を殺しに水辺へ向かう。ここでの白鳥は、個人の感情や想像力、耽美的な美しさといった、人間の科学的ではない非合理的な美の存在の象徴であり、こうした物語を風間は新作《白鳥扼殺者》として描き出す。

また、《ありがとう、我が愛する白鳥よ!》(2026)では、リヒャルト・ワーグナーのオペラ『ローエングリン』の主人の騎士が、窮地に陥った姫を助けるために、白鳥が引っ張る小船に乗って登場する場面が、夏泊半島の平内町・浅所海岸の風景に取って代わり、ここに伝わる白鳥にまつわる伝説が重ね合わせられる。日本各地に残る身近な近代の舞台と、オペラや小説、伝説上のイメージを組み合わせることで、日常と隣り合わせのロマン主義的な空想世界を描き出そうとする試みとなる。さらに、青森や岩手の旧南部藩で遊ばれていたとされるカルタの一種、「黒札」の図案を巨大化させたアクリル画にも取り組むほか、風間サチコの「方丈ルーム」での思索の軌跡をたどることができる部屋型のインスタレーションも公開される。

 

⾵間サチコ《ディスリンピック2680》2018年 作家蔵(A.P.) Photo by Kei Miyajima
⾵間サチコ《第⼀次幻惑⼤戦》2017年 横浜美術館蔵 Photo by Kei Miyajima

 

吹き抜けの空間が特徴的な同館の展示室を中心に、近年の風間の活動を象徴する大型の木版画も多数展示される。2011年の東日本大震災と福島第一原子力発電所事故を契機に制作された《噫!怒涛の閉塞艦》(2012)では、核と原子力をめぐる歴史上の災害と人間社会の関係が描き出され、《ディスリンピック2680》(2018)では、2020年に予定されていた東京オリンピックと、1940年に開催が予定されつつも戦争のために開催が見送られた幻の東京オリンピックが重ね合わせて描かれている。《第一次幻惑大戦》(2017)では、江戸時代の小説に登場する架空のヒーローである妖術使いの児雷也が、現代の社会規範のなかで生きるサラリーマンとの戦いを繰り広げる様子が描かれる。近現代社会の仕組みと個人のはざまの葛藤を、寓話的なイメージによって構成した作品が紹介される。

 

関連イベント
開幕セレモニー
2026年6⽉5⽇(⾦)15:15–
会場:弘前れんが倉庫美術館
申込:不要

オープニングトーク「ぼんやりラウンドトーク」
2026年6月6日(土)14:00–15:30
出演:風間サチコ、公募参加者
会場:弘前れんが倉庫美術館 展示室内
料金:無料(要観覧券、予約優先)
詳細はウェブサイトを参照

学芸スタッフによる解説ツアー
2026年6月13日(土)、8月8日(土)、9月12日(土)、10月10日(土)、11月14日(土)各日14:00–14:30
会場:弘前れんが倉庫美術館 1階受付前集合
料金:無料(要観覧券)
申込:不要

映画上映会『カリガリ博士』
2026年6月21日(日)10:30–、 14:00–
会場:弘前れんが倉庫美術館 スタジオB
料金:一般 1,000円、大学生・専門学校生 500円、高校生以下 無料
定員:各回30名(予約優先)
詳細はウェブサイトを参照

映画上映会『ファウスト』
2026年8月16日(日)10:30–、14:00–
会場:弘前れんが倉庫美術館 スタジオB
料金:一般 1,500円、大学生・専門学校生 1,000円、高校生以下 無料
定員:各回30名(予約優先)
詳細はウェブサイトを参照

風間サチコによるワークショップ「ぼんやりスパイ活動」
2026年9月5日(土)13:30–16:30
会場:弘前れんが倉庫美術館 スタジオB
料金:無料(要観覧券)
定員:10名(小学5年生から大人まで、小学生は保護者同伴)
申込:予約制
詳細はウェブサイトを参照

 


 

同時開催
コレクション展 2026
2026年6⽉5⽇(⾦)-11⽉15⽇(⽇)
会場:弘前れんが倉庫美術館
出品作家:畠山直哉×服部一成、細川葉子、狩野哲郎、川内理香子、永野雅子、奈良美智、小沢剛、大巻伸嗣、ジャン=ミシェル・オトニエル、ナウィン・ラワンチャイクン、斎藤麗、佐藤朋子、和田礼治郎
https://www.hirosaki-moca.jp/exhibitions/collection2026/

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