被爆80周年記念
記憶と物 ―モニュメント・ミュージアム・アーカイブ―
2025年6月21日(土)-9月15日(月、祝)
広島市現代美術館 B展示室
https://www.hiroshima-moca.jp/
開館時間:10:00–17:00 入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、7/21、8/11、9/15は開館)、7/22、8/12
展覧会企画:松岡剛(広島市現代美術館主幹学芸員)
展覧会URL:https://www.hiroshima-moca.jp/exhibition/memoriesandobjects
広島市現代美術館では、戦争や原爆の「記憶」と、美術作品をはじめとする「物」との関係をテーマとする被爆80周年記念の展覧会「記憶と物 ―モニュメント・ミュージアム・アーカイブ―」を開催する。
本展ではまず美術館のすぐそばに位置する空の台座をめぐって、かつてそこに設置されていた《加藤友三郎元帥銅像》について、戦中の銅像やその作者上田直次による現存する作品、戦後に再建された市内の中央公園に建つ吉田正浪による加藤友三郎像、呉市の入船山記念館に設置された青山三郎による加藤友三郎像の事例を紹介しながら、それらが関係した記憶の形成、忘却、再構成について考察する。
上田直次《加藤友三郎元帥銅像》1935年
蔦谷楽《Spider’s Thread: This Landscape》2020年 ©Gaku Tsutaja, Courtesy of Ulterior Gallery
フィオナ・アムンゼン、鹿鳴家英志《An Ordinary Life》2021年 ©Fiona Amundsen, Kanariya Eishi
続いて、モニュメント、ミュージアム、アーカイブといった記憶の形成に関わる物や制度に関心を寄せ、それらの調査をもとに制作したり、主題とした作品を発表してきたアーティストを招き、過去を現在との連続性において捉え、過去の営みと対話的に向き合う姿勢が垣間見える実践を紹介する。招聘アーティストは、広島市立大学大学院で彫刻家の橋本平八の研究で博士号を取得し、現在は彫刻に関するリサーチを基に、近代以降の彫刻家やその制作行為をモチーフとしたパフォーマンス的要素の強い映像を制作、シリーズとして展開している黒田大スケ(1982年京都府生まれ)、東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故によって、故郷である福島の状況が一変したことをきっかけに作品制作を始め、忘れ去られた過去の記憶や場所、現代社会で見えにくくなっている問題や事象を調査し、映像やインスタレーションを制作している毒山凡太朗(1984年福島県生まれ)、ニューヨーク州クイーンズ在住でアメリカ合衆国を中心に活動、戦争や核時代において抑圧されてきた現代にまで至る事実や記憶を、寓話的要素を用い国境を越えた問題として再解釈、再構築する作品を制作している蔦谷楽(1974年東京都生まれ)、戦争などの歴史的出来事が今なお及ぼしている影響や、そこに関わる社会的・政治的な物語、記憶について、写真や映像を通して探求しているフィオナ・アムンゼン(1973年ニュージーランド、オークランド生まれ)、東日本大震災をきっかけにユニットとして活動を始め、2015年には土地とかかわりながら記録をつくる組織・一般社団法人NOOKを設立し、現在は全国各地に赴いてフィールドリサーチを行い、制作と対話の場づくりに取り組む小森はるか+瀬尾夏美(1989年静岡県生まれ/1988年東京都生まれ)の5組。黒田大スケは「コレクション展 2023-Ⅰ」にゲストアーティストとして参加、毒山凡太朗は「リニューアルオープン記念特別展 Before/ After」(2023)に参加、小森はるか+瀬尾夏美は「コレクション展 2023-Ⅱ」にゲストアーティストとして参加した経験を持つ。小森はるか+瀬尾夏美はワークショップを通して「11歳だったわたしは 広島編」の制作を開始した。
小森はるか+瀬尾夏美《11 歳だったわたしは 広島 編》2023– 制作風景
さらに広島市現代美術館がこれまで収集してきた作品から原爆の記憶をテーマに、丹下健三、イサム・ノグチ、島州一、曺徳鉉、ヘンリー・ムーア、丸木位里+丸木俊、殿敷侃の作品を出品。「比治山の空の台座」「過去との対話を試みるアーティスト」「広島現美コレクション」の3つの枠組みを通じて、表現や制度を通して形成される戦争の記憶、当事者性、過去を継承する可能性についての対話的、建設的な議論と思索の場の創出を目指す。
丹下健三《広島平和記念公園模型》(1/300縮尺)1950/2015年
イサム・ノグチ《広島の原爆死没者慰霊碑(1/5模型)》1952/1991年
関連イベント
アーティスト・トーク
2025年6月21日(土)14:00-15:30
参加アーティスト:黒田大スケ、毒山凡太朗、蔦谷楽、フィオナ・アムンゼン、小森はるか+瀬尾夏美(予定)
会場:広島市現代美術館 B展示室
料金:無料 ※要展覧会チケット、申込不要
学芸員によるギャラリートーク
2025年7月12日(土)、8月23日(土)15:00-16:00
会場:広島市現代美術館 B展示室
料金:無料 ※要展覧会チケット、申込不要
アートナビ・ツアー
毎週土、日、祝、休開催 ①11:45-12:15 ②14:45-15:15 ※6/21、6/22、イベント開催時を除く
会場:広島市現代美術館 B展示室
料金:無料 ※要展覧会チケット、申込不要
同時期開催
コレクション展2025-Ⅰ
2025年4月26日(土)-8月24日(日)
広島市現代美術館 A展示室
https://www.hiroshima-moca.jp/exhibition/collection2025-1
コレクション展2025-Ⅱ
2025年9月6日(土)-2026年2月1日(日)
広島市現代美術館 A展示室
https://www.hiroshima-moca.jp/exhibition/collection2025-2