“the constant inequality of leonor’s days” installation view at CAM – Centro de Arte Moderna Gulbenkian, Sep 21, 2024 – Feb 17, 2025. Courtesy of Taka Ishii Gallery Photo: Nick Ash
レオノール・アントゥネス「strips, trunks, trees and dots」
2025年4月19日(土)-5月31日(土)
タカ・イシイギャラリー 六本木
https://www.takaishiigallery.com/
開廊時間:12:00–19:00
休廊日:日、月、祝祭日
展覧会URL:https://www.takaishiigallery.com/jp/archives/34381/
タカ・イシイギャラリー 六本木では、20世紀の芸術、建築、デザインの歴史に登場する女性作家に影響を受けながら、身近な素材を新たな視点で解釈し、抽象的に具現化した彫刻やインスタレーションを手がけるポルトガル出身のアーティスト、レオノール・アントゥネスの個展「strips, trunks, trees and dots」を開催する。
レオノール・アントゥネス(1972年リスボン生まれ)は、モダニズム運動やミッドセンチュリーの建築、デザインの歴史を掘り下げ、とりわけ男性優位の環境によって歴史的に見過ごされてきた女性アーティストやデザイナーたちが辿ってきた多様な物語を紐解きながら、新たなフォルムを持つ、独自の彫刻作品を制作している。また、職人技やその土地特融の技術を積極的に用いることで、現代の大量生産の構造に反対し、受け継がれてきた知識や伝統的な技術を維持するための働き掛けに取り組んでいる。近年の主な個展に「the constant inequality of leonor’s days」(グルベンキアン財団モダンアートセンター、リスボン、2024)、「the apparent length of a floor area」(フルーツマーケット・ギャラリー、エディンバラ、2023)、「joints, voids and gaps」(ルクセンブルク・ジャン大公現代美術館[MUDAM]、2020)、「joints, voids and gaps」(サンパウロ美術館[MASP]、2019)、「Discrepancias con C.P. Leonor Antunes」(タマヨ現代美術館、メキシコシティ、2018)、「the last days in Galliate」(ピレリ・ハンガービコッカ、ミラノ、2018)、「the frisson of the togetherness」(ホワイトチャペル・ギャラリー、ロンドン、2017)、「New Work」(サンフランシスコ近代美術館、2016)など。また、第58回ヴェネツィア・ビエンナーレのポルトガル館代表(2019)をはじめ、第57回ヴェネツィア・ビエンナーレ企画展「Viva Arte Viva」(2017)、第12回シャルジャ・ビエンナーレ(2015)、第8回ベルリンビエンナーレ(2014)など、数々の国際展、展覧会に参加。国際芸術祭「あいち2022」では、一宮市に残る丹下健三建築「尾西生涯学習センター墨会館」に、1930年代にバウハウスで学んだ山脇道子(1910-2000)、輸出工芸指導顧問として来日した経験を持つ20世紀を代表するデザイナー、シャルロット・ペリアン(1903-1999)の生涯に影響を受けた彫刻のインスタレーションを発表。同作の一部が国立国際美術館に収蔵され、同館の昨年のコレクション展「コレクション1 彼女の肖像」(2024-2025)、また現在開催中のコレクション展「コレクション2 Undo, Redo わたしは解く、やり直す」にも出品されている。
2022年のタカ・イシイギャラリーでの個展以来、日本での2度目の個展となる本展では、ノエミ・レーモンド(1889-1980)と上野リチ・リックス(1893-1967)という日本との深いつながりを持つふたりのデザイナーに焦点を当てた新作10点を発表する。
フランス生まれのアメリカ人、アーティストでデザイナーのノエミ・レーモンドは、建築家の夫アントニン・レーモンドとともに40年以上日本で活動し、日本の美学と工芸技術をモダニズムのデザインに融合させた。1930年代の日本の木版画の影響を受けたノエミの作品は、国内外のさまざまな展覧会でも紹介されている。しかし、1941年にニューヨーク近代美術館で開催された「オーガニック・デザイン」展のコンペにおいて、ノエミのデザインが受賞したにもかかわらず、受賞者として名が残されたのは夫のアントニンだけだったというエピソードも残されている。一方、日本人の夫・上野伊三郎とともに京都に移住したオーストリア人の上野リチ・リックスは、京都で日本文化に浸り、地元の職人たちと協力しながら、日本の伝統技術を自身のデザインに取り入れ、自然からインスピレーションを得た有機的なモチーフと鮮やかな色彩を特徴とする作品を制作し、ウィーンと京都の感性の融合を目指した。
「フェリーツェとノエミ」と「フェリーツェとシャルロット」と題した新作は、ふたりのデザイナーによって生み出された建築、家具、テキスタイルのパターンを複合的に重ね合わせ、参照した立体作品。また、アントゥネスはノエミのテキスタイルデザインを参考にしたパターンを拡大、伸長し、色彩も再構成したリノリウムの床を展示空間に展開。20世紀にそれぞれの分野で活躍したふたりを結びとめ、過去と現在をつなぐコラボレーションを創出する。