星空と路 —3がつ11にちをわすれないために—(2025)@ せんだいメディアテーク

 

星空と路 —3がつ11にちをわすれないために—(2025)
展示|2025年3月11日(火)-3月16日(日)(1Fオープンスクエア)
展示|2025年3月18日(火)-4月20日(日)(7Fラウンジ・スタジオa)
せんだいメディアテーク
https://www.smt.jp/
開場時間:10:00-18:00(1Fオープンスクエア)※初日のみ13:00開場
9:00-22:00(7Fラウンジ・スタジオa)
休場日:3/27
3がつ11にちをわすれないためにセンター:https://recorder311.smt.jp/

 

せんだいメディアテークでは、「3がつ11にちをわすれないためにセンター」の参加者による記録を紹介する展示やイベント、これまでに寄せられた記録の利活用の試みの場として、毎年3月に開催している恒例の企画「星空と路 —3がつ11にちをわすれないために—(2025)」を開催する。

2011年5月3日、せんだいメディアテークは、東日本大震災という大きな出来事に向き合い、ともに考えるために、市民、専門家、アーティスト、スタッフなどさまざまな立場の人びとが参加し、復旧・復興のプロセスを独自に発信、記録していくプラットフォームとして「3がつ11にちをわすれないためにセンター」(略称:わすれン!)を開設した。以降、映像、写真、音声、テキストなどさまざまなメディアの活用を通じ、情報共有、復興推進に努めるとともに、収録されたデータを「震災の記録・市民協働アーカイブ」として記録保存し、ウェブサイトでの公開、ライブラリーへの配架、展示や上映会の開催、さらには記録を囲み語る場づくりなどを行なっている。

 


髙橋親夫


ゆるくフラットに震災について語る会(近藤日和、清水葉月)

 

本年のプログラムでは、「わすれン!」のプロジェクトの一部を紹介する展示を、前期は1Fオープンスクエア、後期は7Fラウンジ・スタジオaで開催。仙台市宮城野区で生まれ育ち、震災当時に地区の町内会長として避難所を運営した髙橋親夫は、その体験をまとめた冊子『崩落した3月』から、日記と写真、そして避難所となった高砂市民センターを再訪した際の映像を展示し、当時を振り返る。震災当時は小学生6年生だった石巻市出身の近藤日和と、高校生2年生だった福島県浪江町出身の清水葉月が、だれでも自由に震災について語れる雰囲気をつくりたいという思いで配信しているオンライン番組「ゆるくフラットに震災について語る会」は、そのアーカイブの一部を展示する。佐藤敏郎(大川伝承の会)は、2013年11月末に、多くの子どもと先生が犠牲になった大川小学校について共有するために立ち上げた「小さな命の意味を考える会」として、震災後に綴ってきた文章と写真、そしてそれらを改めて見つめ、語り直した言葉を加えて公開する。

 


佐藤敏郎(大川伝承の会)


橋本武美


ギャリー・マクラウド

 

自閉症の子を持つ親である橋本武美は、震災時に経験した障害児者の家族の困りごとを記録に残し、今後に活かしたいという思いから、似た立場にある親たちに会って当時の聞き取りをしている。昨年の展示で紹介した話に加え、新たに聞いた話を含めた十数名の体験談から、非日常下の生活におけるさまざまな苦労や工夫のエピソードを抜粋し、紹介する。Rephotograph(リフォトグラフ/再撮影)を研究・実践し、その手法を用いて作品を発表してきたギャリー・マクラウドは、「わすれン!」のウェブサイトで見つけた2011年7月に撮影された石巻市牡鹿半島の折浜・蛤浜の写真を元に、他者の記録を読み解いて再撮影を試みた作品を発表する。埼玉の自由の森学園高校で実施している選択授業「東北と復興」では、震災当時は幼かった高校生たちが、2024年度の1年間の授業の中で、震災について改めて知り、学び、実際に石巻や福島を訪れて見聞きした記録を展示する。

新潟県中越地震や東日本大震災の被災地において、「復興曲線」という手法を用いて個々人の復興過程についてインタビューをしてきた宮本匠との協働企画「道のりシート」では、震災が起きた2011年3月から今までの道のりについて、一人ひとりが書き込めるシートを設ける。2023年より館内に設置し、これまでに400以上の体験談が全国から寄せられた震災を振り返るインタビューシートから、子どもの震災体験に光を当て、そこから浮かび上がるものを探る試みを行なう。

 


自由の森学園高校 選択授業「東北と復興」メンバー


宮本匠(大阪大学)


インタビューシート

 

関連展示では、東日本大震災と、その9年後の2020年3月11日に、WHOによりパンデミックが宣言された新型コロナウイルス感染症のふたつの災禍の暮らしの写真と言葉から、地域の記録を残し、記録から想起し、また伝えることの意味を探る。3.11オモイデアーカイブ/佐藤正実は、「まちなかの距離感 —2011年と2020年の仙台—」と題し、震災とコロナ禍、それぞれの非日常の中で、市民が記録したまちの写真を展示。お茶の水女子大学の学生有志、丹羽朋子(Dialogue / Research / Trip)は、東日本大震災当時の記憶が薄い学生たちにとってより身近な災厄のひとつと言えるコロナ禍の写真を持ち寄り、それぞれの体験を語り合ったり、さまざまな人の震災体験が綴られた「インタビューシート」を読み他者の体験に触れたりしながら、「私/私たち」の視点で「災禍の体験を語ること」について考えた、一連の記録を紹介する。

また、関連イベントでは、「ダイブわすれン!」(2022年)に参加し、能登半島地震後もいち早く記録のアーカイブ構想を進めているキュレーター/アーキビストの明貫紘子(合同会社映像ワークショップ)をコーディネーターに迎えた「わすれン!記録活動ミーティング——能登から/能登へ——」と、震災や原発事故についての対話の場をひらく「てつがくカフェ 第94回「小さな声を重ねる—震災から14年が経過して」」を開催する。

 


3.11オモイデアーカイブ/佐藤正実


お茶の水女子大学の学生有志、丹羽朋子(Dialogue / Research / Trip)

 

関連イベント
わすれン!記録活動ミーティング——能登から/能登へ——
2025年3月15日(土)14:00–16:30
会場:せんだいメディアテーク 1Fオープンスクエア
参加無料・申込不要
https://recorder311.smt.jp/information/70751/

てつがくカフェ 第94回「小さな声を重ねる—震災から14年が経過して」
2025年3月16日(日)14:00–16:30
会場:せんだいメディアテーク 1Fオープンスクエア
参加無料・申込不要
https://www.smt.jp/projects/cafephilo/2025/01/-3992.html

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