星空と路 —3がつ11にちをわすれないために—(2023)@ せんだいメディアテーク


 

星空と路 —3がつ11にちをわすれないために—(2023)
展示|2023年3月8日(水)- 3月12日(日)(1f オープンスクエア)
上映|2023年3月12日(日)(7f スタジオシアター)
※2fには常設展示「わすれン!資料室」
せんだいメディアテーク
https://www.smt.jp/
開場日時:10:00-18:00 ※3/12の上映企画は11:00-17:30(詳細はこちら
会期中無休
3がつ11にちをわすれないためにセンター:https://recorder311.smt.jp/

 

せんだいメディアテークでは、「3がつ11にちをわすれないためにセンター」の参加者による記録を紹介する毎年恒例の企画『星空と路 —3がつ11にちをわすれないために—(2023)』を開催する。

2011年5月3日、せんだいメディアテークは、東日本大震災による甚大な影響に対し、ともに向き合い考え、復興への長い道のりを歩きだすために、復旧・復興のプロセスを独自に発信、記録していくプラットフォームとして、3がつ11にちをわすれないためにセンター(略称:わすれン!)を開設した。以降、わすれン!では、映像、写真、音声、テキストなど、さまざまなメディアを活用し、情報共有や復興推進に努めるとともに、収録されたデータを「震災の記録・市民協働アーカイブ」として記録保存し、ウェブサイトでの公開やライブラリーへの配架、記録を囲み語る場づくりなど、さまざまなかたちで記録の利活用を試みている。昨年11月には、「わすれン!資料室」が常設展示としてせんだいメディアテーク2階に開設された。

 


わすれン!資料室


わすれン!バックナンバーズ

 

『星空と路』は、わすれン!の参加者による記録を展示や上映会を通じて紹介するとともに、これまでに寄せられた記録の利活用の試みの場として、毎年3月に開かれている。本年度は、わすれン!企画の複数のプロジェクトのほか、さまざまに展開する「市民によるプロジェクト」から6つの試みを紹介する。わすれン!企画のプロジェクトは、ふたりひと組で小部屋に入り、対話というかたちで震災にまつわる話を残していく「わすれン!録音小屋」(※新型コロナウイルス感染症の影響による利用休止を経て、現在は再開)、時間が経ち、徐々に語られにくくなった震災について、当時の「食」にまつわる写真をきっかけに記憶を思い出し、参加者も自身の記憶を共有していく参加型の試み「3月12日はじまりのごはん−いつ、どこで、なにたべた?−」、わすれン!の資料を運ぶ小さな資料室「アーカイヴィークル」のほか、改修工事のためにメディアテークが臨時休館した昨年8月から10月のあいだに、なかなか触れる機会の少ない過去の記事を掘り起こして紹介したわすれン!のツイッターでの試み「わすれン!バックナンバーズ」を、記録群へ潜る手がかりとして、それらの投稿の展示とともに紹介する。

 


中野伝承プロジェクト(なかの伝承の丘保存会)


HOPE FOR project

 

中野伝承プロジェクト」は、震災により甚大な被害を受けた仙台市宮城野区の旧中野小学校跡地に作られた「なかの伝承の丘」の保存会が、2018年に開始した地域の歴史や住民の声を映像に残す取り組み。本展では、草刈りや桜の植樹、3月の慰霊式典や法要など、日々の活動をまとめた映像を展示する。また、震災遺構となった荒浜小学校を拠点に、地元の小中学校の卒業生が中心となって、毎年3月11日に人の集う場づくりに取り組んでいる「HOPE FOR project」は、その活動の一環として、元地域住民の語りを記録してきた。本展では、震災当時小中高生だった若者へのインタビュー映像を展示する(「声なき声 Arahama Living History」と題し、3/12に上映会開催)。

髙橋親夫は、2016年よりほぼ毎月福島県浪江町や双葉町に通いつづけ、その風景の変化や子どもたちの暮らしの痕跡などを写真に収めてきた。昨年の夏にその活動に一区切りをつけた髙橋は、本展では2021年3月の展示「浪江のきた道、ゆく道」の完結編として、1万枚以上の写真とその撮影地を詳細に記した地図を「地図に記された風景」と題して展示する。木村グレゴリオは、2011年3月11日の震災直後から車にビデオカメラを乗せてその走行ルートを記録する車載映像の撮影を続けている。本展では、震災の16日後に仙台の市街地から沿岸部に向かったルートを2023年に改めて撮影した記録などを発表(「車載映像 仙台市街地から沿岸部への往復90分の旅」と題し、3/12に上映会開催)。東日本大震災から影響を受けた地域の風景や人々の語りを、映像で記録している福原悠介は、2022年夏、鈍行列車で各地を旅した際の映像に、道中で書かれた旅日記の朗読をのせたシネ・エッセイを発表する。仙台を出発して、福島、三里塚、広島、水俣など、かつて映画=記録でみた土地をめぐりながら、変わってゆく人と記録の関係に思いをはせた「記録についての記録」となる(「鈍行旅日記」と題し、3/12に上映会開催)。

相馬クロニクル」は、震災後に相馬高校放送局が制作した作品の上映を行なう任意団体。福島県の高校生の震災や原発事故に対する想いが込められた作品の中から、本展では2011年から2014年に制作された音声作品を聴取できるブースを開設する。

 


地図に記された風景(髙橋親夫)


沿岸部の車載映像(木村グレゴリオ)


鈍行旅日記(福原悠介)

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