谷中佑輔 弔いの選択 @ 十和田市現代美術館


 

谷中佑輔 弔いの選択
2024年12月7日(土)-2025年3月23日(日)
十和田市現代美術館
https://towadaartcenter.com/
開館時間:9:00–17:00 入場は閉館30分前まで
休館日:月(祝日の場合はその翌日)、年末年始(12/23-1/1)、メンテナンス休館(1/20-1/24)
企画担当:外山有茉(十和田市現代美術館キュレーター)
展覧会URL:https://towadaartcenter.com/exhibitions/taninaka-yuske/

 

十和田市現代美術館では、ベルリンを拠点に、彫刻とダンスを主な表現形式として作品制作を行ない、展覧会や舞台公演を横断しながら作品を発表している谷中佑輔の個展「弔いの選択」を開催する。

谷中佑輔(1988年大阪府生まれ)は、⼈間の⾝体を⾃律したものではなく周囲からの影響を受ける存在として捉え、環境や他者との関係性の中で⾝体がどのように現れうるかについて、彫刻やダンス、パフォーマンスなどの領域を横断しながら表現している。近年の主な作品発表に《空気きまぐれ》(京都芸術センター、2023)、《Gallop》(Uferstudios、ベルリン、2022 / 国際ダンスフェスティバル Co-festival 2022、リュブリャナ、スロベニア)。主なグループ展に「DOMANI・明⽇展 2022-23」(国⽴新美術館、東京、2022)、「セレブレーション−⽇本ポーランド現代美術展−」(京都芸術センター / Dom Książki、ポズナン、ポーランド、2019ほか)、「不純物と免疫」(トーキョーアーツアンドスペース本郷、2017)など。

 


谷中佑輔 参考図版《Gallop》2022年 ダンス、90分 撮影:Urska Boljkovac

 

美術館での初個展となる本展において、谷中は⽼いや病気、怪我、障害といったすべての⾝体が本質的にはらむ脆弱性と、それを克服しようと⽇々進化する医療技術が私たちに抱かせる欲望や儚い希望、また必ずしも思い通りにならない脆さを抱えながら⽣きることなどについて考察し、新作のインスタレーションや彫刻、映像インスタレーション、パフォーマンスを発表する。

出品作品には、2022年にベルリンで初演したパフォーマンス《Gallop》を、本展に際し再制作した彫刻を用いたインスタレーション。実の弟が事故にあったことをきっかけに構想された同パフォーマンスは、弟が失ってしまった⾝体能⼒やあり得たかもしれない未来の可能性を、⾕中がどのように弟と共に「弔う」ことができるのかを考える中で⽣まれた作品。会期初日(7日)と翌日(8日)にはインスタレーション内でパフォーマンスが上演される。

 


谷中佑輔 参考図版《空気きまぐれ》2023年 ダンス、60分 撮影:松見拓也

 

また、2023年に横尾友美、⼭本ゾフィ優⾥歌らと、⾳を媒介する空気という物質が聴覚障害者と健常者の⾝体に対してどのように作⽤するのか、またその「空気」を通して聴覚障害者と健常者はどのようにコミュニケーションすることができるのかをテーマに制作したパフォーマンス《空気きまぐれ》を、バリアフリー字幕付きの記録映像として上映、パフォーマンスに登場するオブジェクトと合わせて展⽰する。そして、新作は幹細胞を培養して⼈体の臓器や組織を再⽣させる先進的な再⽣医療についてのリサーチから、⾝体を部分へと分割してまなざす発⽣医学の視点に着⽬した彫刻。医療器具をモチーフにした⾦属の部品や、腐⾷させたブロンズ、内臓を思わせるような有機的なガラスの量塊などを組み合わせ、医療のサポートを受けながら⽣きる現代の⼈間の⾝体性について彫刻を通して探究する。

展覧会タイトルの「弔い」という⾔葉には、時とともに怪我や病気、⽼化、死によって不可避的に失われていく⾝体の機能に対して、私たちはどのようにその喪失と向き合いながら⽣きていくことができるのかという問いが込められた。完全な治療や回復の⾒込みがない場合でも、私たちは⽇々変わりゆく現実に折り合いをつけながら⽣きていかなければならず、健康な⼈もそうでない⼈も、誰もが囚われているこの不確かで不安定な⾝体について、展覧会を通じてあらためて見つめ直す機会となるだろう。

なお、本展会期中に⼤阪中之島美術館でも個展「Osaka Directory 8 Supported by RICHARD MILLE ⾕中 佑輔」(展示会場:同館2階 多⽬的スペース)が開催される。同展では、金属やガラスを用いた彫刻作品を通じて、発⽣学で研究される胚葉(胚の初期段階で形成される三つの細胞層)の⾝体の各組織や器官への分化・成⻑過程に着⽬し、科学的知識が私たちの⾝体観やイメージにどのような影響を与えるかについて考察する。

 


谷中佑輔 参考図版《Pulp Physique #8》2022年 撮影:大塚敬太+稲口俊太


谷中佑輔 参考図版《고래(ゴレ)の胴体》2019年 撮影:来田猛

 

関連イベント
パフォーマンス《Gallop》(2024年12月7日)
2024年12月7日(土)16:00–16:30
会場:十和田市現代美術館 企画展示室
料金:無料(要企画展示観覧チケット)
※申込不要、入退場自由
https://towadaartcenter.com/events/taninaka_gallop_1207/

谷中佑輔と担当学芸員によるギャラリートーク(2024年12月8日)
2024年12月8日(日)14:00–15:00
登壇:谷中佑輔、外山有茉(十和田市現代美術館キュレーター)
会場:十和田市現代美術館 企画展示室
料金:無料(要企画展示観覧チケット)
※申込不要、入退場自由
https://towadaartcenter.com/events/taninaka_talk_1208/

パフォーマンス《Gallop》(2024年12月8日)
2024年12月8日(土)16:00–16:30
会場:十和田市現代美術館 企画展示室
料金:無料(要企画展示観覧チケット)
※申込不要、入退場自由
https://towadaartcenter.com/events/taninaka_gallop_1208/

 


「Osaka Directory 8 Supported by RICHARD MILLE ⾕中 佑輔」
2024年12月21日(土)-2025年1月19日(日)
大阪中之島美術館 2階 多目的スペース
https://nakka-art.jp/exhibition-post/osaka-directory-dir8/

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