ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ「Dance Floor as Study Roomーしたたかにたゆたう」@ 山口情報芸術センター[YCAM]


展覧会「Dancing Floor as Study Room したたかにたゆたう」のための新作制作の様子

 

ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ「Dance Floor as Study Roomーしたたかにたゆたう」
2024年11月30日(土)-2025年3月15日(土)
山口情報芸術センター[YCAM]スタジオA
https://www.ycam.jp/
開館時間:10:00–19:00
休館日:火(祝日の場合は翌日)、年末年始(12/29-1/3)、2/26-3/6
キュレーション:レオナルド・バルトロメウス(YCAMキュレーター)
展覧会URL:https://www.ycam.jp/events/2024/dance-floor-as-study-room/

 

山口情報芸術センター[YCAM]では、ヴェネツィア・ビエンナーレのオランダ館代表を務めるなど、20年以上にわたり国際的に活動してきたオランダの現代美術を代表するアーティストのひとり、ウェンデリン・ファン・オルデンボルフの新作個展「Dance Floor as Study Roomーしたたかにたゆたう」を開催する。

ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ(1962年ロッテルダム生まれ)は、映像作品やインスタレーションを通じて、人種差別、ジェンダー問題、歴史、植民地主義などの支配的言説や権力構造に対峙する作品を発表している。作品に登場する人々はキャストやクルーも含め、映像制作を通じて共に文化、歴史、政治的な社会問題に対峙する形で共同制作に取り組み、制作中に繰り広げられるリアルな対話はしばしば記録され、それらのコミュニケーションの過程で生じ、交差していく多様な視座や差異も作品に映し出されてきた。主な近年の個展に「柔らかな舞台」(東京都現代美術館、2022)、「work, work, work (work)」(ウッチ美術館、ポーランド、2021)、「tono lengua boca」( Fabra i Coats、バルセロナ、2020 / ドス・デ・マヨ・アートセンター、マドリッド、2019-2021)、「Cinema Olanda」(ヴェネツィア・ビエンナーレ オランダ館、2017)など。主なグループ展に「ソンズビーク20->24」(オランダ、2021)、シカゴ建築ビエンナーレ(2019)、世界文化の家(ベルリン、2019)、シンガポール・ビエンナーレ(2019)、あいちトリエンナーレ(2016)、キーウ・ビエンナーレ(ウクライナ、2015)など。

 


ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ《彼女たちの》2022年 東京都現代美術館 写真:アーティスト提供

 

自身の出身地であるオランダをはじめ、インドネシアやブラジルなどの出来事についてリサーチを重ねてきたファン・オルデンボルフは、近年は日本とオランダ、そしてインドネシアにゆかりのある女性アーティストのリサーチを進めており、東京都現代美術館の個展で発表した新作《彼女たちの》(2022)では、作家の林芙美子(1903-1951)と宮本百合子(1899-1951)が取り上げられていた。継続中のリサーチの対象には、山口ともゆかりの深い林だけでなく、女優で映画監督の田中絹代(1909-1977)も含まれる。本展では、こうしたアーティストたちに焦点をあて制作した脚本による新作とこれまでに制作された作品のほか、多様な文化や社会を表す装置として、会場をダンスフロアに見立てたインスタレーションを展開する。本展の邦題「したたかにたゆたう」は、他者からの圧力に対し、暴力を用いずに立ち向かう術を探り、何ものにも分類されない意思に根差した自由な状態を表したもの。

新作は、1930年代から50年代にかけて日本、オランダ、インドネシアで活躍した田中絹代、林芙美子、作家のベブ・ファイク(1905-1991)、女優兼映画監督のラトナ・アスマラ(1913-1968)、作家のスワルシ・ドジョジョプスピト(1912-1977)といった女性たちに着想。彼女たちが生きた時代のインドネシアは、オランダと日本の植民地支配下にあり、政治や生活環境が大きく変化した時代でもあった。作品は、抑圧的な体制下での個人の闘争に焦点をあてることで、女性たちのもつ共通点や今日まで連なる人種差別やジェンダー問題といった課題の根本を問いかける。

また、会場には展覧会テーマにちなんでクィア文化に触発された「ダンスフロア」を取り入れた展示構造を制作し、展覧会テーマを体現したインスタレーションを展開する。そのほか、会期中にはYCAMがこれまでに培ってきたワークショップ開発のノウハウを駆使し、他分野の識者、研究者、アーティストなどを招いたトークイベントや対話型観賞イベント、読書会など展覧会の鑑賞体験を深めるための多彩な関連イベントを開催。展覧会タイトルにもある「Dance Floor(ダンスフロア)」と「Study Room(スタディルーム)」をキーワードに心身を通じて観察し、体験することで展覧会テーマが体現できるプログラムを準備している。

 


ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ《指示》2019年 写真:アーティスト提供

 

関連イベント
アーティストトーク ※逐次通訳あり
2024年11月30日(土)14:00–16:00
登壇:ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ
会場:スタジオA
定員:30名
料金:参加無料(要申込)

クロージングトーク ※逐次通訳あり
2025年3月15日(土)17:00–19:00
登壇:ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ(オンライン)
会場:スタジオA
定員:30名
料金:参加無料(要申込)

一緒に考えるミーティング
2024年12月22日(日)14:00–16:00
登壇:イフクキョウコ(ダンサー)、笹本龍史(ダンサー・振付家)
会場:スタジオA
定員:30名

2025年1月25日(土)14:00–16:00
登壇:長嶋りかこ(デザイナー)
会場:スタジオA
定員:30名

2025年2月15日(土)14:00–16:00
登壇:アンドロメダ(マルチ・アーティスト・編集者)
会場:スタジオA
定員:30名

ギャラリーツアー
2024年12月22日(日)、2025年1月12日(日)、1月18日(土)、2月2日(日)、2月15日(土)、3月8日(土)各回:13:00–13:45
集合場所:ホワイエ
定員:各回15名
料金:参加無料(要申込)

サンカクトーク
2024年12月1日(日)、12月21日(土)、2025年1月26日(日)、2月16日(日)各回:13:00–15:00
集合場所:ホワイエ
定員:各回8名(対象:13歳以上)
料金:参加無料(要申込)
※筆記を用いた鑑賞会

ほんのよるかい
2024年12月6日(金)、12月20日(金)、2025年1月24日(金)、2月14日(金)、3月7日(金)各回:19:00–21:00
集合場所:ホワイエ
定員:各回6名(対象:高校生以上)
料金:参加無料(要申込)
※本の感想をシェアする読書会(終了時間はYCAM閉館後)

 


同時期開催
山内祥太+YCAM パフォーマンス&インスタレーション「匂いのモニュメント 忘れ去られたエロス」
2025年1月11日(土)、1月12日(日)、1月18日(土)、1月19日(日)
山口情報芸術センター[YCAM]スタジオB
https://www.ycam.jp/events/2025/monument-of-odour-forgotten-eros/

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