出来事との距離—描かれたニュース・戦争・日常 @ 町田市立国際版画美術館


松元悠《蛇口泥棒(長浜市、東近江市、砺波市)》2022年、リトグラフ、個人蔵

 

出来事との距離—描かれたニュース・戦争・日常
2023年6月3日(土)-7月17日(月・祝)
町田市立国際版画美術館
http://hanga-museum.jp/
開館時間:10:00–17:00(土、日、祝は10:00–17:30)入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし7/17は開館)
担当学芸員:町村悠香(町田市立国際版画美術館学芸員)
展覧会URL:http://hanga-museum.jp/exhibition/schedule/2023-537

 

町田市立国際版画美術館では、同館収蔵品と若手アーティストの作品を通じて、過去、現在のアーティストが「出来事との距離」にいかに向き合ってきたか、時代や立場によって異なる表現を探る展覧会「出来事との距離—描かれたニュース・戦争・日常」を開催する。

本展は、複製性の高さから社会状況を反映するマスメディアとしての側面を持つ版画の表現と、その出来事との距離の保ち方に着目した展覧会。展示は5つのパートで構成され、1章「ゴヤが描いた戦争」、2章「戦地との距離」、3章「浮世絵と『報道』」、4章「ニュースに向き合うアイロニー」、5章「若手アーティストの作品から」と章立て、計150点の作品を展覧する。

 


月岡芳年『魁題百撰相』より「森蘭丸」明治元年(1868)、大判錦絵、町田市立国際版画美術館蔵


フランシスコ・ゴヤ『戦争の惨禍』より「見るにたえない」1810-20年、エッチング、ラヴィ、ドライポイント、ビュラン、町田市立国際版画美術館蔵

 

ニュースや戦争を描いた作品は時代や立場によって表現できることが違い、たとえば同時代の事件を描けなかった江戸期の浮世絵は、故事や古典になぞらえて時事を伝えようとした。また、当事者として経験した出来事を月日が経過してから伝えられることもあり、自身の軍隊経験を描いた浜田知明(1917-2018/熊本県生まれ)は、時を経るにつれ戦争の構造に迫る作品を発表した。過酷な戦争経験を原点にした銅版画は国内外で高く評価され、1989年にはフランスの芸術文化勲章シュヴァリエを受章。本展では、71歳の時に制作した《ボタンB》(1988)を展示。ほかにもフランシスコ・ゴヤの『戦争の惨禍』より「見るにたえない」(1810-20)や、篠原清興の《栄城湾上陸后之露営》(1895)などの戦争の出来事を伝える収蔵品を紹介するとともに、若手アーティストの作品を展示、なかでも松元悠(1993年京都府生まれ)を特集する。松元は、メディアやSNSが伝えるニュースの現場を訪れて想像を働かせ、当事者の姿を自画像で描くことで、日常と地続きにある「事件と人間の不可解さ」に分け入る作品を、主にリトグラフの技法を用いて制作、発表してきた。近年の主な個展に「カオラマ」(京都芸術センター南・北、2018)、「活蟹に蓋」(三菱一号館美術館、東京、2019)、「血石と蜘蛛」 (YEBISU ART LABO、愛知、2019)、「架空の竜にのって海をこえて幻の島へ」(kara-Sギャラリー、京都、2021)などがある。

 

主な出品作家
フランシスコ・ゴヤ、月岡芳年、小林清親、畦地梅太郎、浜田知明、馬場檮男、石井茂雄、郭徳俊、松元悠、土屋未沙、小野寺唯、ソ・ジオ

 


篠原清興《栄城湾上陸后之露営》明治28年(1895)、大判錦絵三枚続、町田市立国際版画美術館蔵

 

関連イベント
アーティスト・トーク
2023年6月17日(土)14:00–(45分程度)
出演:松元悠(美術家、版画家)
会場:町田市立国際版画美術館 講堂
※要本展当日有効観覧券

学芸員によるギャラリートーク
2023年6月18日(日)、7月1日(土)各日14:00–(45分程度)
担当:町村悠香(本展担当学芸員)
会場:町田市立国際版画美術館 企画展示室
※要本展当日有効観覧券

プロムナード・コンサート
2023年7月16日(日)13:00–、15:00–(各回30分程度)
演奏:江澤隆行(ピアノ)
会場:町田市立国際版画美術館 エントランスホール
参加無料

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