イメージフォーラム・フェスティバル2022


 

幅広い映像表現を紹介する国内最大規模の映像祭のひとつとして知られるイメージフォーラム・フェスティバルが、本年度の全プログラムを発表。「東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション」をはじめとする各種プログラムが、シアター・イメージフォーラムをはじめとする都内3会場で公開される。

36回目の開催となるイメージフォーラム・フェスティバル2022の総合テーマは「アンダーグラウンドの再想像」。「アンダーグラウンド」は1960年代のカウンターカルチャーを象徴する言葉のひとつとして、伝統的な規範に対抗するもの、支配的なシステムから逸脱するもの、一般的な商業流通に乗らないものなど、さまざまな意味が込められていた。本年度のイメージフォーラム・フェスティバルでは、その言葉の現代性を、映像作品や上映文化のあり方を上映やシンポジウムを通して提示する。

 


ワン・ユーヤン『海になるための1001回の試行』2021年


百瀬文『Flos Pavonis』2021年

 

2018年に従来の一般公募部門(旧ジャパン・トゥモロウ)の募集範囲を拡大した「東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション」は、異なる世代・ジャンルの作品が一堂に会するだけでなく、東アジアの国際間における相互の交流と刺激によって、これからの芸術表現を模索し、メディア環境を含めた社会のあり方について考える場として定着しつつある。461作品の応募から一次審査、二次審査を経て、ノミネートされた上映作品には、ワン・ユーヤンホン・ジンフォン(ともにプログラムA)、エラ・ライデル(プログラムB)、百瀬文(プログラムF)のように現代美術の展覧会も発表の場にするアーティストの名前も並ぶ。本年度の最終審査員は、イップ・ユック=ユー(映像作家、メディアアーティスト、キュレーター)、濱治佳(山形ドキュメンタリー映画祭 東京事務局長)、馬定延(映像メディア研究者)が務める。

 


トン・シウチ『鞍山日記』2022年


フー・ボー『牛乳を盗む人』2012年

 

本年度注目の特集プログラムは、「青年特快:中国インディペンデント映画の新しい声とビジョン」。近年恵比寿映像祭などでも紹介され、「東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション」にも『壊れた太陽の心』がノミネートされているビー・ガンや、ビー・ガンと並び中国映画の新たな世代として注目されるフー・ボーの初期短編作品の上映(プログラムG5、G6)をはじめ、天安門事件以降に生まれた新たな世代が、政治・社会状況の激しい変化の渦中にある現在の中国で製作した多彩な作品群を、北京国際短編映画祭プログラマーのトン・シャンと名古屋大学所属の映画研究者マ・ランのキュレーションで紹介する。そのほか、イップ・ユック=ユーのキュレーションによる香港エクスペリメンタル映像特集「空虚な地から奏でられる歌」(プログラムH)など、興味深いプログラムが多数。そのほか、「フィルムメーカーズ・イン・フォーカス」では田名綱敬一を特集(プログラムR)、SHIBUYA SKYの屋外上映イベントでは、エレクトロニック・ミュージックにおける偉大な女性のパイオニアたちを追ったリサ・ロヴナーのドキュメンタリー『シスターズ・ウィズ・トランジスターズ』や、エチオピアの音楽世界を2年かけてフィールドレコーディングしたキノ・ピニェロのロードムービー『ロアリング・アビス エチオピア初源のサウンド』などを上映する。

 

イメージフォーラム・フェスティバル2022
http://www.imageforumfestival.com/2022/
東京会場
シアター・イメージフォーラム|2022年9月17日(土)– 9月23日(水)
スパイラルホール|2022年9月17日(土)– 9月19日(月)
SHIBUYA SKY|2022年9月16日(金)、9月18日(日)、9月24日(土)、9月25日(日)

 


キム・サン・チャウ『ミッドランド』2020年


リサ・ロヴナー『シスターズ・ウィズ・トランジスターズ』2020年

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