【PR】ふじのくに⇄せかい演劇祭 2022


 

ふじのくに⇄せかい演劇祭 2022
2022年4月29日(金・祝)– 5月8日(日)
https://festival-shizuoka.jp/
会場:静岡芸術劇場、舞台芸術公園、駿府城公園 ほか
主催:SPAC-静岡県舞台芸術センター

 

2022年4月29日より、世界と静岡を国内外の最先端の舞台芸術でつなぐ演劇祭「ふじのくに⇄せかい演劇祭 2022」が、静岡芸術劇場を中心に市内各所で開催される。

演劇祭を主催する静岡県舞台芸術センター(SPAC)が25周年を迎える本年度は、3年ぶりとなる海外招聘の実現、フランス国立ケ・ブランリー美術館の委嘱を受けて、SPAC芸術総監督の宮城聰がSPAC俳優陣と取り組んだ新作『ギルガメシュ叙事詩』の凱旋上演など、同時開催の「ふじのくに野外芸術フェスタ2022」やストリートシアターの祭典「ストレンジシード静岡」とともに、パフォーミングアーツを通じて、アーティストや観客、地域の人々が国や地域を越えて交流できる演劇祭としての本来の姿を取り戻していく。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、2020年は予定されていた演劇祭を中止にした代わりに「くものうえ⇅せかい演劇祭」としてオンラインで実施、2021年は全演目を野外上演にすることで、その活動を継続してきた。宮城はこうした2年間、そしていまなお続くコロナ禍を通じて、芸術は「人間が人間らしく生きる」ためにあるだけでなく、「ただ生きる」ために芸術を必要とする人々が存在することを認識し、そうした人々にとって、芸術は「心の水」、劇場や美術館や音楽ホールは心の健康施設、心の療養所であり、劇場が持つそうした機能を今年の「ふじのくに⇄せかい演劇祭」でも実感してもらいたいと抱負を語った。また、3年ぶりの海外招聘について、それがないと飢え死にするわけではないが摂取しない時期が長期にわたると身体がおかしくなってくるビタミンのようなものだと語り、異なる文化が染み込んだ身体との出会いの重要性を説いている。

 


『カリギュラ』


『私のコロンビーヌ』©Ariane Catton Balabeau


『星座へ』

 

オープニングを飾るのは、東西文化入り混じるブルガリアの首都ソフィアに1906年に建てられたイヴァン・ヴァゾフ国立劇場を主任演出家として牽引するディアナ・ドブレヴァが手がけるアルベール・カミュの傑作『カリギュラ』。孤独な皇帝カリギュラの「死」という絶対的不条理への葛藤を描いた、重厚で荘厳な舞台、歴史ある劇場に所属する劇団のレパートリー作品が静岡芸術劇場に登場する。4月29日の終演後には、アヴィニョン演劇祭で批評家とプレスが選ぶ最優秀舞台作品に贈られるクー・ド・クール賞をはじめ、国内外の数々の最優秀演出家賞の受賞経験を持つドブレヴァによるアフタートークも行なう。

同じく静岡芸術劇場では、2020年に公演が予定されていながら演劇祭の中止により叶わなかった、コロンビア出身の演出家兼俳優のオマール・ポラスによる『私のコロンビーヌ』の上演も実現する。読み書きができない先住民系農民の家に生まれたオマール少年は、本屋で偶然手にしたニーチェの著作に深い感銘を受け、本を買うお金もなく、本屋に通って読みつづける。店主の語るパリに憧れを抱き、両親の反対を押し切って海を渡る決断をしたオマールは、パリの地下鉄で無言の人形劇を上演しながら生活費を稼ぐ。そんな自らの半生を描いた本作を、ポラスは体からにじみ出るラテンのリズムと逆境に屈しない明るさ、人生の機微を変幻自在に演じ分ける卓越した演技を通じて表現する。宮城との親交も深く、SPACとの共同制作の経験を持つポラスは、1999年に静岡で開催されたシアター・オリンピックスで発表した『血の婚礼』以来、本作が静岡での12回目の公演となる。2020年の「くものうえ⇅せかい演劇祭」では、『虹のドレス』をオンラインで配信。同じくオンラインで配信した宮城との対談は現在もアーカイブで視聴可能となっている。

海外とのコラボレーションでもう1作品、南アフリカ共和国出身でケープタウンを拠点に活動するブレット・ベイリーの最新作『星座へ』。当初は昨年のアヴィニョン演劇祭で上演された『SAMSON』の招聘を予定していたものの叶わず、その事実はわたしたちが依然としてコロナ禍にあることを認識させるが、コロナ禍の混乱の中で構想しケープタウンのワイン農園で初演された本作はむしろ、この状況下で体験すべきものかもしれない。SPACとのコラボレーションの下、日本平の森を舞台に展開する日本版の回遊型演劇は、演出家・劇作家の大岡淳がキュレーションを担い、国内のミュージシャン、ダンサー、詩人など、多彩なジャンルの表現者がライブパフォーマンスで鑑賞者をもてなすものとなる。

 


『ギルガメシュ叙事詩』


『ふたりの女』©︎Y.Inokuma

 

「ふじのくに野外芸術フェスタ」の作品として駿府城公園紅葉山庭園前広場の特設会場で上演されるSPACの新作は、粘土板にくさび形文字で刻まれた古代文明の象徴にして現存する世界最古の文学作品、紀元前2600年頃に実在したとされるメソポタミア南部の都市国家、ウルクの王ギルガメシュを主人公に、大自然に暮らす親友エンキドゥとの出会いと別れ、自然破壊、そして永遠の生命を求める旅を描いた『ギルガメシュ叙事詩』。演出の宮城はこれが「口承文芸」であった点を重視し、俳優によるコーラスと生演奏で、叙事詩本来の音楽性を立体的に立ち上げる。さらに、チェコを拠点に世界的に活躍する人形劇師・沢則行と初めてタッグを組み、舞台全面を覆いつくす巨大な操り人形「フンババ」(レバノン杉を守護する怪物)が空間をダイナミックに変化させ、大小様々な操り人形は太古の空想世界へと誘う舞台をつくりあげる。本作は2022年3月のフランス国立ケ・ブランリー美術館のクロード・レヴィ=ストロース劇場での世界初演を終え、いよいよ静岡での凱旋上演となる。

舞台芸術公園 野外劇場「有度」では、SPAC野外劇の人気作品『ふたりの女 平成版 ふたりの面妖があなたに絡む』を上演する。1960年代以降、アングラ演劇をリードしてきた劇作家・演出家の唐十郎が、『源氏物語』の光源氏と妻・葵上、生霊となった六条御息所の三角関係に、狂気と正気の境界を描くチェーホフの『六号室』を巧みに織り込んだ傑作『ふたりの女』。唐戯曲を敬愛してやまない宮城が自身の演出術を縦横無尽に駆使した本作は、2009年の初演以来4度目の上演となる。

チケット購入方法は公式ウェブサイトを参照。前売りチケットの販売は既に始まっており、当日券は残席がある場合のみ各公演会場の受付での販売を予定。複数の演目の観劇には、年間3回公演の招待などの特典を備えた「SPACの会」への入会も推奨されている。会期中には、宮城聰とアーティスト・論客たちが自由に語り合う「広場トーク」や、静岡出身の漫画家・しりあがり寿がパフォーミングアーツのジャンルを越境するゲストを招く「しりあがり寿 presents ずらナイト」を開催するほか、地ビールや地元焙煎の珈琲などを取りそろえた演劇祭のコミュニティスペース「フェスティバルgarden」も開設される。また、静岡市「まちは劇場プロジェクト」との連携事業として、静岡市街の路上を舞台としたストリートシアターフェス「ストレンジシード」も開催。現代美術の領域でも活動するcontact Gonzoなど、招待作品によるOFFICIAL SEED、公募形式によるOPEN SEEDから、体験型プログラムを含む数々のパフォーミングアーツが市内各所で展開される。

 

 

ふじのくに⇄せかい演劇祭 2022 上映ラインナップ
チケット予約・お問い合わせ:SPACチケットセンター TEL. 054-202-3399(10-18時)

カリギュラ(日本初演)
2022年4月29日(金・祝)、4月30日(土)
静岡芸術劇場
演出:ディアナ・ドブレヴァ / 作:アルベール・カミュ

私のコロンビーヌ(日本初演)
2022年5月3日(火・祝)、5月4日(水・祝)
静岡芸術劇場
演出・舞台美術・衣裳・出演:オマール・ポラス / 作:ファブリス・メルキオ

星座へ(日本初演)
2022年5月6日(金)、5月7日(土)、5月8日(日)
日本平の森(集合場所:静岡芸術劇場)
コンセプト:ブレット・ベイリー / 日本版キュレーション:大岡淳

ギルガメシュ叙事詩(SPAC新作・日本初演)
[ふじのくに野外芸術フェスタ2022]
2022年5月2日(月)、5月3日(火・祝)、5月4日(水・祝)、5月5日(木・祝)
駿府城公園 紅葉山庭園前広場 特設会場
台本・演出:宮城聰
翻訳:月本昭男(ぷねうま舎刊『ラピス・ラズリ版 ギルガメシュ王の物語』)
音楽:棚川寛子 / 人形デザイン:沢則行

ふたりの女 平成版 ふたりの面妖があなたに絡む
2022年4月29日(金・祝)、4月30日(土)
舞台芸術公園 野外劇場「有度」
演出:宮城聰 / 作:唐十郎

 

 


お茶摘み体験をしよう! in 舞台芸術公園

 

関連企画
お茶摘み体験をしよう! in 舞台芸術公園
2022年5月1日(日)9:30–12:00 ※雨天中止
舞台芸術公園 稽古場棟「BOXシアター」前 集合
参加費:一般 700円、高校生以下 500円、未就学児無料
※要予約

広場トーク
2022年5月5日(木・祝)16:30–17:30
フェスティバル garden
※予約不要、無料

しりあがり寿 presents ずらナイト
2022年5月3日(火・祝)、5月4日(水・祝)、5月5日(木・祝)各日:18:00–21:00
ARTIE(アルティエ)
※予約不要、無料

フェスティバル garden
2022年5月3日(火・祝)、5月4日(水・祝)、5月5日(木・祝)各日:11:00–18:00
駿府城公園 東御門前広場
※入場無料

 

 


 

同時開催
ストリートシアターフェス
ストレンジシード静岡
2022年5月3日(火・祝)、5月4日(水・祝)、5月5日(木・祝)
会場:駿府城公園内各所、静岡市役所・葵区役所、静岡市民文化会館 野外ステージ など
料金:観覧無料 ※一部予約制の場合あり
フェスティバルディレクター:ウォーリー木下
出演予定アーティスト:少年王者舘、contact Gonzo、範宙遊泳、ままごとソロ・ワークス、渡邉尚、壱劇屋×サファリ・P×SPACストレンジチーム、ホナガヨウコ、モモンガ・コンプレックス、sunday、コトリ会議、和太鼓+ダンスユニット<まだこばやし>、齊藤コン、山田裕幸×劇団渡辺、劇団かいぞく船、羊のクロニクルズ(以上、OFFICIAL SEED)
田村興一郎、吉田亜希(流転)、安住の地、夕暮れ社 弱男ユニット(以上、OPEN SEED)
http://strangeseed.info/

 


少年王者舘、2018年


ホナガヨウコ、2021年


壱劇屋×サファリ・P×SPACストレンジチーム、2021年

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