感覚の領域 今、「経験する」ということ @ 国立国際美術館


大岩オスカール《Big Wave (2020)》2020年、作家蔵 ©Oscar Oiwa Studio

 

感覚の領域 今、「経験する」ということ
2022年2月8日(火)- 5月22日(日)
国立国際美術館
https://www.nmao.go.jp/
開館時間:10:00-17:00(金曜、土曜は20:00まで)入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、3/21、5/2は開館)、3/22
展覧会担当:安來正博(国立国際美術館 上席研究員)
参加アーティスト:飯川雄大、伊庭靖子、今村源、大岩オスカール、中原浩大、名和晃平、藤原康博

 

国立国際美術館では、展示空間を「感覚の実験室」に見立て、飯川雄大、伊庭靖子、今村源、大岩オスカール、中原浩大、名和晃平、藤原康博の7名のアーティストの作品を紹介する展覧会『感覚の領域 今、「経験する」ということ』を開催する。

本展企画者の安來正博(国立国際美術館 上席研究員)は、「美術とは、視覚の可能性の限界を押し広げようとする人類の挑戦であった時代を経て、今や、私たちのあらゆる感覚器官を稼働させることによって遭遇する、新しい世界のイメージを開拓する行為である」と捉え、それを「『感覚の領域』の拡大」と言い表す。そして、本展では、「全身の感覚を伴う身体的なもの(飯川雄大、今村源)」、「瞼の内側に生起する生理的な反応へと訴えかけるもの(伊庭靖子、中原浩大、名和晃平)」、「記憶や想像力を動員する思考的なもの(大岩オスカール、藤原康博)」を通じて、さまざまな経験の質を提供する。

 


[参考図版]飯川雄大「デコレータークラブ 配置・調整・周遊」2018年(あまらぶアートラボ A-lab での展示風景)©Takehiro Iikawa, photo: Hyogo Mugyuda, Courtesy of A-lab


[参考図版]今村源《きせい・キノコ―2019》2019年(リボーンアート・フェスティバル
2019 での展示風景)©Hajime Imamura

 

飯川雄大(1981年兵庫県生まれ)は、人の認識の不確かさや社会の中で見逃されがちな事象に注目し、鑑賞者の気づきや能動的な反応を促すような映像やインスタレーションを制作している。近年は『デコレータークラブ―0人もしくは1人以上の観客に向けて』(千葉市美術館、2021)、『デコレータークラブ―知覚を拒む』(高松市美術館、2020)などの個展や、『ヨコハマトリエンナーレ2020「Afterglow―光の破片をつかまえる」』(2020)、『六本木クロッシング2019展:つないでみる』(森美術館、2019)、『美術館の七燈』(広島市現代美術館、2019)などで作品を発表。現在は兵庫県を拠点に活動している。

今村源(1957年大阪府生まれ)は、ボール紙、発砲スチロール、石膏、針金など軽い素材を用い、浮遊感のある彫刻作品を制作している。近年の主な展示に、『パラパラパラ』(ARTZONE、京都、2018)、『Shizubi Project 3 わた死としてのキノコ 今村源』(静岡市美術館、2013)などの個展や『起点としての80年代』(金沢21世紀美術館、高松市美術館、静岡市美術館、2018-2019)、『リボーンアート・フェスティバル 2019』(宮城)などがある。現在は京都を拠点に活動。2015年には第28回京都美術文化賞を受賞している。

 


[参考図版]中原浩大《Text Book》1995年 ©Kodai Nakahara, photo: Shigefumi Kato, Courtesy of Gallery Nomart

 

伊庭靖子(1967年京都府生まれ)は、視覚では見逃しやすい素材と光の関係性によって生じる質感を捉え、絵画や映像に落とし込む作品を制作している。2019年には東京都美術館で大規模な個展『伊庭靖子展 まなざしのあわい』を開催。そのほか、近年の主な展覧会に、個展『SENSE OF TOUCH 2020』(eN arts、京都、2020)、『景風趣情』(成安造形大学【キャンパスが美術館】、2021)、『京都の美術 250年の夢 第1部~第3部 総集編 −江戸から現代へ−』(京都市京セラ美術館、2020)などがある。現在は京都を拠点に活動。

中原浩大(1961年岡山県生まれ)は、さまざまな素材やメディアを駆使した作品で彫刻や美術の概念を問う作品を制作してきた。その表現は彫刻を中心に、ドローイング、絵画、映像など幅広い。2013年には公立美術館初の大規模個展『中原浩大 自己模倣』を開催。近年の主な展示に『Educational』(ギャラリーノマル、2017)、『ジャパノラマ 1970 年以降の新しい日本のアート』(ポンピドゥー・センター・メッス、フランス、2017)、『ニュー・ウェイブ 現代美術の80年代』(国立国際美術館、2018)、『PARERGON: JAPANESE ART OF THE 1980s AND 1990s – PART II』(Blum & Poe、ロサンゼルス、2019)、『横浜美術館コレクション展:リズム 反響 ノイズ』(横浜美術館、2019)など。現在は京都を拠点に活動。

名和晃平(1975年大阪府生まれ)は、感覚に接続するインターフェイスとして、彫刻の「表皮」に着目し、セル(細胞・粒)という概念を機軸として、彫刻の定義を柔軟に解釈し、鑑賞者に素材の物性がひらかれてくるような知覚体験を生み出してきた。2011年には東京都現代美術館で個展『名和晃平─シンセシス』を開催。近年の主な展覧会に、『Metamorphosis Garden(変容の庭)』(GINZA SIX、東京、2021)、『Foam』(金沢21世紀美術館、2019)などの個展や、『森と水と生きる』(長野県立美術館、2021)、『京都の美術 250年の夢 第1部~第3部 総集編 −江戸から現代へ−』(京都市京セラ美術館、2020)、『おさなごころを、きみに』(東京都現代美術館、2020)などがある。現在、京都を拠点に活動。2019年に第32回京都美術文化賞を受賞している。

 


[参考図版]藤原康博《Church on Cloud》2009年 ©Yasuhiro Fujiwara, Thyssen-Bornemisza Art Contemporary Collection, photo: Kenryu Tanaka, Courtesy of MORI YU GALLERY

 

大岩オスカール(1965年サンパウロ生まれ)は、緻密なタッチや鳥瞰図的な構図で、日常と社会問題を独自のユーモアと想像力で新たな地平へ切り開くような絵画を制作しており、壁画も数多く手がけている。2011年にはリオデジャネイロのブラジル国立美術館で個展、2019年には金沢21世紀美術館で個展『光をめざす旅』を開催。そのほか、近年の主な展示に個展『Let’s Go on a Trip!』(ギャラリーノマル、2021)、個展『隔離生活』(アートフロント・ギャラリー、2021)、『森と水と生きる』(長野県立美術館、2021)、『奥能登国際芸術祭 珠洲 2020+』(旧正院駅)、『MOT コレクション Journals 日々、記す』(東京都現代美術館)などがある。現在はニューヨークを拠点に活動。

藤原康博(1968年三重県生まれ)は、山や樹木などの自然の風景を捉えながら、どこか非現実的な様相を鑑賞者に訴えかける絵画や立体作品を制作してきた。近年の主な展示に、個展『記憶の肌ざわり』(日本橋三越本店本館6階 美術 コンテンポラリーギャラリー、2021)、個展『藤原康博個展』(MORI YU GALLERY、2016)、『round trip–世界を往復する–』(崇広堂、三重、2020)、『Undulationism 波動』(AKI GALLERY、台北、2019)、『Para-Landscape(パラランドスケープ)“風景”をめぐる想像力の現在』(三重県立美術館、2019)などがある。

 

関連イベント
講演会、キュレーター・トークなどを開催予定。詳細は決まり次第、公式ウェブサイトにて発表。

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