特別展「梅津庸一 クリスタルパレス」
2024年6月4日(火)-10月6日(日)
国立国際美術館
https://www.nmao.go.jp/
開館時間:10:00–17:00(金、土は20:00まで)入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし7/15、8/12、9/16、9/23は開館)、7/16、8/13、9/17、9/24
展覧会担当:福元崇志(国立国際美術館 主任研究員)
展覧会URL:https://www.nmao.go.jp/events/event/202400604_umetsuyoichi/
国立国際美術館では、美術家・梅津庸一の2000年代半ばから始まった仕事を総覧する特別展「梅津庸一 クリスタルパレス」が開催。「この国で美術家として生きることはいかにして可能なのか?」という問いかけを起点に、展覧会を通して「人がものをつくる」という行為の可能性について再考する。
梅津庸一(1982年山形県生まれ)は、絵画や陶芸、版画制作のほか、私塾の開設や展覧会の企画、非営利ギャラリー・パープルームの主宰と運営、批評テクストの執筆といった多岐にわたる活動を展開。「美術」や「つくる」ことが美術家だけに関わるものではなく、考えることや話すこと、生きることそれ自体とも重なり合う、きわめて広い射程をもった営みだと考え、 大学における造形教育や、アートマーケットのありかた、制作を下支えする産業構造など、美術をめぐる諸制度にその活動全体を通して疑問を投げかけてきた。主な展覧会に「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?——国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ」(国立西洋美術館、東京、2024)、「森美術館開館20周年記念展 ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会」(森美術館、東京、2023)、「ポリネーター」(ワタリウム美術館、東京、2021)、「平成美術:うたかたと瓦礫 1989-2019」(京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ、2021)、「APMoA Project, ARCH vol.20 梅津庸一『未遂の花粉』」(愛知県美術館、2017)など。主なキュレーションに「梅津庸一 エキシビションメーカー」(ワタリウム美術館、東京、2024)、「恋せよ乙女!パープルーム大学と梅津庸一の構想画」(ワタリウム美術館、東京、2017)など。
梅津庸一《智・感・情・A》2012-14年 布、パネルに油彩 東京都現代美術館蔵 撮影:大谷一郎
梅津庸一《霞ヶ浦航空飛行基地》2006年 板に銀、真鍮 高橋龍太郎コレクション
梅津の国公立美術館では初の大規模個展となる本展は、5章によって構成。展覧会の出発点となる「知られざる蒙古斑たちへ」では、公と私、両方にまたがり展開する梅津の仕事を紹介。「この国で美術家として生きること」の可能性を根本から問いなおすため、ラファエル・コランや黒田清輝など明治期における日本の洋画作品を参照し描いた裸の自画像のほか、未発表の大量のドローイング群を展示。
2章「花粉を飛ばしたい!」では、梅津にとって芸術家が別の芸術家に様式や感性の影響を与える際の媒介物を意味する「花粉」をキーワードに、2013年に神奈川県相模原市の自宅で立ち上げた私塾にして美術家集団、画廊としての側面も持つ「パープルーム」の活動を紹介。
3章「新しいひび」では、2021年春に移住した滋賀県に位置する六古窯のひとつ、信楽で制作した陶芸作品を展示。長引くコロナ禍の閉塞感や現代美術という領域への不信から回復するため作陶を始めた梅津は、かつて絵画で取り上げていた主題を陶芸へと転移。また陶芸を手がけるように絵画をつくる制作の連なりを見出すことができる。
4章「現代美術産業」では、窯という施設や工人のサポートがなければ成立しない作陶実践を経て、次第に自らの制作を下支えする「インフラ」への意識を強めた梅津が取り組みはじめた版画作品を紹介。摺師の指導を受けさまざまな版画技法を用いて実験を繰り返すなかで、「つくる」ということが個人に帰属するものだけでないと再認識し、制作という営みをより広い射程から捉えた作品を展示。
5章「パビリオン、水晶宮」では、何らかの物語や型にはめこもうとする美術館側の意図に抵抗を示し、別様に浮かび上がらせるため、1970年に開催された大阪万博にルーツを持つ国立国際美術館を、世界で最初の博覧会である第1回ロンドン万国博覧会(1851)のために建設されたパビリオン、クリスタル・パレス(水晶宮)になぞらえ介入することを試みている。
梅津庸一《sleep in the sky》2022年 陶 作家蔵 撮影:今村裕司
梅津庸一《勢力図》2023年 紙にエッチング、手彩色 個人蔵
関連イベント
アーティスト・トーク
2024年6月8日(土)14:00– ※既に終了
講師:梅津庸一
会場:国立国際美術館 B3階展示室前
定員:先着80名 ※当日10:00から整理券配布(1名につき1枚)
参加費:無料
ギャラリー・トーク
2024年6月22日(土)14:00–
講師:福元崇志(国立国際美術館 主任研究員)
会場:国立国際美術館 B3階展示室
定員:先着30名
参加費:無料(要観覧券)