りんご宇宙 ― Apple Cycle / Cosmic Seed @ 弘前れんが倉庫美術館


ケリス・ウィン・エヴァンス “….the Illuminating Gas” Exhibition view at Pirelli HangarBicocca, Milan, 2019.
Courtesy of the artist and Pirelli HangarBicocca, Milan Photo: Agostino Osio [参考図版]

 

りんご宇宙 ― Apple Cycle / Cosmic Seed
2021年4月10日(土)- 8月29日(日)
弘前れんが倉庫美術館
https://www.hirosaki-moca.jp/
開館時間:9:00-17:00 入館は閉館30分前まで
休館日:火(ただし、4/27、5/4、8/3は開館)
ゲスト・キュレーター:三木あき子

 

弘前れんが倉庫美術館は、弘前市が国内有数最大の生産量を誇る「りんご」をめぐる豊かな思考と想像に着目し、国内外のアーティスト8名の作品を紹介する『りんご宇宙 ― Apple Cycle / Cosmic Seed』を開催する。開館2年目を迎える同館の2021年度は、光とテキストの関係性、思考と意味の関係性を探求するウェールズ出身のケリス・ウィン・エヴァンスによる新作コミッションワークを基点に、異なるテーマの下、春夏と秋冬のふたつのプログラムを実施する。

弘前れんが倉庫美術館のための新作コミッションワークを委託されたケリス・ウィン・エヴァンス(1958年ウェールズ、スラネリ生まれ)は、ネオンやテキスト、鏡、音などの素材を用いて、哲学や音楽、天文学、物理学など多様な分野における先駆的な試みを引用した作品を制作している。2002年のドクメンタ11、2003年の第50回ヴェネツィア・ビエンナーレ・ウェールズ館のグループ展への参加をはじめ、数々の国際展、展覧会で作品を発表。日本国内でもヨコハマトリエンナーレ(2005、2008)、あいちトリエンナーレ2010などに参加し、昨年はポーラ美術館で国内美術館での初個展を開催した。2019年より、弘前で新作のためのリサーチをはじめ、そこで出会ったりんごからインスピレーションを得て、りんごの断面のフォルムや万有引力の公式、惑星の軌道といったモチーフをグラフィカルに組み合わせた光の彫刻を制作した。

 


雨宮庸介《Apple》2018年 Courtesy of SNOW Contemporary


タカノ綾《Near the Source》2017年 ©2017 Aya Takano/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.

 

第一部(春夏プログラム)では、りんごを素材とした新しい創作アプローチや、生と死、循環、種子、変容などに関連して、りんごという日常の身近なものから宇宙規模に展開される豊かなイマジネーションのかたちを紹介する。参加作家には、さまざまな手法を用いた作品で、鑑賞者をいつのまにか違う位相へと連れ出し、物事の境界線への再考を促す雨宮庸介(1975年茨城県生まれ)、時間や生命、あるいはエネルギーなど、目に見えない関係そのものを作品を通じて顕在化させることで、可視化が困難な概念を鮮やかに提示してきた河口龍夫(1940年兵庫県生まれ)、多種多様なジャンルからインスピレーションを得て独自の宇宙を構築してきたタカノ綾(1976年埼玉県)、形態、時間、液体、自然、生の儚さを暗示する「ヴァニタス(空虚)」という古来の主題などの諸要素への関心を、独自の手法で彫刻化していく和田礼治郎。また、開館1年目の『Thank You Memory ―醸造から創造へ―』に参加した笹本晃(1980年神奈川県生まれ)のパフォーマンスや、「弘前エクスチェンジ」プロジェクトで招聘された潘逸舟(1987年上海生まれ)の新作も発表、さらに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で展示が遅延していたジャン=ミシェル・オトニエル(1964年フランス、サン=テティエンヌ生まれ)の新作コミッションワーク《エデンの結び目》が本展より長期展示となる。

なお、「弘前エクスチェンジ #03」では、りんごの研究に取り組む地元の機関・施設の活動を紹介し、研究者やりんごの生産者を招いたトークイベントやさまざまなプログラムを実施する。

 


ジャン=ミシェル・オトニエル《エデンの結び目》(Simulation from the artist studio) ©︎Othoniel Studio

 

関連イベント
オープニングトーク
登壇者(予定):雨宮庸介、タカノ綾、和田礼治郎、潘逸舟
司会:三木あき子(本展キュレーター)
2021年4月10日(土)14:00-16:00
会場:弘前れんが倉庫美術館 ライブラリー
定員:30名(予約先着順)、無料
予約サイトURL:こちらから

 


笹本晃《スピリッツの3乗》2020年 弘前れんが倉庫美術館蔵 ©︎Aki Sasamoto Photo: Naoya Hatakeyama


潘逸舟《おにっこのち》2020年 Courtesy of the artist[参考図版]

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