
アブドゥライ・コナテ『The Diffusion of Infinite Things』
2021年3月6日(土)- 4月10日(土)
STANDING PINE
https://standingpine.jp/
開廊時間:13:00-18:00
休廊日:月・火・祝
※新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により会期や営業時間が変更になる場合あり。詳細は公式ウェブサイトを参照。
STANDING PINEでは、テキスタイルをコミュニケーションの手段として使用する西アフリカの伝統を受け継ぎつつ、政治や環境、社会問題などに言及する大規模なタペストリーのような作品を制作するマリを代表するアーティスト、アブドゥライ・コナテの日本初個展『The Diffusion of Infinite Things』を開催する。
アブドゥライ・コナテ(1953年マリ、ディレ圏生まれ)は、1970年代から80年代にかけて、首都バマコの国立美術学校、留学先のハバナのアルテ研究所で絵画を学び、85年に帰国。当時は、マリ国立博物館やテオドール・モノ・アフリカ美術博物館(旧IFAN美術館)など西アフリカを中心に、仮面や神像をモチーフとする絵画を発表していた。1991年、長期間にわたったムーサ・トラオレの独裁政権を刷新するクーデターが起き、表現の自由が大幅に認められるようになると、コナテは政治的、社会的な問題を示唆するインスタレーションを手がけはじめる。1995年に世田谷美術館を皮切りに国内6館を巡回した『インサイド・ストーリー:同時代のアフリカ美術』では、布、砂、ローブ、石、卵を使ったインスタレーション《アフリカの力》(1991、現在は世田谷美術館蔵)を発表。この頃より、作品の主な素材にテキスタイルを使用し、戦争や移民、権力の乱用、テロ攻撃や虐殺、感染症の驚異やその知識の欠如など、さまざまな国内外の問題への言及を強めていく。本展出品作品《Les boutons d’amour(愛のボタン)》(2005)では、純白の布地の上部にエイズへの理解と支援の象徴として国際的に使われているレッドリボンのロゴを配し、エイズのまん延へ警鐘を鳴らす。コナテは同作について、「ペスト、結核、ハンセン病、そしてエイズなど、すべての危険な感染症の流行は社会に深刻な物語をもたらす。病を患っている人々は、いかなる差別もなしに他の誰よりも愛を必要としている」と語る。


コナテは2000年代以降も、2006年に森美術館でも開催された国際巡回展『アフリカ・リミックス:多様化するアフリカの現代美術』(2004-2007)、ドクメンタ12(2007)、第7回光州ビエンナーレ(2008)などに参加し、2011年にはダカール国立美術館で個展『La toile de Abdoulaye Konaté』を開催。近年も第57回ヴェネツィア・ビエンナーレ企画展「Viva Arte Viva」(2017)、第13回ダカール・ビエンナーレ(2018)、第13回ハバナ・ビエンナーレ(2019)などに参加し、昨年もポンピドゥー・センターで開催された『Global(e) Resistance』に参加、ケープタウンのツァイツ・アフリカ現代美術館のBMWアトリウムで4階建ての高さに及ぶ大規模インスタレーションを発表するなど、精力的な活動を続けている。
近年の作品は、さまざまなシンボルやその本質、色彩のシンフォニーの探求によって構成されており、その色彩は、アフリカのカラリズム、肌の色による人種差別からの逃避というよりはむしろ、この世の中に存在する幸せや喜びに満ちた色彩や色素形成を表現し、より広大で詩的な世界を我々に提示する。本展では、上述した《Les boutons d’amour》のほか、2018年から2020年に制作された新作を発表する。


