ソシエテ・イルフは前進する 福岡の前衛写真と絵画 @ 福岡市美術館


撮影者不詳《イルフ逃亡》1939年 個人蔵

 

ソシエテ・イルフは前進する 福岡の前衛写真と絵画
2021年1月5日(火)- 3月21日(日)
福岡市美術館
https://www.fukuoka-art-museum.jp/
開館時間:9:30-17:30 入館は閉館の30分前まで
休館日:月(祝日・振替休日の場合はその後の最初の平日)、年末年始休館期間(12/28-1/4)
企画:忠あゆみ(福岡市美術館学芸員)

 

福岡市美術館では、1930年代半ばから1940年まで福岡を拠点に活動した前衛美術グループ「ソシエテ・イルフ」を、写真作品や絵画、メンバーが作品を投稿していたカメラ雑誌などの資料とともに、その活動を振り返る展覧会『ソシエテ・イルフは前進する 福岡の前衛写真と絵画』を開催する。

「古い」の逆さ読みから命名されたソシエテ・イルフは、写真愛好家の高橋渡、久野久、許斐儀一郎、田中善徳、吉崎一人、のちにデザイナーとして知られる小池岩太郎、画家の伊藤研之を中心に1939年に福岡市で結成した前衛美術グループ。写真、絵画、工芸の各分野の活動のなかでも、福岡市近郊の海辺や街中を撮影した写真作品は前衛写真の技法や構図を駆使し、イルフのメンバーの当時日本に紹介されていたシュルレアリスムや抽象芸術への好奇心や、身の周りのものに造形の面白さを見出す視線を窺うことができる。戦時色が濃くなり、社会に役立つ作品が求められる空気が漂い、表現の幅が制限されるなかでも、あくまで表現における前衛を志向し、1940年4月に発行した同人誌『irf1』では、「吾々自身の新しき世界を把握すべき」、「ソシエテ・イルフは前進する」と宣言している。戦時体制が全面化するとともにグループとしての活動は終息するが、シュルレアリスムや抽象表現を志向したイルフの活動は、福岡の前衛美術の系譜のなかにあって特異な存在感を放っている。

 


撮影者不詳《イルフ逃亡》1939年 個人蔵

 

ソシエテ・イルフの初の回顧展となった1987年の『ソシエテイルフ:鄉土の前衛写真家たち』から30年余りの年月を経て、本展では、これまでの調査を踏まえて、福岡の前衛美術の系譜、アートコレクティブの先駆け、戦時下の青年美術家の限界などのさまざまな観点からグループの活動を再検証する。会期中には、本展を担当した忠あゆみ(福岡市美術館学芸員)による「ソシエテ・イルフのスライドショー」(作品解説)や講座「ここではないどこかへ! 日本のシュルレアリスム」、また、竹葉丈(名古屋市美術館学芸員)、若山満大(インディペンデント・キュレーター)をゲストにソシエテ・イルフと同時代の写真家や時代状況に関する講演会を開催する。

 


『irf1』高橋渡発行 1940年 個人蔵

 

関連イベント
ソシエテ・イルフのスライドショー
講師:忠あゆみ(福岡市美術館学芸員)
2021年1月9日(土)15:00-16:00(受付開始:14:30)
会場:福岡市美術館ミュージアムホール
定員:180名
※参加無料、先着順

つきなみ講座「ここではないどこかへ!日本のシュルレアリスム」
講師:忠あゆみ(福岡市美術館学芸員)
2021年1月30日(土)15:00-16:00(受付開始:14:30)
会場:福岡市美術館ミュージアムホール
定員:180名
※聴講無料、先着順

ソシエテ・イルフは前進する 福岡の前衛写真と絵画 記念講演会(1)
前衛写真(フォト・アヴァンギャルド)の行方―<ソシエテ・イルフ>を巡る写真家たち
講師:竹葉丈(名古屋市美術館学芸員)
2021年2月27日(土)14:00-15:30(受付開始:13:30)
会場:福岡市美術館ミュージアムホール
定員:180名
※聴講無料、先着順

ソシエテ・イルフは前進する 福岡の前衛写真と絵画 記念講演会(2)
趣味と報国:ソシエテ・イルフをもっとよく知るための写真史 1920-1942
講師:若山満大(インディペンデント・キュレーター)
2021年3月6日(土)14:00-15:30(受付開始:13:30)
会場:福岡市美術館ミュージアムホール
定員:180名
※聴講無料、先着順

 


許斐儀一郎《海の墓標》1939年 個人蔵


高橋渡《エンピツ画》1937年 個人蔵


伊藤研之《音階》1939年 福岡市美術館蔵

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