「ソフィ カル-限局性激痛」原美術館コレクションより @ 原美術館


Sophie Calle Exquisite Pain (1984-2003) © Sophie Calle / ADAGP, Paris 2018 and JASPAR, Tokyo, 2018

 

「ソフィ カル-限局性激痛」原美術館コレクションより
2019年1月5日(土)-3月28日(木)
原美術館
http://www.haramuseum.or.jp/
(ART iT内URL:https://www.art-it.asia/u/HaraMuseum
開館時間:11:00-17:00(祝日を除く水曜は20:00まで)入館は閉館30分前まで
休館日:月曜(1/14、2/11は開館)、1/15、2/12

 

原美術館では、19年前に同館で開かれたフランス人アーティスト、ソフィ・カルの個展『限局性激痛』を再現する企画展『「ソフィ カル-限局性激痛」原美術館コレクションより』を開催する。本展は、2007年にヴェネツィア・ビエンナーレ・フランス館で個展を開催し、昨年から今年にかけてパリの狩猟自然博物館で開かれた個展が話題となるなど、国際的なキャリアを積み上げてきたカルが、1999年に原美術館で実現した空間を体験する貴重な機会となる。

ソフィ・カル(1953年パリ生まれ)は、高校卒業後に大学へは進学せずに中国やアメリカ合衆国、メキシコを旅行し、パリへと戻ってきた70年代後半より、本人が「プライベート・ゲーム」と呼ぶプロジェクトに取り組む。見知らぬ人々を自分の部屋を招き、自分のベッドで眠る様子を撮影したものにインタビューを加えた「眠る人々」(1979)や、パリで出会った男性をパリからヴェネツィアまで尾行した13日間を写真と文章で綴った「ヴェネツィア組曲」(1980)、拾ったアドレス帳に載っていた人物にその持ち主についてのインタビューを行ない、日刊紙リベラシオンに連載した「アドレス帳」(1983)など、自分自身や他者の個人的な体験を基にした物語性の高い、写真と言葉を組み合わせた作品を発表していく。一方では、生まれつき目の見えない人々に美のイメージを問いかけた「盲目の人々」(1986)をはじめ、盲人に焦点を当て、美術の根幹に関わる視覚や認識について深く考察する作品群も継続して発表している。また、小説家のポール・オースターがカルをモデルに小説『リヴァイアサン』(1992)の登場人物マリア・ターナーを描いたことをきっかけに、カル自身がターナーを演じる「ダブル・ゲーム」(1998)を制作するなど、その活動は現代美術の枠組みを超えて広く注目を集めている。

 


Both: Sophie Calle Exquisite Pain (1984-2003) © Sophie Calle / ADAGP, Paris 2018 and JASPAR, Tokyo, 2018

 

1980年代前半より、国内外で数々の個展、企画展を重ね、2003年にポンピドゥー・センターで回顧展『M’as-tu vue?(あなたは私を見た?)』を開催。上述した第52回ヴェネツィア・ビエンナーレ・フランス館の個展では、パートナーがカルに宛てた別れのeメールを、カルに招待されたバレリーナから弁護士まで107人の女性が個々の専門性の下に解釈する「Prenez soin de vous(ご自愛ください)」(2007)や、ビエンナーレ前年に亡くなった母の人生の最後を撮した「Couldn’t Capture Death」(2006)を発表。その後も2010年にハッセルブラッド国際写真賞を受賞。デンマーク・ハムルビークのルイジアナ美術館(2010)、トリノのカステロ・デ・リヴォリ現代美術館(2014)、メキシコシティのタマヨ美術館(2014)など、世界各地の美術館で個展を開催。2019年もヴィンタートゥール写真美術館、サンティアゴ現代美術館での個展が控えている。

日本国内では、京都国立近代美術館、東京国立近代美術館を巡回した『移行するイメージ:1980年代の映像表現』(1990)、『揺れる女/揺らぐイメージ』(栃木県立美術館、1997)、『なぜ、これがアートなの?』(水戸芸術館現代美術ギャラリー、1998-99)、『パサージュ:フランスの新しい美術』(世田谷美術館、1999)や、ギャラリー小柳での個展や杉本博司との二人展で作品を発表。また、2013年には原美術館で二度目となる個展『最後のとき/最初のとき』を開催し、第12回イスタンブール・ビエンナーレで発表した、人生の途中で視力を失った人にインタビューした「最後に見たもの」(2010)、生まれて初めて海を見る人々の表情をとらえた「海を見る」(2011)を空間に合わせて、再構成した展示を実現した(同展は2015年に豊田市美術館、2016年に長崎県立美術館に巡回)。

 


Both: 『ソフィ カル 限局性激痛』1999-2000年 原美術館での展示風景 © Sophie Calle / ADAGP, Paris 2018 and JASPAR, Tokyo, 2018

 

本展で再現される展覧会『限局性激痛』は、日本の美術館におけるカルの初個展として、原美術館で1999年から2000年にかけて開催された。身体部位を襲う限局性(狭い範囲)の鋭い痛みや苦しみを意味する医学用語をタイトルとする「限局性激痛」は、人生最悪の日までの出来事を最愛の人への手紙や写真で綴った第一部と、不幸話を他人に語り、代わりに相手の最も辛い経験を聞くことで、自身の心の傷を癒していく様子を写真と刺繍で綴った第二部で構成される。日本滞在を契機に誕生した同作は、日本で最初に発表したいという作家本人の希望の下、後に制作されたフランス語版や英語版に先駆けて日本語版が制作され、原美術館の展覧会で発表された。原美術館は同展会期終了後に、全出品作品をコレクションに加えた。

2013年にもハラ ミュージアム アーク現代美術ギャラリーで開かれた『紡がれた言葉-ソフィ カルとミランダ ジュライ/原美術館コレクション』で、ミランダ・ジュライの「廊下」(2008)とともに「限局性激痛」全点の展示が行なわれているが、原美術館として使用されている建物の2020年の閉館が発表された現在、19年前の展示を再現する今回の試みは当時の展示を知るものにとっても、初めてその展示を見るものにとっても貴重なものとなるだろう。

なお、本展に合わせて、美術館内の座・ミュージアムショップで「限局性激痛」のフランス語版書籍『Douleur Exquise』を和訳テキストの付録付きで販売予定。また、会期中の2月2日より、ギャラリー小柳で個展『Parce Que[なぜなら]』、ペロタン東京で個展『Ma mère, mon chat, mon père, dans cet ordre[私の母、私の猫、私の父、この順に。]』がそれぞれ開催される。

 

アーティスト・トーク
2019年2月1日(金)
会場:原美術館ザ・ホール
※詳細は決まり次第、原美術館ウェブサイトにて掲載。

 


 

同時開催
ソフィ カル『Parce Que[なぜなら]』
2019年2月2日(土)-3月5日(火)
ギャラリー小柳
http://www.gallerykoyanagi.com/

 

ソフィ カル『Ma mère, mon chat, mon père, dans cet ordre[私の母、私の猫、私の父、この順に。]』
2019年2月2日(土)-3月11日(月)
ペロタン東京
http://www.perrotin.com/

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