第23回アートフィルム・フェスティバル @ 愛知芸術文化センター12階アートスペースA


勅使川原三郎『T-CITY』1993年、愛知芸術文化センター・オリジナル映像作品 Photo: Martin Richardson

 

第23回アートフィルム・フェスティバル
2018年10月26日(金)-11月4日(日)※10月29日(月)は休館
愛知芸術文化センター12階アートスペースA
http://www-art.aac.pref.aichi.jp/

 

愛知県美術館は、実験映画やビデオ・アート、ドキュメンタリー、フィクションなどの枠におさまらない、映像表現の先端的な動向を紹介する特集上映会「アートフィルム・フェスティバル」を開催する。

愛知県美術館は昨年11月より改修工事のために休館中だが、第23回アートフィルム・フェスティバルは、愛知芸術文化センターの開館記念日にあたる10月30日に前後して開催。「映画は如何にパフォーマンスを撮るか?」という特集テーマの下、吉田喜重がパフォーマンスの源流、芸術の根源ともいえる民俗芸能を扱った『愛知の民俗芸能』二部作(1992-93)から、舞踏家の大野一雄を記録した長野千秋の『O氏の肖像』(1969)、ベルナール・エベールが『ラララ・ヒューマン・セックス・デュオ No.1』(1987)や『ベラスケスの小さな美術館』(1994)、音楽制作の現場を取材し、その過程から立ち上がる身体性を救い上げた三宅唱の『THE COCKPIT』(2014)、ビデオ・アートの先駆者のひとりとして知られるビル・ヴィオラの『四つの歌』(1976)など、美術系パフォーマンス、ダンス、演劇、暗黒舞踏、民俗芸能、音楽といったさまざまな身体表現に対峙した映像作品を通じて、映像とパフォーミング・アーツの関係性を考察する。また、近年、主要メンバーの岩田信市や加藤好弘が亡くなった1960年代の前衛的なパフォーマンス・グループ「ゼロ次元」が出演する、金井勝の『無人列島』(1969)も「追悼;ゼロ次元」として上映する。

11月3日には、愛知芸術文化センター・愛知県美術館オリジナル映像作品の最新作、小森はるかの『空に聞く』を初公開する。東日本大震災で被災した陸前高田で、津波で流失した店の跡地にプレハプを建て営業を続ける種苗店を取材したドキュメンタリー『息の跡』(2016)で高い評価を得た小森は、本作では陸前高田の災害FMの活動と、再生しつつあるコミュニティの姿を寄り添いながら、繊細な感覚で撮影している。14:30の上映後には小森によるトークも開催。同日には、同じく小森の『根をほぐす』(2018)のほか、『フタバから遠く離れて』で知られる船橋淳が平成24年度に「オリジナル映像作品」として制作した『放射能』(2013)、パリ郊外の公営住宅地で育った子どもたちを追ったオリヴィエ・バビネの『スワッガー』(2016)も上映する。

最終日となる11月4日(日)には、「オリジナル映像作品」の第2弾作品でもある、勅使河原三郎の初監督作品『T-CITY』(1993)や荒木経惟が撮影を担当した『ケシオコ』(1993 ※撮影は1990)、同作の出演者でもある山口小夜子の表現者としての側面を掘り下げた松本貴子の『氷の花火 山口小夜子』(2015)を上映する。同作上映終了後は、山口と親交のあった黒田育世の講演を行なう。

なお、会期中にムービング・イメージ・フェスティバル(MIF)2018を同時開催。10月27日(土)には、大学や専門学校などの教育機関で制作された学生作品を上映する映画祭「インター・カレッジ・アニメーション・フェスティバル(ICAF)2018」、翌28日(日)には、映像表現研究会主催の「インターリンク:学生映像作品展(ISMIE)2018」を開催する。

 

第23回アートフィルム・フェスティバル|上映スケジュールhttp://www-art.aac.pref.aichi.jp/info/pdf/2018AFFschedule.pdf

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