阿部展也-あくなき越境者 @ 埼玉県立近代美術館


阿部展也「R-12」1966年 千葉市美術館蔵

 

阿部展也-あくなき越境者
2018年9月15日(土)-11月4日(日)
埼玉県立近代美術館
http://www.pref.spec.ed.jp/momas/
開館時間:10:00-17:30 入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、9/17、9/24、10/8は開館)
展覧会企画:松沢寿重(新潟市美術館主幹/学芸員)
展覧会担当:吉岡知子(埼玉県立近代美術館学芸員)
大越久子(埼玉県立近代美術館主席学芸主幹)
※前期(9月15日-10月14日)、後期(10月16日-11月4日)で一部展示替えあり

 

埼玉県立近代美術館では、制作、評論、研究において幅広い分野を越境しながら戦前戦後を通じて日本美術に影響を与えた阿部展也の回顧展『阿部展也-あくなき越境者』を開催する。2000年から翌年にかけて新潟市美術館などで開催された回顧展以来18年ぶりとなる本企画は、広島市現代美術館、新潟市美術館を巡回し、埼玉県立近代美術館が最後の会場となる。

阿部展也(1913~1971)は、新潟で生まれ、東京・小石川の京北中学校に進むも中退。独学で絵画を学びはじめる。1937年に瀧口修造と共作した詩画集『妖精の距離』の挿画で注目を集め、翌年には瀧口を中心とする前衛写真協会の結成に参加、雑誌『フォトタイムス』に実験的な写真を発表するなど、戦前の前衛写真の運動に重要な足跡を残す。39年にはフォトタイムス社特派員として大陸に渡り、旧満州や内蒙古を撮影している。41年からは日本軍宣伝班(後の報道部)写真班に所属し、フィリピンに出征。この時代の活動は不明な点も多いが、近年、現地のローマ・カトリック教徒の宣撫を目的とした雑誌『みちしるべ』の表紙と挿画を手がけたことが明らかになった。戦後は46年に復員し、新宿区下落合にアトリエを構え、キュビスムやシュルレアリスムに影響を受けた人間像を描き、50年代末以降は、具象的なモチーフから離れて、顔料を混ぜた蜜蝋を加熱して画面に定着させるエンコースティックという技法を用いながら、アンフォルメルから幾何学的抽象へと作風を目まぐるしく変化させていく。サンパウロ・ビエンナーレ、カーネギー・インターナショナル、インド国際美術展、ブルックリン美術館主催国際水彩画展など、多くの国際展へ出品しながら、持ち前の語学力を活かし、各国の美術家と親交を結び、海外の美術動向の紹介、国際会議へ参加、国際造型芸術連盟執行委員を務めるなど国内外で活躍。62年にローマに移り、71年に同地で逝去した。

 


阿部展也『妖精の距離』より「風の受胎」1937年 新潟市美術館蔵


阿部展也「Night」1947年 新潟市美術館蔵

 

本展では、初期から晩年にかけての主要作品に加えて雑誌や写真、下絵といった資料類、また、交流のあった国内外のアーティストの作品を含む約230点を通して、国や地域のみならずジャンルや分野を横断し続けた阿部の活動の全貌に迫る。会期中には、本展を企画した新潟市美術館の松沢寿重によるスペシャル・ギャラリートークや、阿部が手がけた宗教宣撫雑誌『みちしるべ』の表紙原画を所蔵する愛知県美術館学芸員で、論文「阿部展也(芳文)と『みちしるべ』:日本占領下のフィリピンにおける画家の活動の一断片」を執筆している副田一穂による講演会「戦時下の道標――フィリピン時代の阿部展也」を開催する。

 


阿部展也「雑誌『みちしるべ』表紙原画」1943年 愛知県美術館蔵

 

関連イベント
講演会「戦時下の道標――フィリピン時代の阿部展也」
講師:副田一穂(愛知県美術館学芸員)
2018年9月16日(日)15:00-16:30(開場:14:30)
場所:埼玉県立近代美術館2階講堂
定員:100名(当日先着順)、無料

スペシャル・ギャラリートーク
講師:松沢寿重(新潟市美術館主幹/学芸員、本展覧会企画者)
2018年9月29日(土)15:00-16:00
場所:埼玉県立近代美術館2階展示室
※要企画展観覧料

 

※そのほかの関連イベントは公式ウェブサイトを参照

 

 


 

2018 MOMASコレクション 第2期
2018年7月14日(土)-10月14日(日)
埼玉県立近代美術館 1階展示室
「セレクション:ピカソとかデルヴォーとか」「吉田克朗:プランと実践」
「大熊家コレクションの名品から」「埼玉の洋画」

2018 MOMASコレクション 第3期
2018年10月20日(土)-2019年1月6日(日)
埼玉県立近代美術館 1階展示室
「セレクション:モネとか斎藤豊作とか」「特集:小茂田青樹」
「激動/激変-1940-50年代の絵画」「光-線|空-間」

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