戸谷成雄 彫刻 @ 埼玉県立近代美術館


《POMPEII‥79 Part1》1974/1987年 撮影:山本糾 ©Shigeo Toya Courtesy of ShugoArts

 

戸谷成雄 彫刻
2023年2月25日(土)– 5月14日(日)
埼玉県立近代美術館
https://pref.spec.ed.jp/momas/
開館時間:10:00–17:30 展示室への入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、5/1は開館)
企画担当:佐原しおり(埼玉県立近代美術館学芸員)、大越久子(埼玉県立近代美術館学芸員)、佐藤あゆか(埼玉県立近代美術館学芸員)
展覧会URL:https://pref.spec.ed.jp/momas/2022toya-shigeo

 

埼玉県立近代美術館では、1970年代から現在に至るまで半世紀にわたり、彫刻とは何かを問い続けてきた戸谷成雄の実践を振り返る大規模個展を開催する。戸谷は1998年から埼玉県秩父郡にアトリエを構え同県を拠点に制作に取り組んでおり、本展は、活動拠点である埼玉県と出身地である長野県という2つの県立美術館による共同開催であり、長野県立美術館からの巡回展となる。

日本の現代美術を代表する彫刻家・戸谷成雄(1947年長野県生まれ)は、愛知県立芸術大学で彫刻を専攻したのち、1970年代より本格的な活動を開始する。彫刻というジャンルが批判や解体にさらされていく同時代の美術潮流のなかで、戸谷は、1974年の初個展『POMPEII‥79』以降、「彫刻」というジャンルの再構築を試み、その根源的な成り立ちや構造を問う作品を発表する。1984年より取り組みはじめた木材の表面をチェーンソーで彫り刻む「森」シリーズの発表を機に国内外で高く評価され、第43回ヴェネツィア・ビエンナーレ(1988)や第3回光州ビエンナーレ(2000/アジア賞受賞)をはじめ、数多くの国際展に参加。90年代より「《境界》から」、「ミニマルバロック」シリーズ、2000年代より「洞穴体」シリーズ、近年は「視線体」シリーズなどを手がけ、精力的な活動を続けている。2009年には紫綬褒章を受章した。

 


《地下の部屋》1984年 撮影:山本糾 ©Shigeo Toya Courtesy of ShugoArts


《洞穴体Ⅲ》2010年 撮影:武藤滋生 ©Shigeo Toya Courtesy of ShugoArts

 

本展は、「森」シリーズをはじめ代表作を含む約40点によって構成、初期の模索にも焦点を当て、初公開となる卒業制作の人体彫刻や資料類をあわせて紹介するなど、戸谷成雄の創作の原点を検証していく。

展覧会は、まず戸谷が学生時代に制作した人体彫刻《男Ⅰ 斜面の男》、《器Ⅲ》を含む3点と、ドローイングを紹介。初個展に出品し、その後の戸谷の制作を方向付けた重要な作品《POMPEII‥79 Part1》も展示される。《POMPEII‥79 Part1》は、西暦79年にイタリアの古代都市・ポンペイにあるベスビオ山で噴火が起きた際に市民の死体が火山灰のなかで気化し、十数世紀後の調査で、その空洞に注ぎ込まれた石膏によって人型が再び出現したエピソードに着想を得た作品であり、その後の戸谷の制作を方向付けた重要な作品でもある。

続いて、代表作「森」シリーズに至る1970年代末から1980年代前半までの戸谷の作品変遷を辿る。素材、形態ともに多岐にわたり、まさに模索期であり、彫刻そのものをコンセプチュアルに捉えなおそうとした初期作品「《彫る》から」「《構成》から」シリーズが展示される。そのほか、戸谷が1983年に過去作品の一部を燃やしたパフォーマンスの貴重な映像記録や、このパフォーマンスから派生した彫刻作品「地下の部屋」も約40年ぶりに公開する。

最後は1990年代から現在までの実践として、「ミニマルバロック」シリーズの代表作や最新シリーズ「視線体」などの大型彫刻作品5点を紹介する。戸谷は2000年頃に造形的な要素を極限まで還元する「ミニマリズム」と、複雑で躍動感のある造形を特徴とする「バロック」という対照的な概念を同居させた造語を生み出す。そこには自己と他者、内部と外部、日本と西欧など異なる概念の相克を捉え、そこから表現を立ち上げようとする戸谷の姿勢が端的に表れている。

 


《洞穴体Ⅴ》2011年 撮影:山本糾 画像提供:武蔵野美術大学 美術館・図書館


《森Ⅸ》2008年 ベルナール・ビュフェ美術館蔵 撮影:山本糾 画像提供:武蔵野美術大学 美術館・図書館

 

関連イベント
対談 戸谷成雄(彫刻家)×建畠晢(当館館長)
2023年3月12日(日)14:00-15:30(開場は13:30)
場所:埼玉県立近代美術館 2階講堂
定員:60名(申込不要、先着順)
料金:無料

担当学芸員の作品解説会
2023年2月26日(日)14:00-15:00(開場は13:30)
場所:埼玉県立近代美術館 2階講堂
定員:60名(申込不要、先着順)
料金:無料

 


同時開催
MOMASコレクション(1階展示室)
第3期 「セレクション」「まるく /まわる」

2022年12月3日(土)- 2023年2月26日(日)

第4期 「セレクション」「倉田白羊と森田恒友」「奥原晴湖 /菊沢武江」
2023年3月4日(土)- 5月7日(日)

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