ウェザーリポート-風景からアースワーク、そしてネオ・コスモグラフィア @ 栃木県立美術館


クラウス・ダオフェン「HANAZAKARI 花ざかり」2008年 ©Klaus Dauven, Photo: Takeshige Yamaya

 

ウェザーリポート-風景からアースワーク、そしてネオ・コスモグラフィア
2018年6月30日(土)-8月26日(日)
栃木県立美術館
http://www.art.pref.tochigi.lg.jp/
開館時間:9:30-17:00 入館は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、7/16は開館)、7/17

企画:山本和弘(栃木県立美術館シニア・キュレーター)

 

栃木県立美術館では、同館シニア・キュレーターの山本和弘による企画展『ウェザーリポート-風景からアースワーク、そしてネオ・コスモグラフィア』を開催する。人間の都合とは無縁の自然の摂理を「どんな天気でも、それはいい天気なんだ」と表現したヨーゼフ・ボイスの言葉を引き、山本は世界各地で自然災害が頻発する21世紀においてもその言葉が有効だろうかと問い立てる。

このような気象現象を視覚化したのは風景画といわれているが、風景画は空間恐怖(ホロル・ヴァクイ)を克服すると同時、空間の自由な表象化を固着し、今日の観光化された表象のモデルを提供してきた。一方、天文学や地理学と美術が交差する機会がほとんどなかったのが原因なのか、風景画の成立に先立って誕生したコスモグラフィアという地球画とも宇宙画とも呼ぶべき図像は、美術において重視されてこなかった。しかし、望遠鏡などの光学装置とヘリコプターや飛行機、宇宙探査機などの飛翔機械の目覚ましい発達は、かつて風景画が提起した水平的眼差しとは異なる垂直的眼差しが美術に視覚革命ともいうべき事態をもたらした。

そのような解釈の下、本展は風景を成立させる基体としての大気の上層にある光源と地表、そして不可視の光源であるマグマを結ぶ垂直軸と地表的な水平軸の交差における眼差しのダイナミズムから美術における新たな世界画としてのネオ・コスモグラフィアの可能性を探っていく。

 


日高理恵子「樹を見上げてⅥ」1992年、水戸芸術館所管、撮影:加藤健

 

本展企画者の山本和弘は1985年より栃木県立美術館勤務。近年は『画像進化論-サルからヒトへ、そしてスペクタクルの社会:メディア的進化と創造的退行のダイナミズム』(2011)、『マンハッタンの太陽-光学芸術から熱学芸術への拡張:18世紀から21世紀の“太陽画”の系譜』(2013)、『2D(にじげん)プリンターズ-芸術:世界の承認をめぐる闘争について』(2017)などを企画。2015年にはαMプロジェクト2015のゲストキュレーターとして、『資本空間-スリーディメンショナル・ロジカルピクチャーの彼岸』を企画している。主な論文に「社会システムへの異議申し立て-ヨーゼフ・ボイス《資本空間1970-77》(1980)」(2014)、「ロバート・スミッソン-メタ-サイトとしての絵画」(2014)、主な訳書にハンス・アビング『金と芸術-なぜアーティストは貧乏なのか?-芸術という例外的経済』(グラムブックス、2007)ハイナー・シュタッヘルハウス『評伝ヨーゼフ・ボイス』(美術出版社、1994)がある。

 

関連イベント
ギャラリー・トーク
2018年6月30日(土)15:30-(60分程度)
2018年8月4日(日)14:00-(60分程度)
会場:企画展示室(企画展入口に集合)
※事前申込不要、要企画観覧券

 


千葉麻十佳「Melting Stone」2017年、作家蔵


山中信夫「マンハッタンの太陽(1)」1980年、栃木県立美術館蔵(山中利正氏寄贈)

 


同時開催
Collection 2 特集 没後30年 羽石光志
2018年6月30日(土)-10月21日(日)

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