ホー・ルイ・アン
2025年4月17日、公益財団法人大林財団は、制作助成プログラム「都市のヴィジョン— Obayashi Foundation Research Program」の第5回助成対象者に、シンガポール出身のアーティスト、ホー・ルイ・アンを選出したと発表した。
ホー・ルイ・アン(1990年シンガポール生まれ)は、現代美術、映画、パフォーマンス、理論の交錯する領域で活動するアーティスト。レクチャーやエッセイ、映画などを通してグローバル時代のさまざまな統治システム下での労働やテクノロジー、資本の関係性を探求している。これまでに上海ビエンナーレ(2023)、バンコク・アート・ビエンナーレ(2020)、光州ビエンナーレ(2018)、ジャカルタ・ビエンナーレ(2017)、シャルジャ・ビエンナーレ13(2017)、コチ・ムジリス・ビエンナーレ(2014)など数々の国際展に参加。また、クンストハレ・ウィーン(2021)での個展やナショナル・ギャラリー・シンガポール(2022)、ハオス・デア・クルトゥーレン・デア・ヴェルト(ベルリン、2017)などでプロジェクトを発表した。日本国内では、「ディス/コネクション:日本とアジアの現代アートと映画」(ASAKUSA、東京、2024)、「響きあうアジア2019」(東京芸術劇場)、「サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から」(森美術館、国立新美術館、2017)に参加したほか、「呼吸する地図たち」(山口情報芸術センター[YCAM]、2018)では、YCAMと第12回光州ビエンナーレが共同委託した《アジア・ザ・アンミラキュラス》を発表し、レクチャー・パフォーマンスを実施した。「都市のヴィジョン」における活動内容の詳細は、後日、決定次第改めて発表される。
ホー・ルイ・アン《A Petropolis in a Garden with a Long View》2024年 Courtesy of A+ Works of Art, Photo: Quinn Lum
ホー・ルイ・アン《Figures of History and the Grounds of Intelligence》2024年 Courtesy of A+ Works of Art, Photo: Quinn Lum
「都市のヴィジョン」は、アーティストが「都市」をテーマに研究・考察する活動の支援を目的に、大林財団が2017年度に設立した制作助成事業。豊かで自由な発想を持ち、さらに都市のあり方に強い興味を持つ国内外のアーティストを対象に、5人の選考委員の推薦に基づいて助成対象者を決定している。第5回の推薦選考委員を務めたのは、野村しのぶ(東京オペラシティアートギャラリー シニア・キュレーター ※選考委員長)、保坂健二朗(滋賀県立美術館ディレクター(館長) ※選考副委員長)、飯田志保子(キュレーター)、大坂紘一郎(アサクサ代表)、藪前知子(東京都現代美術館学芸員)。
選出にあたり、選考委員長の野村は「『価格』を基軸に東アジアおよび東南アジア地域を展望し、歴史的な条件が現代の国家と市場メカニズムに与える影響を研究・考察するホーの視点は、『メタ市場』という都市を形づくる重要かつ見えない基盤を浮かび上がらせるものです。アーティストならではのナラティヴによって、今回の研究が都市と現代社会にどのような光を当ててくれるのか。これまでの採択者のなかでもっとも若い世代のアーティストからの新鮮な提言に期待を寄せています」とコメントした。
公益財団法人大林財団:https://www.obayashifoundation.org/
ホー・ルイ・アン《24 Cinematic Points of View of a Factory Gate in China》2023年 Courtesy of the artist
ホー・ルイ・アン《Student Bodies》2019年 Courtesy of the artist
過去の助成対象者
2023年|イム・ミヌク
2021年|exonemo
2019年|シアスター・ゲイツ
2017年|会田誠