第18回イスタンブール・ビエンナーレがテーマを発表


 

2025年2月24日、イスタンブール文化芸術財団は市内のベイオール・スポーツクラブで記者会見を開き、キュレーターのクリスティン・トーメが9月に開幕を控える第18回イスタンブール・ビエンナーレのテーマを「The Three-Legged Cat(三本足の猫)」に決定したと発表した。

キュレーターの選考過程におけるエルドアン政権の影響が疑われる不可解な対応をめぐって当初予定していた2024年の開催を延期する事態に至り、新たな体制を整えた上で、昨年10月にベイルートに拠点を置く現代美術協会アシュカル・アルワンの創設ディレクターのクリスティン・トーメがキュレーターに就任していた。

3年間を3期に分けて開催する第18回展。2025年9月20日から11月23日まで開催される第1期は、40組以上のアーティストが参加し、展覧会、パフォーマンス、上映会、トークなどを実施。昨年末の参加アーティストの公募には105の国/地域から1,500通近い応募があり結果は3月末に発表する。続く2026年の第2期は学校を設立し、地元のイニシアティブと協力して公開プログラムを行ない、2027年の第3期は展覧会とワークショップを通じて出会い、見つけてきたものをまとめた内容になる。

 


クリスティン・トーメ 写真:Salih Üstündağ

 

キャリアを通じて文化生産や芸術教育、共同体形成に関わるキュレーションやインスティテューションにおける実践を手がけてきたトーメは、ビエンナーレのテーマを「The Three-Legged Cat(三本足の猫)」と発表。「何千年にもわたり飼い慣らされてきたにもかかわらず、危機においてその野生を失わない猫。(中略)遊びと危険のあいだで揺れ動く猫は、不安な心持ちながらも暗くてよく見えない道を進む。時にその代償は大きく、手足を失うことさえある。三本足の猫はあちらこちらを静かに彷徨い、現れては消えてゆく。その足取りは語り尽くせぬ恐怖の響きを伝える。それでも時折息を整え、空を見上げ、この星の地平線に疑問を投げかける。時に躓きながらも優雅さを失うことなく、新たな躰の動かし方を身につけていく。踏み固められた道を外れていくことで、猫の悪戯心を真似し、太陽の暖かさに安らぎを見つけながら、変容の空間を作り出すことが可能となる」と、猫からの学びを説いた。(ステートメント全文

なお、記者会見が開かれたベイオール・スポーツクラブは、オスマン帝国時代の1877年にイスタンブールに住むギリシャ人が「エルミス」として設立。1886年にアスリティコス・シロゴス・ペラ、1914年にペラに改名し、トルコ共和国建国以後に現在の名称で呼ばれるようになった。建物内ではイスタンブールのスポーツの歴史に欠かせない同クラブの歴史を紹介している。第18回展ではビエンナーレ会場のひとつとして、さまざまなパフォーマンスの上演が予定されている。

 

第18回イスタンブール・ビエンナーレ「The Three-Legged Cat」
第1期|2025年9月20日(土)-11月23日(日)
第2期|2026年通年(※地元団体との共同プログラム)
第3期|2027年9月18日(土)-11月14日(日)
https://bienal.iksv.org/en
キュレーター:クリスティン・トーメ

 


写真:Salih Üstündağ

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