オードリー・イルマス賞2015

2015年1月15日、バードカレッジ・センター・フォー・キュラトリアル・スタディーズ(以下、CCS Bard)は、展覧会制作に対して長期にわたる貢献を果たしてきたキュレーターやアーティストの功績を讃えるオードリー・イルマス賞を、アシュカル・アルワン・レバノン現代芸術協会ディレクターのクリスティン・トーメと、アーティストでフランクリン・ファーネイス創設者のマーサ・ウィルソンのふたりに授与した。トーメとウィルソンにはそれぞれ賞金12,500ドル(約146万円)が授与された。

クリスティン・トーメは1964年ベイルート生まれ。インディペンデント・キュレーター。ベイルート・アメリカン大学で英文学、ロンドンのゴールドスミス・カレッジで現代美術理論を学ぶ。1994年に非営利の芸術支援組織、アシュカル・アルワン・レバノン現代芸術協会を設立する。同協会では2002年から中東のアーティストなどを紹介するフォーラム「Home Works: A Forum on Cultural Practices」を開催している(同フォーラムで2005年に紹介されたラビア・ムルエは、その後、2007年に東京国際芸術祭で新作の世界初演を上演した)。2006年にはプリンス・クラウス賞を受賞している。

マーサ・ウィルソンは1947年フィラデルフィア生まれ。フェミニスト・アーティストの先駆的存在として知られる。ウィルソンが1976年に設立したフランクリン・ファーネイスは、アーティスト・ブックのコレクション、その場限りのインスタレーションやパフォーマンス、インターネットを使った作品に焦点をあてた実験的な展示、アーティストへの助成などを行なっている。これまでに、ジェニー・ホルツァー、バーバラ・クルーガー、クシシュトフ・ヴォディチコといったアーティストに初の発表の機会を与えたほか、キャリアを確立したアーティストにとっても実験的な作品を発表する舞台を提供している。

同賞は1998年に創設され、2012年より、同賞支援者でありCCS Bardのボードメンバーのオードリー・イルマスの名を冠している。歴代受賞者には、ハラルド・ ゼーマン(1998)、カスパー・ケーニヒ(2000)、リン・クック(2006)、カトリーヌ・ダヴィッド(2008)、オクウィ・エンヴェゾー(2009)、ハンス・ウルリッヒ・オブリスト(2011)らがいる。

CCS Bard Curatorial Excellence:http://www.bard.edu/ccs/visit/about-ccs-bard/award-for-curatorial-excellence/

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