光州ビエンナーレ パク・セボ美術賞


Oum Jeongsoon, Elephant without trunk (2023). Iron sheet, wool and fabric. 300 × 274 × 307 cm. Courtesy the artist and Gwangju Biennale Foundation

 

2023年4月6日、光州ビエンナーレ財団は、光州ビエンナーレの創立の精神と価値観を反映する作品を制作したアーティストの表彰を目的に新設した「光州ビエンナーレ パク・セボ美術賞」を、オム・ジョンスンに受賞する旨を発表した。オムには賞金10万ドル(約1320万円)が授与される。

オム・ジョンスン(1961年韓国チュンジュ生まれ)は、「見るということ」に一貫した関心を向けながら、絵画をはじめとする幅広い制作活動を続けるとともに、長きにわたり視覚障害を持つ人々との協働にも取り組んでいる。ビエンナーレで発表した《Elephant without Trunk》(2023)は、約600年前にインドネシア、日本を経て朝鮮半島に初めて入ってきた象が全羅道の島に流刑にされる受難の旅をたどり直し、その土地土地で視覚障害を持つ学生たちと実施してきたプロジェクトの延長線上に位置する。オムは視覚障害を持つ学生の聴覚と触覚、嗅覚に基づく体験を通して、その象を再解釈し、鑑賞者が触れながら鑑賞できる作品として実際の大きさに拡大して再提示した。

授賞にあたり審査員から「正確に見ること、全体を見ることができる者など誰ひとりとして居らず、私たちは皆この世界の一部を見ているに過ぎません。パンデミックにおいて、私たちはたくさんのことをオンラインで行なうよう強いられてきました。オム・ジョンスンはこのポスト・パンデミックの時代のビエンナーレに力強いメッセージを届けてくれました。私たちのリアリティについて思い出させてくれるこの作品は、国籍もジェンダーも時代をも超えて、とても重要な意味を持つもので、ジャンルを超えた強いつながりや、今日まで受け継がれてきた伝統を通じて、生きる意味を明確に示してくれるものです」とコメントが寄せられた。本年度の審査員は、フランシス・モリス(テート・モダン館長)、キャロライン・クリストフ=バカルギエフ(カステロ・デ・リヴォリ現代美術館館長)、片岡真実(森美術館館長)、ユン・ボムモ(韓国国立現代美術館館長)、ユン・ジェガプ(インディペンデントキュレーター)が務めた。

 

光州ビエンナーレ2023
2023年4月7日(金)- 7月9日(日)
https://gwangjubiennale.org/
アーティスティックディレクター:イ・スキョン
会場:光州ビエンナーレホール、光州博物館、ホランガシー・アートポリゴン、無覚寺(ムガクサ)、アートスペース・ハウス

 


Oum Jeongsoon, Elephant without trunk (2023). Iron sheet, wool and fabric. 300 × 274 × 307 cm. Courtesy the artist and Gwangju Biennale Foundation

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