レポート:「中園町サイレント盆踊り」

▼「中園町サイレント盆踊り」終了!

8月24日(水)に、YCAMと市民が協働するアートプロジェクト「meet the artist 2022」の一環として、「中園町サイレント盆踊り」を開催し、終了しました。ご来場いただいたみなさま、どうもありがとうございました。本イベントは、地蔵盆であるこの日に併せて行ったもので、イヤホンで音楽を聴きながら静かに盆踊りを楽しむイベントです。

撮影:谷康弘

まず、サイレント盆踊りの前に、子どもの頃に旧金子邸に住んでいた方から地蔵盆の思い出をお話いただきました。現在も旧金子邸の横には隣家の方がお祀りされているお地蔵さまがあります。その方が子どもだった1950年代は、隣家の奥さんが近隣の奥さんたちに協力してもらって食事やお菓子の「ご接待」があったそうです。近所の子どもたちはこの日がとても楽しみだったそうで、その方が持参してくださった当時の写真や絵日記、そして今回のために記憶を元に描き起こしてくださった当時の近隣の地図からも当時の様子がうかがえました。ほかにも、地蔵盆の接待で出されるという「ひめしまごはん」も作っていただき、地域交流の場としての地蔵盆が当時はどんな雰囲気でどんな役割を果たしていたのかが推測できる、さまざまなエピソードをうかがうことができました。

撮影:谷康弘

その後、参加者は山口市の盆踊りにおけるスタンダードナンバー「大内のお殿様」の動画をみながらウォーミングアップも兼ねて一緒に踊りました。小学生の頃、学校でよく踊ったという参加者もいれば、はじめて知ったという県外出身の参加者まで、一連の踊りの型を繰り返すうちに、慣れていき身体と気分も同時に高めていきました。

撮影:谷康弘

そして、いよいよサイ レント盆踊りに突入します。この日は、DJに俚謡・盆踊り・民俗学に造詣の深いおRYO!を迎え、おRYO!がミックスする音楽を無線で送信、踊り手はイヤホンでその音楽を聞きながら盆踊りをします。参加者たちは最初、イヤフォンから流れてくる音楽に「聞こえた!すごい」と静かな歓声をあげつつも、身体を動かすことには戸惑いを見せます。しかし、おRYO!が創り出す独自のリズムに自然と身体が動いていき、踊りの講師がいるわけでもない環境でしたが、参加者は思い思いの振付で盆踊りに没入。時におRYOの歌声や掛け声、または誰かの振り付けに呼応してみたりと、約1時間踊り続けました。参加者の中には時に休憩がてらイヤフォンを外してみる人も。その時は、音楽がない状態で踊っている人たちをただ眺めることになるわけですが、踊る参加者たちの、熱を帯びたグルーブ感は、その表情や場の空気からも伝わってきた様子。踊る人も観る人もその場にいる人たち全員が高揚感を感じるイベントとなりました。

撮影:谷康弘

「meet the artist 2022」では、このほかにも多くのイベントを開催しますので、YCAMのウェブサイトなどを随時、チェックしてみてください。また、本プロジェクトでは随時、プロジェクトメンバーを募集しています。こちらはYCAMのウェブサイトのお問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。

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