シンガポールを代表するアーティスト、ホー・ツーニェン
「京都学派」をテーマにVRとアニメーションによる映像インスタレーション、世界初公開
シンガポールを拠点に活躍するアーティスト、ホー・ツーニェンによる新作インスタレーションを発表する展覧会です。
ホー・ツーニェンは、さまざまな歴史的、哲学的テクストや素材から映像作品、インスタレーション、演劇的パフォーマンスを発表してきたシンガポールを代表するアーティストのひとりです。近年では東南アジアの歴史に深い関わりを持つ、第二次世界大戦期の日本についても作品を通じて取り上げています。
本展では、哲学者の西田幾多郎(1870〜1945)や田辺元(1885〜1962)を中心に形成されたグループで、1930年代から40年代の日本の思想界で大きな影響力を持った「京都学派」をテーマに、YCAMとのコラボレーションのもと、VR(ヴァーチャル・リアリティ)とアニメーションによる新作の映像インスタレーションを発表します。

本展では、哲学者の西田幾多郎(1870〜1945)や田辺元(1885〜1962)を中心に形成されたグループで、1930年代から40年代の日本の思想界で大きな影響力を持った「京都学派」をテーマに、YCAMとのコラボレーションのもと、VR(ヴァーチャル・リアリティ)とアニメーションによる新作の映像インスタレーションを発表します。
アニメーションとVRによる歴史の再演

本展で発表する新作《ヴォイス・オブ・ヴォイド―虚無の声》で主に取り上げるのは、「京都学派四天王」と呼ばれた西谷啓治(1900〜1990)、高坂正顕(1900〜1969)、高山岩男(1905〜1993)、鈴木成高(1907〜1988)によって、真珠湾攻撃の直前の1941年11月末に開催された座談会「世界史的立場と日本」です。本作では、この座談会の内容を中心に、彼らと彼らを取り巻く人々が1930年代から40年代にかけて産み出した様々なテクストにアプローチしていきます。
本作は、3Dアニメーションと日本のアニメの美学を組み合わせ、VRによって鑑賞者がアニメーションの登場人物へと同一化し、より没入感のある体験をもたらします。
歴史上の人物やその逸話をもとに、公式に語られてきた歴史をイメージとテクストの集積によって紐解き、虚構や矛盾を含む複雑性を露わにさせるホー・ツーニェンと、VRをはじめとするテクノロジーを用いた新しい芸術表現を模索してきたYCAM。両者のコラボレーションによって制作される本作では、師と弟子、講演者と聴衆、加害者と被害者といった、京都学派を取り巻く錯綜した関係を描き出し、VRによる登場人物への同一化を通して、歴史の再演を試みます。