私が死ななければならないのなら、あなたは必ず生きなくてはならない @ ワコウ・ワークス・オブ・アート


Henk Visch Que sais-je? (Montaigne) (2023) Bronze, h 27cm, Photo: Henk Visch © Henk Visch, courtesy WAKO WORKS OF ART

 

私が死ななければならないのなら、あなたは必ず生きなくてはならない
2024年5月17日(金)-6月29日(土)
ワコウ・ワークス・オブ・アート
https://www.wako-art.jp/
開廊時間:12:00–18:00
休廊日:日、月、祝
キュレーション:ヘンク・フィシュ
展覧会URL:https://www.wako-art.jp/exhibitions/ifimustdieyoumustlive/

 

ワコウ・ワークス・オブ・アートでは、アーティストのヘンク・フィシュのキュレーションの下、パレスチナ出身の詩人や画家の作品にフォーカスした「私が死ななければならないのなら、あなたは必ず生きなくてはならない」が開催。

本展のタイトルは、パレスチナの詩人リフアト・アルアライール(1979-2023/パレスチナ、ガザ地区生まれ)が最後にSNSに投稿した詩の冒頭部分であり、本展全体を通底するメッセージとなっている。2023年11月にこの詩を投稿した翌月、アルアライールはイスラエル軍の空爆により絶命。本展ではフィシュの新作を含む彫刻作品やドローイング、ムスアブ・アブートーハの詩、スライマーン・マンスールの版画、ガザのためにアーティストたちが制作したポスターを中心に紹介。また、長年フィシュと親交があり、今回の企画意図に賛同した奈良美智の新作を展示。現在もなお苛酷な状況下にあるパレスチナの人々に思いを巡らす契機となるだろう。

ヘンク・フィシュ(1950年オランダ、アイントホーフェン生まれ)は、詩を綴るような深い思索から導き出されたさまざまな思考の様相を、制作を通じて形を与え、知覚の可能性を物体として表現してきた。1972年にスヘルトーヘンボス王立美術アカデミーを卒業し、1980年頃よりヨーロッパを中心に作品の発表を開始。最初に作品として発表した560cmの橋は、現在、オランダのクレラー・ミューラー美術館のコレクションに加えられており、以来、ミュンヘン、ロッテルダム、アントワープなどヨーロッパ各地に公共彫刻が設置されている。1988年に第43回ヴェネツィア・ビエンナーレ・オランダ館で個展を開催。ドクメンタへの2度の参加(1992、2002)をはじめ、現在に至るまで数々の展覧会に参加。また、シンガポール・ビエンナーレ(2006)、釜山ビエンナーレ(2006、2014)など、近年はアジアでの発表機会も増えている。2023年にはオランダのウィルヘルミナ女王就任100周年を記念して創設されたWilhelminaring賞を受賞。現在、受賞記念展『Dance in the Court of Justice』(2024年3月24日〜6月23日)が オランダのCODA美術館にて開催中。

ムスアブ・アブートーハ(1992年パレスチナ、ガザ地区生まれ)は、ガザ地区の難民キャンプで生まれ育ち、学生の頃より詩の世界に親しんだ。2022年に出版した詩集『Things You May Find Hidden in My Ear: Poems from Gaza』が、パレスチナ・ブック・アワードやアメリカン・ブック・アワードを受賞、全米批評家協会賞の最終候補にも選出された。2017年にはガザで初めての英語図書館であるエドワード・サイード公共図書館を創設。2017年から2019年までガザのUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)学校で英語教師として教鞭を執った。

スライマーン・マンスール(1947年パレスチナ、ビルゼイト生まれ)は、1973年にパレスチナ芸術家連盟を、1994年にはエルサレムにアル・ワシティ・アート・センターを共同設立しディレクターを務めるなど、長年パレスチナの美術界を牽引してきた画家のひとり。第一次インティファーダ(蜂起)の際には、ほかの作家たちとともに「ニュー・ビジョン」アート運動を始め、イスラエルからの物資をボイコットし、身の回りにある泥や木材、染料などの素材を作品に使用したことでも知られている。伝統的な衣装を身に纏った人々の姿や、パレスチナの土地を題材にした作品は、人々の長年にわたる苦難と抵抗の記憶を伝える。パレスチナ・ビジュアルアーツ賞や、第7回カイロ・ビエンナーレ(1998)におけるグランド・ナイル賞を受賞。 2019年には、パレスチナとアラブの文化を国際的に広めた功績により、ユネスコによる”アラブ文化シャルジャ賞”を受賞。

 

関連イベント
ヘンク・フィシュによるアーティスト・トーク
2024年5月18日(土)15:00–17:00 ※既に終了
英語でのテキスト朗読(10–15分程度)後、来場者とヘンク・フィシュによる自由な意見交換と対話。※同時通訳なし
会場:ワコウ・ワークス・オブ・アート

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