特別展「アイノとアルヴァ 二人のアアルト フィンランドー建築・デザインの神話」

アイノ・アアルトとアルヴァ・アアルト、ニューヨーク万国博覧会・フィンランド館にて
1939年 Aalto Family Collection

開催概要

展覧会名:アイノとアルヴァ 二人のアアルト フィンランド-建築・デザインの神話
AINO and ALVAR AALTO: Shared Visions
会期:2021 年7 月10 日(土) - 8 月29 日(日) ※開幕日を7月3日から変更しました。
開館時間:午前10 時 - 午後6 時(金・土曜日は午後8時まで)※入場は閉館の30 分前まで休館日 :月曜日(ただし、8 月9 日(月・振休)は開館、翌10 日(火)は休館)

観覧料金:一般1,600円/大学生1,200円/高校生以下無料/70歳以上800円/障がいのある方(一般)400円/障害のある方(大学生)300円

※予約優先制です。詳細は当館Web サイトにてご確認ください。
予約・展覧会についてのお問い合わせ TEL 078-262-1011
※一般以外の料金でご利用される方は証明書を当日ご提示ください。
※障がいのある方1名につき、介護の方1名無料です。
※コレクション展は別途観覧料が必要です(本展とあわせて観覧される場合は割引があります)。
※団体鑑賞をご希望の場合は事前にご連絡ください。

会場 :兵庫県立美術館 企画展示室
主催 :兵庫県立美術館、毎日新聞社
共催:公益財団法人ギャラリー エー クワッド
特別協力: アアルト・ファミリーコレクション(アルヴァ&アイノ アアルト・エステート)、アルヴァ・アアルト財団、 公益財団法人 竹中育英会
後援: フィンランド大使館、フィンランドセンター
協賛: フィンエアー、フィンエアーカーゴ、アルテック、イッタラ
特別協賛: 公益財団法人伊藤文化財団、公益財団法人日本教育公務員弘済会 兵庫支部
企画協力: S2株式会社

開催趣旨

モダニズムの建築家として世界的に活躍したアルヴァ・アアルト(1898-1976)には、25年間にわたりデザインパートナーとして対等な関係にあった妻アイノ・アアルト(1894-1949)がいました。現在、アルヴァの業績とされている多くの作品には、アイノの思想が多分に生かされていたことが明らかになっています。二人は、「日常の暮らしにこそデザインが必要である」という思想から、フィンランドの環境特性に基づき、自然のモチーフを取り入れたデザインで建築設計のほか、家具、グラスウェアのデザインなど現在も愛される名品を数多く残しました。本展では、このように互いに影響しあい、補完しあいながら制作を行ったアアルト夫妻の業績を、二人の出会いからモダニズムの潮流を受けて機能主義へと至り、更に国際舞台での活躍に続く過程をご紹介します。
展覧会は、アアルト・ファミリーコレクションとアルヴァ・アアルト財団の全面的な協力を受け、貴重なデッサンや図面のみならず、公私ともにパートナーであった二人の軌跡を記録する写真なども展示します。
また、2019年はフィンランド・日本の修好100周年にあたり、2020年にかけてギャラリーエークワッドおよび竹中道具館で本展の一部を先駆けて紹介しています。

 

展覧会構成

イントロダクション 二人のアアルト

ヘルシンキ工科大学を卒業後、アルヴァが設立した小さな建築事務所にアイノが訪れたことから 2人のパートナー関係は始まりました。暮らしを大切にするアイノの視点が加わったことで、アルヴァの作品には柔らかさや優しさが生まれたと言われています。1920年代に国際的に起こったモダニズムの影響を受けながらも、夫妻はフィンランドの環境特性に配慮し、自然のモチーフを取り入れた独自のデザインを探求していきます。

1920 年代 協働のはじまり-モダニズムとの出会い

1章 イタリアから持ち帰ったもの
1920年代、フィンランドではまだ古典主義建築が隆盛を誇っていました。1924年の秋、アイノとアルヴァは新婚旅行のために北イタリアを訪れ、バロックやルネサンス様式の建築を見て刺激を受けます。この経験は、その後にアルヴァが初めて手掛けた重要な公共建築の作例となるユヴァスキュラの労働者会館やムーラメの教会に活かされました。一方のアイノは、家族のために素朴な夏の家、ヴィラ・フローラを設計しています。

2章 モダンライフ
1927年、アルヴァの事務所が大規模建築プロジェクトである南西フィンランド農業協同組合ビルの設計競技に優勝したのを機に、一家はトゥルクに移住します。当時フィンランドで最先端だった国際都市で、革新的な技術や洗練されたモダンな生活スタイルに触れ、アイノとアルヴァの建築は短期間のうちに完全なモダニズムへと変貌をとげていきました。特にアルヴァが近代建築国際会議(CIAM)に参加したことで、2人は交流の場を国外へも広げ、社会をよりよくするものとしてのモダニズムの考え方を深めていきます。

1930 年代 飛躍-フィンランドから世界へ

3章 木材曲げ加工の技術革新
かねてより木材による新たなデザインの可能性を探っていたアアルト夫妻は、トゥルクで家具の開発にも注力しました。熟練した家具職人オット・コルホネンとの出会いによって、木材曲げ加工の技術を発展させ、国産で安価なバーチ材を使用した「パイミオ チェア」を誕生させます。この作品は、アアルトの名を家具デザイナーとしても一躍有名にしました。また、座面と足の接続部の強度を高めるために「L – レッグ」という加工技術を開発し、特許を取得しています。

4章 機能主義の躍進
国内でも早い段階でモダニズムの思想や手法を取り入れたアルヴァは、規格化された部材や軽量間仕切り壁によって部屋の数を増減することができるフィンランド初の機能主義集合住宅を設計しました。その後、本格的な機能主義建築であるトゥルン・サノマット新聞社ビルをはじめ、規格化への取り組みを始めます。この頃の代表的な作品として、パイミオのサナトリウムやヴィープリの図書館があります。

ヴィープリの図書館 講堂 Alvar Aalto Foundation

5章 アルテック物語
1935年、インテリアデザインを手掛ける会社アルテックがヘルシンキに設立されました。アイノが初代アートディレクターを務め、当時最先端の技術を使ったアアルト家具に加えて上質な輸入品を販売しました。また、ストアではモダンアートの展覧会を開催するなど、フィンランドにおける文化の発信地となりました。また、夫妻はレストラン・サヴォイのような総合的なインテリアを手掛けたり、幼稚園や保育園の内装を提案するなど、国民の暮らしを向上させる手段としてのモダニズムを推し進めました。

6章 モダンホーム
住宅問題に関心を持っていたアルヴァは、社会をより良くする手段としてのモダニズムの形に注力します。パイミオのサナトリウムやカウットゥアの製紙工場の社宅など、労働者のための機能的な集合住宅を提案し、また実業家などの個人の住宅のインテリアもアルテックの家具やモダンアートを組み合わせて構成しました。普遍的で使いやすく居心地のよい住居づくりを紹介するために、数多くの展示会も開催しています。

1930 年代後半~ 1940 年代 国際舞台での功績 引き継がれる二人のヴィジョン

7章 国際舞台でのアアルト夫妻
アアルトの名前はその機能主義的な建築作品と革新的な家具によってヨーロッパに広く知られるようになっていきます。1933年のミラノ・トリエンナーレや1937年のパリ万国博覧会への参加、また1938年のニューヨーク近代美術館での個展の開催、そして1939年ニューヨーク万国博覧会におけるフィンランド館のデザインなど、アイノとアルヴァの活動は国境を越えて拡大し、彼らに対する評価は時の一流建築家と肩を並べるほどになりました。

ニューヨーク万国博覧会・フィンランド館、1939年 Alvar Aalto Foundation

エピローグ 分かち合ったヴィジョン

ニューヨーク万国博覧会の参加によってアメリカでも評判を高めたアルヴァは、マサチューセッツ工科大学(MIT)に教師として招かれ、また同大学の学生寮ベイカーハウスの設計も依頼されました。これは、アイノとアルヴァがともに手掛けた最後のプロジェクトの一つになりました。夫妻が協働した1949年までの25年間にアイノが果たした功績を明らかにすることは不可能ですが、ファミリー・コレクションを始め今日まで残されている数多くの資料や写真が2人の軌跡を物語っています。

関連イベント

※新型コロナウイルス感染防止のため、予定を変更する場合があります。当館Webサイトより最新の情報をご確認ください。

学芸員による解説会

日時:7月24日(土)、8月14日(土) いずれも午後4時より約45分
場所:レクチャールーム(定員50名)
聴講無料(当日先着順)

ミュージアム・ボランティアによる解説会

日時:会期中の毎週日曜日 午前11時~(約15分)
場所:レクチャールームにて(定員50名)
聴講無料(当日先着順)

 

 

 

 

Copyrighted Image