2025年度の展覧会情報を公開しました。
今年、広島は被爆80周年を迎えます。夏には「被爆80周年記念 記憶と物 ―モニュメント・ミュージアム・アーカイブ―」を開催。この他、平和を希求するヒロシマを見つめ、未来に繋ぐ役割を果たすべく、2025年も様々な活動を展開していきます。
・年間スケジュール
・特別展
被爆80周年記念 記憶と物 ―モニュメント・ミュージアム・アーカイブ―
2025年6月21日(土)~9月15日(月祝)
イサム・ノグチ《広島の原爆死没者慰霊碑(1/5模型)》1952/1991
戦争や原爆の記憶と美術表現との関係をテーマとした展覧会。戦中の銅像やその作り手、戦後に再建された像の例から、それらが関係した記憶の形成、忘却、再構成について考えます。また、モニュメント、ミュージアム、アーカイブといった記憶形成にかかわる物や活動に関心を持ち、主題として取り扱うアーティストによる近年の試みを紹介し、過去を現在との連続性において捉え、過去の営みと対話的に向き合う姿勢について検討します。これらとともに「ヒロシマ」をテーマとした当館コレクションをあわせて紹介することで、表現や制度を通して形成される戦争の記憶、当事者性、過去を継承する可能性についての対話的、建設的な議論と思索の場を提起します。
鷹野隆大 カスババ ―この日常を生きのびるために―
2025年9月27日(土)~12月7日(日)
鷹野隆大《2023.03.24.sc.#035》〈CVD19〉より 2023 ©Takano Ryudai, Courtesy of Yumiko Chiba Associates
鷹野隆大(1963- )は写真集『IN MY ROOM』(2005)で第31回木村伊兵衛賞を受賞し、現在も国内外で活躍を続ける写真家、アーティストです。鷹野はセクシュアリティをテーマにした作品と並行し、〈毎日写真〉や〈カスババ〉といった日常的なスナップショットを手がけ、さらに東日本大震災以降は「影」を被写体とした、写真の根源に迫るテーマにも取り組んでいます。本展のタイトルである〈カスババ〉とは鷹野による造語で、カスのような場所(バ)の複数形です。初公開作品を含む鷹野の軌跡を概観する本展は、出口が見えなくなりつつあるこの日常を生きのびるヒントとなることでしょう。
エイドリアン・バーグ展(仮)
2026年1月24日(土)~4月12日(日)
エイドリアン・バーグ《シェフィールド公園1985-86 年秋》1985-86
20世紀後半のイギリス美術を代表する画家のひとり、エイドリアン・バーグ(1929-2011)を紹介します。遠近法や従来の色彩理論にはとらわれない独自のスタイルで風景画を描きつづけ、とくに1961年からの約30年間は自宅のテラスから見える王立公園リージェンツ・パークをもっぱらの主題として風景画の再構築に挑みました。イギリスからの日本初公開作品を軸に、当館所蔵の《シェフィールド公園1985-86年秋》等もくわえて、バーグの画業を振り返ります。
フィンランド・スピリット サウナ展
2026年3月14日(土)~6月28日(日)
グンヴァル・オリン=グロングヴィストのデザインによるマグとピッチャーのセット 1950年代
Photo: Maija Holma
日本でもブームが定着したサウナ。その発祥は約2,000 年前のフィンランドと言われています。サウナに宿る精をもてなすとその家に繁栄がもたらされるという古くからの民話がいまも生きるフィンランドでは、サウナは社交場としても定着し、フィンランド人の生活文化に欠かせないものとなりました。本展ではサウナにまつわる歴史や文化をひも解くとともに、アルヴァ・アアルトをはじめとした北欧デザイナーとサウナの関わりも紹介します。
・コレクション展
コレクション展2023-Ⅱ 展示風景 Photo: Kenichi Hanada
広島市現代美術館のコレクションを代表する選りすぐりの作品群を紹介する「ハイライト」と、土地としての広島と被爆地としての歴史を表象するヒロシマの交差点を探る「広島/ヒロシマ」の二部構成で展開します。また第3期には、コレクション展示を拡張させる試みとして、ゲストアーティストを迎えての関連資料や特別出品を交えた企画「コレクション・リレーションズ」を実施します。
コレクション展2025-Ⅰ:4月26日(土)~8月24日(日)
コレクション展2025-Ⅱ:9月6日(土)~2026年2月1日(日)
コレクション展2025-Ⅲ+コレクション・リレーションズ:2026年2月14日(土)~6月7日(日)
・オープン・プログラム
もかけん(もっとかわっていくための検討会議)
不定期開催(年4回程度)
パフォーマンス・ワークショップ:踊る宝石(2024.11.23開催) Photo: Nonoko Kameyama
だれもが安心して美術表現に親しめる美術館をめざして、研究者やアーティストを交えて公開勉強会やワークショップを実施。今年度のテーマは「からだ」。年齢や障害の有無も含め、わたしたちの身体はそれぞれ違っていることに注目します。違いを知ることで美術館との間にあるバリアを理解し、それぞれが美術館を楽しむための視点を学ぶ機会とします。
もかけん連動展示 ふれる、ほどける、トーン!(仮)
2025年9月27日(土)~2026年1月12日(月・祝)
大崎晴地《エアートンネル》2013
2023年のリニューアルオープン後より、年間を通じて開催している「もかけん(もっとかわっていくための検討会議)」の連動展示として、「ふれる、ほどける、トーン!(仮)」を開催。関わり合いの方法について考えるきっかけを与えてくれる4組の作家(大崎晴地、ジダーノワ・アリーナ、福田惠、MAGNET)を紹介します。彼らの作品は、個々の人間が持つ世界の豊かさを想像させ、異なる背景を持つ者同士のコミュニケーションの方法について気づきをもたらしてくれるでしょう。
Hirohisma MoCA FIVE 25/26
2025年12月20日(土)~2026年3月1日(日)
Hiroshima MoCA FIVE 23/24 展示風景 Photo: Kenichi Hanada
アーティストを目指す人たちの支援を目的にリニューアルした公募展の第2回。「リニューアル」をテーマに掲げた第1回では、300名を超える応募の中から5名の作家が選出され、新たな視点や表現の可能性を示しました。今回も、さらなる才能を発掘し、活躍できる場を創出します。入選者5組によるフレッシュな表現を、ぜひご覧ください。
※応募要項やテーマは6月頃にウェブサイトで発表予定。
https://www.hiroshima-moca.jp/