公益財団法人アルカンシエール美術財団は、1979年に「原美術館」を東京都品川区に、1988年に「ハラ ミュージアム アーク」を群馬県渋川市に設立し、この二つの美術館を拠点(いずれも博物館法の定めによる「登録博物館」)として、現代美術の振興と国際交流につとめてまいりました。
このたび、当財団では、来る2020年12月末をもって「原美術館」を閉館し、また2021年からは、「ハラ ミュージアム アーク」の館名を「原美術館ARC(アーク)」と改め、「原美術館ARC」を唯一無二の拠点として、引き続き活動していくことにいたしました。
原美術館の施設は、理事長・原俊夫の祖父である実業家・原邦造の邸宅として1938年に竣工したものを再生利用し、特色ある鑑賞空間として好評を博してきました。創立以来、美術館活動のために必要な改修や増築を重ねてまいりましたが、竣工から80年を経た建物は老朽化が進み、この先、美術館として一般公開するには適さない状況に至ると予想されます。また、古い建築を再利用しているがゆえに、公共性を持った施設としては、ユニバーサルデザインやバリアフリーの観点からも問題を看過できません。建替えには法規制上の制約も厳しくのしかかる状況等をふまえて検討した結果、活動拠点を「ハラ ミュージアム アーク」改め「原美術館ARC」に集約することを決定した次第です。
世界的に活躍する建築家・磯崎新氏の設計による「原美術館ARC」は、保養地として知られる伊香保温泉にも近い榛名山麓の高原に位置します。広大な敷地を有し、豊かな緑に囲まれた木造の美術館は、建築それ自体が美術作品と言えるものです。2008年には東洋古美術の「原六郎コレクション」を紹介する特別展示室「觀海庵」を増築し、今年、開館30年を迎えました。40年をかけて育んだ現代美術館のDNAを受け継ぎつつ、自然と調和し恵まれた美術鑑賞の機会を提供する「原美術館ARC」の活動に、ご期待いただければ幸いです。
さて、閉館まで残すところ約2年となった原美術館ですが、開催中の《リー・キット「僕らはもっと繊細だった。」》展終了後も、《ソフィ カル―限局性激痛 原美術館コレクションより》[2019年1月5日-3月28日]、崔在銀構想による《未来の過去(仮題)》[4月13日-7月28日]、そして加藤泉の個展と当館ならではの企画が続きます。今後もご支援いただきますようお願い申し上げます。
2018年11月
公益財団法人アルカンシエール美術財団