マックスマーラ・アート・プライズ・フォー・ウィメン、最終候補を発表

Collezione Maramotti. East entrance. Photo: Bruno Cattani

 

2026年3月12日、マックスマーラはジャカルタのヌサンタラ近現代美術館[MACAN]を連携パートナーに迎えた第10回マックスマーラ・アート・プライズ・フォー・ウィメンの最終候補に、いずれもインドネシア出身で同国を拠点に活動する5名のアーティスト、ベティ・アディー、ジクラ・アフィファ、イペェ・ヌル、ミラ・リズキ、ディアン・スチを選出したと発表した。受賞者は、2026年5月に発表予定。

ロンドンのホワイトチャペル・ギャラリーとの20年に及ぶ協働を経て、エディション毎に異なる国、連携パートナーと開催する新たな形式を開始したマックスマーラ・アート・プライズ・フォー・ウィメン。大規模な個展開催などの実績を持たない新進のアーティストを支援する意図はそのままに、新たな出発をインドネシア、ジャカルタのヌサンタラ近現代美術館と共に開始する。ヴェネツィア・ビエンナーレのアーティスティックディレクター経験を持ち、ニューヨークのハイライン・アートのディレクター兼チーフキュレーターを務めるチェチリア・アレマーニを審査委員長に、ヴィーナス・ラウ(MACANディレクター)、アマンダ・アリアワン(キュレーター)、メーガン・アルリン(ara contemporary共同設立ディレクター)、エヴェリン・ハリム(コレクター)、ムラティ・スルヨダルモ(アーティスト)の6名が審査を担当する。

受賞者は、イタリアにて半年間にわたる滞在制作を実施。2027年にジャカルタのヌサンタラ近現代美術館[MACAN]とレッジョ・エミリアのコレツィオーネ・マラモッティにて個展を開催する。

 

Betty Adii, A Legacy of Resistance (Are You Really Listening?) (2024) © Betty Adii, Courtesy Sharjah Art Foundation, Photo: Motaz Mawid
Dzikra Afifah, Fragilization by Landscape (2024) © Dzikra Afifah
Photo: Yohanes Rian Yustianto

 

先住民族パプア出身のベティ・アディー(1997年パプア州ワメナ生まれ)は、闘争、連帯、生存における女性的な要素に根ざした表現を独学で学び、ドローイングや絵画、インスタレーションを通して、パプア人の置かれた政治的、社会的現実を映し出す、辛辣でいて詩的な表現を制作してきた。個人的な物語と集団的な物語を織り交ぜたその表現は、伝統文化の要素と現代的な形式を結びつけ、支配的な語りを問い直し、パプアの女性の声を拡張する。現在はジョグジャカルタを拠点に活動。近年は、シャルジャ・ビエンナーレ16(2025)、ジョグジャ・ビエンナーレ16、17(2021、2023)などでも作品を発表している。

ジクラ・アフィファ(1998年バンドン生まれ)は、粘土で形成したものが焼成中に変形するようにくり抜くという独自の「引き算」の手法を取り入れた陶芸作品を中心に発表している。捏ねたり、形成したり、持ち運んだりといった制作過程は常に肉体的な労力を伴い、その彫刻はアーティストと素材、工程、文脈の境界線が絶えず変化する交渉の空間を創り出す。それは彫刻を生み出す努力や感情、不確実性とは切り離すことができないものである。近年は2022年にARTJOGヤング・アーティスト賞、2024年に第8回バンドン・コンテンポラリー・アート賞を受賞、現在はバンドンを拠点に活動している。

 

Ipeh Nur, Like a dark and mysterious sea
(2023)
© Ipeh Nur
Photo: ARTJOG
Mira Rizki, Rebak Raung Warga (2021) © Mira Rizki Photo: Museum MACAN

 

イペェ・ヌル(1993年ジョグジャカルタ生まれ)は、記憶、歴史、神話、口承をテーマとする物語を、ドローイングや絵画を基礎に、バティック(ろうけつ染めの布地)、陶芸、版画、彫刻、インスタレーション、映像、壁画といったさまざまな表現媒体や技術を通して展開してきた。制作に使用する素材は、単なる象徴やメタファーではなく、作者自身の身体と繋がるための媒体となる。古代神話に基づいた数々の作品を発表し、2019年以降はインドネシア諸島における海洋文化を探究している。ジョグジャカルタを拠点に活動し、近年はニューヨークの47 Canalやスカルプチャー・センター(2024)、シャルジャ・ビエンナーレ16(2025)などで作品を発表。2024年にはピンチューク財団主催のフューチャー・ジェネレーション・アート・プライズの特別賞を受賞している。

ミラ・リズキ(1994年バンドン生まれ)は、サウンドやインタラクティヴィティ(相互作用性)を取り入れた領域横断的な表現を展開している。音のかたちやその知覚方法に鋭敏なリズキは、文脈、環境、記憶の差異が各々の聴覚体験をいかに形成するのかについて探究し、没入的な音響作品を創り出すために聴覚記憶やサウンドスケープの実験を通じて、それぞれの人々がその人独自の方法で音を認識しているのかを明らかにしてきた。これまでにILHAMギャラリー(クアラルンプール、2025)、第15回光州ビエンナーレにおけるインドネシア館(2024)、ヌサンタラ近現代美術館(2021)などで作品を発表。バンドンを拠点に活動を続ける。

ディアン・スチ(1985年ケブメン生まれ)の実践は、ドメスティックな物語と国家の政治権力が交差する領域を扱っている。自らのシングルマザーとしての日常的な経験に基づいたその作品は、女性に対する政治的抑圧、権威主義とファシズム、家父長制、資本主義といったインドネシアの女性が直面するさまざまな問題の根底にある構造的な問題を取り上げてきた。空間構成に対する鋭い感覚を備え、インスタレーション、絵画、彫刻、映像など、さまざまな表現方法による作品を発表している。昨年はシャルジャ・ビエンナーレ16(2025)にも参加。ジョグジャカルタを拠点に活動している。

 

マックスマーラ・アート・プライズ・フォー・ウィメン(Max Mara Art Prize for Women)https://www.collezionemaramotti.org/en/max-mara-art-prize-for-women

 

Dian Suci, Larung May the Blooms Be Carried Safely through the Night
(2024) © Dian Suci Photo: Dian Suci

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