国際芸術祭「あいち2025」が全参加アーティストを発表


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2025年2月26日、国際芸術祭「あいち」組織委員会が今秋9月に開幕を予定している国際芸術祭「あいち2025」に参加するすべての参加アーティストを発表した。

昨年2月と9月の2回にわたり発表された36組に、今回新たに24組(現代美術23組、パフォーミングアーツ1組)が加わり、国際芸術祭「あいち2025」には計60組のアーティストが参加することが決定した。芸術監督を務めるフール・アル・カシミ(シャルジャ美術財団理事長兼ディレクター)は、「今回の芸術祭では、人間と環境の間に浮上している様々な問題について、アーティストたちの芸術実践を通じて別の視点やアプローチから解きほぐしていく道を探ります。アートといってもその表現方法は実に多様であり、社会で起こっているさまざまな事柄と密接に結びついています。そうしたアートに目を向け、世界と向き合うことで、危機を乗り越えていくための糸口が見つかるかもしれません」とコメントを寄せた。また、やきもので知られる瀬戸市が「陶土をはじめとする豊かな天然資源と人々の生活とが分かちがたく絡み合っていること」も芸術祭のテーマである「灰と薔薇のあいまに」の着想源のひとつとなったことを明かした。

 


ミルナ・バーミア《Sour Cords》2024年 Courtesy of Nika Project Space and the artist.


シモーヌ・リー《Untitled》2023-24年 ©Simone Leigh, courtesy the artist and Matthew Marks Gallery

 

新たに発表されたアーティストは、現代の政治的ジレンマに翻弄されるパレスチナのコミュニティの社会的関心と限界を紐解くことで、消失の政治と記憶の生成を探求、近年は発酵のプロセスに注目しながら幅広い作品を制作しているパレスチナ出身のミルナ・バーミア、ベイルートにあるアラブ・イメージ財団で諮問委員も務め、画面の外に追いやられがちな「押し殺された声」が、しばし息を吹き返す場所としての写真や映像の可能性を探求するハラーイル・サルキシアン、スーダンの芸術運動ハルツーム派の一員として、アフリカのモダニスト達の芸術に関する議論に大きな影響を与えたカマラ・イブラヒム・イシャグ 、黒人女性としての主観性をテーマにした作品群により、第59回ヴェネツィア・ビエンナーレでは企画展「The Milk of Dreams(夢のミルク)」の参加アーティスト部門で金獅子賞を受賞したシモーヌ・リー、西オーストラリア州キンバリー地方を居住地とするヤウル族の末裔で、否定されたり忘れ去られたりしてきた個人的な歴史や家族の歴史を掘り下げてきたロバート・アンドリュー。また、瀬戸市で2017年にカフェとギャラリーの機能を持つ「Art Space & Cafe Barrack」をオープン以降、さまざまな企画を開催し、美術・食・歴史・音楽・造形教育といった多層的な要素を取り込みながら、人との関わりの中で作品やスペースを展開する古畑大気と近藤佳那子によるアートユニットBarrackや、ガーナを拠点にアートとデザイン、そして環境に配慮した建築の融合に取り組み、国際芸術祭「あいち2025」ではラーニングとのコラボレーションで版築のプロジェクトを実施予定の建築スタジオハイブ・アースなど。

国際芸術祭「あいち2025」は、愛知芸術文化センター、愛知県陶磁美術館、瀬戸市のまちなかを主な会場に、2025年9月13日から11月30日まで79日間にわたって開催される。会期中には、県内4カ所(豊田市、設楽町、大府市、豊川市)で巡回展示「ポップ・アップ!」も開催される。

 

国際芸術祭「あいち2025」
「灰と薔薇のあいまに」

2025年9月13日(土)- 11月30日(日)
https://aichitriennale.jp/
芸術監督:フール・アル・カシミ(シャルジャ美術財団理事長兼ディレクター/国際ビエンナーレ協会(IBA)会長)
主な会場:愛知芸術文化センター、愛知県陶磁美術館、瀬戸市のまちなか

巡回展示「ポップ・アップ!」
豊田市(豊田市民芸館)2025年10月24日(金)- 10月26日(日)
設楽町(旧設楽町立田峯小学校)2025年10月31日(金)- 11月3日(月・祝)
大府市(大府市歴史民俗資料館、大府市役所)2025年11月7日(金)- 11月9日(日)
豊川市(豊川市桜ケ丘ミュージアム)2025年11月14日(金)- 11月24日(月・振替休日)

 


ロバート・アンドリュー《Presence》2019年 Installation view: ‘Presence’ IMA Belltower. Courtesy of the artist and Milani Gallery, Brisbane.

 

参加アーティスト ()内は出身・結成地/活動拠点の順に表記。太字は今回新たに発表されたアーティスト

現代美術部門
バゼル・アッバス&ルアン・アブ゠ラーメ|Basel Abbas and Ruanne Abou-Rahme(キプロス/米国、パレスチナ|米国/米国、パレスチナ)※パフォーミングアーツ部門にも参加
メイサ・アブダラ|Maitha Abdalla(アラブ首長国連邦/アラブ首長国連邦)
ジョン・アコムフラ|John Akomfrah(ガーナ/英国)
ロバート・アンドリュー|Robert Andrew(豪州/豪州)
浅野友理子|Asano Yuriko(日本/日本)
ミルナ・バーミア|Mirna Bamieh(パレスチナ/ポルトガル)
Barrack(古畑大気+近藤佳那子)|Barrack (Furuhata Taiki + Kondo Kanako)(日本/日本)
マリリン・ボロル・ボール|Marilyn Boror Bor(グアテマラ/グアテマラ)
ミネルバ・クエバス|Minerva Cuevas(メキシコ/メキシコ)
エレナ・ダミアーニ|Elena Damiani(ペルー/ペルー)
アフラ・アル・ダヘリ|Afra Al Dhaheri(アラブ首長国連邦/アラブ首長国連邦)
プリヤギータ・ディア|Priyageetha Dia(シンガポール/オランダ)
ソロモン・イノス|Solomon Enos(米国/米国)
シモーヌ・ファタル|Simone Fattal(シリア/フランス)
札本彩子|Fudamoto Ayako(日本/日本)
ハイブ・アース|Hive Earth(ガーナ/ガーナ)
ウェンディー・ヒュバート|Wendy Hubert(豪州/豪州)
イキバウィクルル|ikkibawiKrrr(韓国/韓国)

 


久保寛子《ヒト新世の群像》2022年 Photo: 浅野堅一

 

カマラ・イブラヒム・イシャグ|Kamala Ibrahim Ishag(スーダン/アラブ首長国連邦、スーダン)
加藤泉|Kato Izumi(日本/日本)
川辺ナホ|Kawabe Naho(日本/ドイツ、日本)
ムハンマド・カゼム|Mohammed Kazem(アラブ首長国連邦/アラブ首長国連邦)
是恒さくら|Koretsune Sakura(日本/日本)
久保寛子|Kubo Hiroko(日本/日本)
シモーヌ・リー|Simone Leigh(米国/米国)
チャヌーパ・ハンスカ・ルガー|Cannupa Hanska Luger(米国/米国)
マユンキキ|Mayunkiki(日本/日本)※パフォーミングアーツ部門にも参加
シェイハ・アル・マズロー|Shaikha Al Mazrou(アラブ首長国連邦/アラブ首長国連邦)
宮本三郎|Miyamoto Saburo(日本)
水谷清|Mizutani Kiyoshi(日本)
諸星大二郎|Morohoshi Daijiro(日本/日本)
ムルヤナ|Mulyana(インドネシア/インドネシア)
ワンゲシ・ムトゥ|Wangechi Mutu(ケニア/ケニア、米国)
永沢碧衣|Nagasawa Aoi(日本/日本)
ダラ・ナセル|Dala Nasser(レバノン/レバノン)
小川待子|Ogawa Machiko(日本/日本)

 


ハラーイル・サルキシアン《Execution Squares》2008年 Colloction of Tate Modern.


ロバート・ザオ・レンフイ《Albizia》2023年

 

大小島真木|Ohkojima Maki(日本/日本)
沖潤子|Oki Junko(日本/日本)
太田三郎|Ota Saburo(日本)
クリストドゥロス・パナヨトゥ|Christodoulos Panayiotou(キプロス/キプロス)
panpanya|panpanya(日本/日本)
マイケル・ラコウィッツ|Michael Rakowitz(米国/米国)
シルビア・リバス|Silvia Rivas(アルゼンチン/アルゼンチン)
西條茜|Saijo Akane(日本/日本)
ハラーイル・サルキシアン|Hrair Sarkissian(シリア/英国)
佐々木類|Sasaki Rui(日本/日本)
バーシム・アル・シャーケル|Bassim Al Shaker(イラク/米国)
ヤスミン・スミス|Yasmin Smith(豪州/豪州)
杉本博司|Sugimoto Hiroshi(日本/米国)
冨安由真|Tomiyasu Yuma(日本/日本)
アドリアン・ビシャル・ロハス|Adrián Villar Rojas(アルゼンチン/拠点を定めずに活動)
山本作兵衛|Yamamoto Sakubei(日本)
ロバート・ザオ・レンフイ|Robert Zhao Renhui(シンガポール/シンガポール)

 


フォスタン・リニエクラ『My body, my archive』2023年 Photo: Sarah Imsand

 

パフォーミングアーツ部門
AKNプロジェクト|AKN PROJECT(日本/日本)
ブラック・グレース|Black Grace(ニュージーランド(アオテアロア)/ニュージーランド(アオテアロア))
クォン・ビョンジュン|Kwon Byungjun(韓国/韓国)
フォスタン・リニエクラ|Faustin Linyekula(コンゴ/コンゴ )
オル太|OLTA(日本/日本)
セルマ&ソフィアン・ウィスィ|Selma & Sofiane Ouissi(チュニジア/チュニジア、フランス|チュニジア/チュニジア)※現代美術部門にも参加
態変|TAIHEN(日本/日本)

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