国際芸術祭「あいち2025」の芸術監督が決定


Hoor Al Qasimi ©SEBASTIAN BÖTTCHER

 

2023年7月5日、国際芸術祭「あいち」組織委員会は、国際芸術祭「あいち2025」の芸術監督に、シャルジャ美術財団理事長兼ディレクターのフール・アル・カシミを招聘すると発表した。

フール・アル・カシミ(1980年シャルジャ生まれ)は、2009年にシャルジャ美術財団を設立し、国際ビエンナーレ協会会長(2017)、ニューヨークのMoMA PS1、北京のユーレンス現代美術センターなどのボードメンバーなどを歴任し、シャルジャやアラブ首長国連邦だけでなく、中東地域および世界各地の芸術の活性化に尽力している。シャルジャ美術財団では、芸術におけるさまざまな実験や刷新を積極的に取り入れ、国際巡回展をはじめ、レジデンスプログラム、コミッションワークや制作助成、パフォーマンスや映画のフェスティバル、建築の調査や保存、幅広い年齢層に向けた教育プログラムまで、絶え間なく活動領域を拡張している。また、第6回シャルジャ・ビエンナーレ(2003)の共同キュレーターを務めて以来、同ビエンナーレのディレクターを担い、2023年の第15回シャルジャ・ビエンナーレでは故オクウィ・エンヴェゾーの後を引き継ぎ、キュレーションを手がけた。そのほか、第56回ヴェネツィア・ビエンナーレUAE館(2015)や第2回ラホール・ビエンナーレビエンナーレ(2020)でもキュレーターを務めている。

就任に際して、アル・カシミは「この度、国際芸術祭「あいち2025」の芸術監督に就任し、大変嬉しく光栄に思います。私は、日本の言語や文化、アーティストやキュレーターとの交流などを通して、日本と長く関わってきました。今回の機会に感謝すると共に、より多くの専門家とより一層愛知について学び、地元のアーティストやコミュニティと密接に連携しながら、意義ある展覧会及びプロジェクトを生み出すことを目指します。シャルジャ・ビエンナーレや他のビエンナーレでの20年間に及ぶ経験と、国際ビエンナーレ協会の会長としての立場からも、国際芸術祭「あいち」の知名度を向上させ、世界中の多様なパートナーとコラボレーションできることを楽しみにしています」と感謝と抱負を語った。

芸術監督の選考は、国際芸術祭「あいち」の関係者などの推薦人が挙げた複数名の候補者から、組織委員会のアドバイザー会議において最終候補者を数名選定し、最終的に組織委員会会長の大林剛郎(株式会社大林組 代表取締役会長)が決定するというプロセスで行なわれた。国際芸術祭「あいち」組織委員会は、アル・カシミの選考理由として、国際的なキュレーター、ディレクターとして豊富な経験と実績を有しており、国際水準の芸術祭が期待できること、美術関係を中心とした世界的ネットワークを有しており、「あいち」のプレゼンスを高められること、海外からの新たな視点による芸術祭が期待できること、美術財団の理事長などを経験しており、適切かつ柔軟なディレクションが期待できることを上げている。

 

国際芸術祭「あいち」https://aichitriennale.jp/

 

推薦人(50音順、所属等は記者発表時)
ウンジー・ジュー(サンフランシスコ近代美術館キュレーター)
片岡真実(森美術館館長)
島敦彦(国立国際美術館館長)
ダニエラ・カストロ(インディペンデント・キュレーター/アーティスト)
ホウ・ハンルゥ(インディペンデント・キュレーター)
マーティン・ゲルマン(インディペンデント・キュレーター/森美術館アジャンクト・キュレーター)
ヨヘン・フォルツ(サンパウロ州立美術館ピナコテカ館長)
ラーナ・デヴェンポート(南オーストラリア州立美術館館長)
ルイス・ビッグス(インスティテュート・フォー・パブリック・ アート会長)

アドバイザー会議委員(50音順、所属等は記者発表時)
青柳正規(多摩美術大学理事長)
上山信一(慶應義塾大学総合政策学部教授)
建畠晢(多摩美術大学学長)
寺内曜子(現代美術作家)
山梨俊夫(地方独立行政法人大阪市博物館機構理事)

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