フィオナ・タン「ディスオリエント」2009年 作家蔵 All images: Courtesy of the artist and Frith Street Gallery, London; Wako Works of Art, Tokyo
フィオナ・タン まなざしの詩学
2014年12月20日(土)-2015年3月22日(日)
国立国際美術館
http://www.nmao.go.jp/
開館時間:10:00-17:00(金曜は19:00まで)入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、1/12は開館、1/13は閉館)、12/29-1/3
国立国際美術館では、イメージと記憶の関係性を考察する詩的な映像作品で知られるフィオナ・タンの初期から近年までの代表作を紹介する展覧会『まなざしの詩学』を開催する。展覧会担当は、中井康之(国立国際美術館主任研究員)。
フィオナ・タンは1966年プカンバル(インドネシア)生まれ。中国系インドネシア人の父とスコットランド系オーストラリア人の母の間に生まれ、幼少期をオーストラリアで過ごす。88年にオランダへ移住し、現在はアムステルダムを拠点に活動している。本展で出品される初期の代表作「興味深い時代を生きますように」(1997)は、そのような彼女の出自を探る映像作品で、自らをしばしば「真の異邦人」と称するタンの原点ともいえる作品であり、彼女の作品をポストコロニアリズムの文脈から解釈する傾向を強めるものとなった。その後、アイデンティティの探求から、そのアイデンティティをつくりあげる記憶へとテーマを推移させていったタンは、水の流れと女性の生活を対比的に見せることで人の記憶を隠喩した「ライズ・アンド・フォール」(2009)、マルコ・ポーロの旅行記『東方見聞録』を題材に人類の文化的記憶を扱った「ディスオリエント」(2009)を第53回ヴェネツィア・ビエンナーレのオランダ館で発表した。
Above: フィオナ・タン「興味深い時代を生きますように」1997年 作家蔵
Below: フィオナ・タン「インヴェントリー」2012年 作家蔵
本展では、上述した3点のほか、イギリスの建築家ジョン・ソーン卿(1753-1837)が蒐集した考古学資料や骨董品を、6つの技術(35ミリフィルム、16ミリフィルム、スーパー8、8ミリフィルム、ディジタル・ヴィデオ、ヴィデオ8)で記録した映像作品「インヴェントリー」(2012)や、アナログからディジタルへと主流の記録メディアが急速に移動する20世紀の終わりに異なる記録メディアを用いて制作した「リフト」(2000)、動画によるポートレイトを主題とした「プロヴナンス」(2008)を紹介する。また、初期の代表作でタン自身のイメージ論が凝縮された「影の王国」(2000)は、展示室にて「興味深い時代を生きますように」と交互に上映される。現在に至るまでのタンの制作活動における主要なテーマを扱ったこれら2本の初期映像作品は、他の作品を理解する上で重要な作品と位置づけられるだろう。
会期中には、フィオナ・タン自身のアーティスト・トークや学芸員によるギャラリー・トークが予定されている。
関連イベント
フィオナ・タン アーティスト・トーク
2014年12月21日(日)14:00-
会場:国立国際美術館 地下1階講堂
定員:130名(無料)逐次通訳付
※当日10:00から整理券を配布
フィオナ・タン「鏡の間」(2013年10月掲載)