from/to #5 早川祐太

from/to #5
2009年7月16日(木)〜8月8日(土)

「小さな魅力を持った小さな声と対話しながらそれらの声に従い彼らを構成していくと、その小さな声はしだいに共鳴し合い、ある瞬間から私を離れて踊り始める。そこで起こったりすることは、凝視すればするほど拡散していき、どんどん私から離れていく。確かだと思えるものはゆっくりとゆっくりと(一瞬にして)拡散しつづけ次第に空間に溶け込んでいく。なくなるのではなく確かにそこに存在するのだけれども、そこに残るのは意識の中に残ったかすかなイメージと自分と彼らを構成する物体。

そのイメージを紡ぎ合わせて何かを生もうと試みるが、それは何も生み出さないということを同時に知ってしまうし、そんなことは必要ない事だと感じさせられる。それは決して私が取り残されていっているという事ではなく何かに包み込まれていくような感覚に近い。何かに満たされたような場所。それはそのままにして、その身を任せ、彷徨ってみる。凛とそこにいるはずなのにその所存が確認しきれないもの。対面しているのに背後から見つめられているようなそんな存在があるのかもしれない。

彼らを生み出した私が彼らに包み込まれた瞬間、そこには何かで計れるような存在はなくなっているのだと思う。」

早川祐太は、重力や表面張力など、普段私達が意識せずになんとなく過ごしている「現象」を取り上げ、再構築してアートとして提示しています。
追求された繊細さとその空間に漂う気配は鑑賞者の知覚と感覚を研ぎすまし、そこから自らに立ち返りその意味を問うことに導くでしょう。

[早川 祐太]1984年岐阜県生まれ。
2008年武蔵野美術大学彫刻学科卒業。武蔵野美術大学修士課程造形学部彫刻学科在学中。
主な展覧会に「plastic trees/ceramic girl」(2008, CAMP/Otto Mainzheim Gallery, 東京)、「アートプログロラム青梅 ― ポストシアター」(2008, 青梅市街, 東京)、「Re:Membering-The Next of Japan」(2009, Alternative Space LOOP, ソウル)、「”NO FUTURE”, NO FUTURE」(2009, Art Center Ongoing, 東京)

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