©都築響一 秘宝館
『神は局部に宿る』都築響一 presents エロトピア・ジャパン展
2016年6月11日(土)-7月31日(日) 8月7日(日)※会期延長
アツコバルー arts drinks talk
http://www.atsukobarouh.com
開廊時間:14:00-21:00(日曜、月曜は11:00-18:00)
休廊日:火
入場料:1,000円
東京・渋谷のアツコバルー arts drinks talkでは、「編集者」の枠に収まらない独自の視点での活動で知られる都築響一による展覧会「『神は局部に宿る』都築響一 presents エロトピア・ジャパン展」を開催する。
都築響一は1956年東京都生まれ。雑誌「POPEYE」や「BRUTUS」の編集に創刊時から携わる。以来、フリーランスの編集者として、現代美術、建築、写真、デザインなど幅広い分野での執筆、編集活動を続けている。93年に東京の若者の居住空間を撮影した『TOKYO STYLE』(京都書院)を刊行、96年に発表した日本各地の奇妙な場所を巡った『ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行』(アスペクト)で、翌97年に木村伊兵衛写真賞を受賞した。これまでに多数の著書や写真集を発表。最新刊は『圏外編集者』(朝日出版社、2015)。また、2012年1月から会員制の有料メルマガ『ROADSIDERS’ Weekly』を毎週水曜日に配信中。
本展では、秘宝館やラブホテル、イメクラ、ラブドールといった都築が長年取材してきた、さまざまな「エロ」を写真や秘宝館コレクションとともに展示する。
©都築響一 オリエント工業のラブドールより
日本を訪れる外国人観光客は、氾濫する性的イメージにいきなり圧倒される。通りにはみ出す風俗看板に、路傍でチラシを配るメイド少女に、DVD屋のすだれの奥に、コンビニの成人コーナーにあふれ匂い立つセックス。そしてハイウェイ沿いに建つラブホテルの群。
この息づまる性臭に、暴走する妄想に、アートを、建築を、デザインを語る人々はつねに顔を背けてきた。超高級外資系ホテルや貸切離れの高級旅館は存在すら知らなくても、地元のラブホテルを知らないひとはいないだろうに。現代美術館の「ビデオアート」には一生縁がなくても、AVを一本も観たことのない日本人はいないだろうに。そして発情する日本のストリートは、「わけがわからないけど気になってしょうがないもの」だらけなのに。
ラブホテルもイメクラも秘宝館も、その作り手たちは、自分がアートを作ってるなんて、まったく思っていない。彼らが目指すのはただ、自分と受け手の欲望と妄想をもっとも完璧に満足させる装置である。性欲と金銭欲とを両輪にドライブしつづける、そんな彼らのクリエイティヴィティの純度が、いまや美術館を飾るアーティストの「作品」よりもはるかに、僕らの眼とこころに突き刺さってくるのはどういうことだろう。アートじゃないはずのものが、はるかにアーティスティックに見えてしまうのは、なぜなんだろう。
さげすまれ、疎まれることはしばしばでも、敬意を払われることは決してないまま、それらはひそかに生き延び、いつのまにか消えていく。
日出づる国のブラインドサイドに響く、その歌が君には聞こえるだろうか。
都築響一(本展プレスリリースより)
Both:©都築響一 ラブホテルシリーズより
ART iT Archive
都築響一「ニッポン国デザイン村」