ヨシュア・オコン:所有について @ アサクサ


ヨシュア・オコン「Oracle」2015年 © Yoshua Okón

ヨシュア・オコン:所有について
2016年5月19日(木)-6月19日(日)
アサクサ
http://www.asakusa-o.com/
開廊時間:12:00-19:00(木曜は19:00-20:00)
休廊日:月、火、水、金

アサクサでは、ドキュメンタリーの手法と脚本に基づいた演技、即興を織り交ぜて、周縁化されたコミュニティに分け入り、労働や権力、その正当性を考察する作品で知られるメキシコシティ出身のアーティスト、ヨシュア・オコンの個展『ヨシュア・オコン:所有について』を開催する。

ヨシュア・オコンは1970年メキシコシティ生まれ。モントリオールのコンコルディア大学を1994年に卒業。同年、同じくメキシコシティ出身のミギュエル・カルデロンとともに同地に現代美術を扱う展示スペース「ラ・パナデリア」を設立。その後、カリフォルニア大学ロサンゼルス校でMFAを取得。以来、『メキシコ・シティ:身体と価値の換金レート』(ニューヨーク近代美術館PS1およびクンストヴェルケ、ベルリン、2002)、『順応行動』(ニューミュージアム、2004)、『異国語で笑う』(ヘイワード・ギャラリー、2008)、第10回光州ビエンナーレなどに参加。日本国内では、2014年に倉敷芸術科学大学内および同市にある加計美術館で個展を開催している。また、今年6月にチューリッヒで開幕するマニフェスタ11への参加も決定している。

アサクサでは本展に先立って、アートフェア東京のブース内で『ヨシュア・オコン:所有について(第1部)』を開催。オコンのサンティアゴ・シエラとの共作「The Toilet」(2016)とレイモンド・ペティボンとの共作「Hipnostasis」(2009)の2点を紹介している。

本展では、オコンの所有をめぐる考察を土地や領土に向け、アメリカ合衆国との国境を越えたグアテマラ移民を取り上げた近作2点を紹介する。「Octopus」(2011)は、1960年から96年まで続いたグアテマラ内戦を当時のゲリラ戦闘員によって再現した映像作品。かつては敵対する部隊として戦った両者も、いまは異国で不法滞在者となり、日雇い労働の仕事を待つ同一グループの一員であり、撮影は彼らが毎日職を待つロサンゼルス郊外のホームセンターの駐車場という、郊外ののどかな環境の中で行なわれている。「Oracle」(2015)では、同伴者のいない児童の密入国受け入れに対して抗議活動を展開するアリゾナ州の極右団体を取材する一方で、作品に参加する子どもたちが米国海軍の賛美歌のパロティを通じて、グアテマラ経済へのアメリカ合衆国の侵攻に対する批判を歌っている。実在する多国籍企業に由来するタイトルを持つ両作品は、アメリカ合衆国国内における公的機関と民間企業との癒着を指摘しながら、周辺国の状況悪化をまねく新自由主義経済の功罪を問うている。

アートフェアでの開催との二部構成となる本企画は、「何かを所有しているという意識はどのような力学を生んでいるのか」という疑問を投げかけるとともに、芸術が社会へのさらなる関与を求めるとき、アートコレクターは文化圏を超えたどのような先導的役割を担うのかを問いかける。


ヨシュア・オコン「Octopus」2011年 © Yoshua Okón

ヨシュア・オコン:所有について
2016年5月12日(木)-5月14日(土)
会場:アートフェア東京(ブース S01-9)[東京国際フォーラム内]
企画:アサクサ、協力:SCAI THE BATHHOUSE
https://artfairtokyo.com/2016

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