セントラルパビリオン Photo: ART iT
2015年5月9日から11日22日まで、第56回ヴェネツィア・ビエンナーレが開催される。今回より、オープニングが約1カ月前倒しになり、それに伴い開催期間も1カ月長くなった。
企画展のアーティスティックディレクターは、ドクメンタ11をはじめとする企画で知られ、現在はミュンヘンのハウス・デア・クンストのディレクターを務めるナイジェリア出身のキュレーター、オクウィ・エンヴェゾー。企画展には、53カ国から136人/組のアーティストが参加。そのうち、石田徹也を含む89人/組がヴェネツィア・ビエンナーレ初参加となる。
エンヴェゾーは今回の企画展のテーマに「All the World’s Futures(すべての世界の未来)」を掲げ、さらに、「Gerden of Disorder(無秩序の庭)」、「Liveness: On Epic Duration(ライブ:叙事詩が持続する時間)」、「Reading Capital(資本論を読む)」という3つの交差するレイヤーを設定している。会場では、各レイヤーの交差を具現化するものとして、空間および時間を使うという観点から本展のためにコミッションされたパフォーマンス作品が際立っている。会期中、セントラルパビリオンの中心部に特別に設置されたアリーナや、アルセナーレで継続的にパフォーマンスが行なわれる。アリーナでは、アイザック・ジュリアンがディレクションした『資本論』の朗読や、ジェレミー・デラーが企画した、労働者の唄を歌うもの、ジョアナ・ハッジトマス&ハリール・ジョレイジュによる未現像の写真を使ったパフォーマンスが、また、アルセナーレでは、ジェニファー・アローラ&ギレルモ・カルサディーヤによる「In the Midst of Things」など、いずれも新作が発表されている。同作品は、ジョン・ミルトンの『失楽園』を元につくられた(フランツ・ヨーゼフ・)ハイドンの作曲したオラトリオ「天地創造」の台詞を再構成し、新たにそのテキストに合わせた曲を作曲家のジーン・コールマンに依頼して制作、それをアカペラグループ、ヴォックス・ノーヴァ・イタリアが歌うパフォーマンス。(第56回ヴェネツィア・ビエンナーレ、企画展参加アーティストリスト)
ジェニファー・アローラ&ギレルモ・カルサディーヤ「In the Midst of Things」(2015)Photo: ART iT
国別パビリオンの参加は、88か国。直前になって、ケニア、コスタリカが国を代表するにふさわしくないとの理由で参加が見送られたが、モザンビーク、グレナダ、セーシェル、モーリシャス、モンゴルが初参加、フィリピン、エクアドル、グアテマラがそれぞれ約半世紀ぶりの参加となった。(第56回ヴェネツィア・ビエンナーレ各国代表)
日本館の展示は、塩田千春が18万本の鍵を使用したインスタレーションを制作。自然光と赤い糸、古い鍵のコンビネーションが独特の空間を創り出している。
塩田千春「掌の鍵」(2015)Photo: ART iT
第56回ヴェネツィア・ビエンナーレ
2015年5月9日(金)-11日22日(日)
http://www.labiennale.org/
過去収録インタビュー
アイザック・ジュリアン「グローバルではなく、ローカルを繋げて」