The Republic of Armenia, Armenity / Haiyutioun. Contemporary artists from the Armenian Diaspora. 56th International Art Exhibition – la Biennale di Venezia, All the World’s Futures. Photo by Sara Sagui. Courtesy by la Biennale di Venezia
2015年5月9日、第56回ヴェネツィア・ビエンナーレの金獅子賞及び各賞が発表された。国別パビリオン部門ではアルメニア館、企画展参加アーティスト部門ではエイドリアン・パイパーがそれぞれ金獅子賞を受賞した。
サン・ラザロ・デリ・アルメーニ島を会場とするアルメニア館は、キュレーターのアデリーナ・フォン・フュルステンベルクが掲げた「Armenity / Haiyutioun. Contemporary artists from the Armenian Diaspora」というテーマのもと、国内外で活動する異なる世代のアルメニア系ディアスポラ、16人／組の作品で構成されている。1915年のアルメニア人虐殺から100年目にあたる年に開催されるヴェネツィア・ビエンナーレを、「アルメニア人性」という概念を問い直し、その考察を現在の数多くの紛争におけるアイデンティティ、記憶、正義、和解の問題へと繋げる機会として捉え、異文化間の出会い、交流の力を示す試みが評価された。（公式ウェブサイト：http://www.armenity.net/）
企画展参加アーティスト部門で金獅子賞を受賞したエイドリアン・パイパーは、初期コンセプチュアル・アーティストの代表的な存在として知られる。1960年代後半から現代に至るまで、コンセプチュアル・アートの語彙に主体性、人種やジェンダー、哲学的イメージや概念などを取り入れた実践を展開してきた。生涯にわたるパフォーマンスの実績や価値システムにおける移ろいやすい性質への着目を促してきた活動が評価された。今回は、黒板にチョークで「Everything will be taken away」と何度も書き留めた作品を含む「Everything」シリーズを発表している。
Adrian Piper The Probable Trust Registry: The Rules of the Game #1-3 (2013) 56th International Art Exhibition – la Biennale di Venezia, All the World’s Futures. Photo by Alessandra Chemollo. Courtesy by la Biennale di Venezia
そのほか、企画展に参加した若手アーティストの中から選出される銀獅子賞は、「Factory Complex」を発表した韓国出身で1969年生まれのイム・フンスンが受賞。企画展の特別表彰は、昨年他界した映像作家ハルン・ファロッキ、シリアを拠点に活動する匿名映像製作集団アブナダラ、アルジェリア出身のマッシニッサ・セルマーニ、国別パビリオンの特別表彰はジョーン・ジョナスの個展形式を行なったアメリカ合衆国館（キュレーター：ウテ・メタ・バウアー、ポール・C・ハ）がそれぞれ受賞した。
今回の審査員は、シカゴ現代美術館キュレーターのナオミ・ベックウィズ、ニューヨーク近代美術館メディア＆パフォーマンス部門チーフキュレーターのサビーネ・ブライトウィーザー、ベルヴェデーレ「21世紀館」チーフキュレーターのマリオ・コドグナート、詩人で美術批評家のランジット・ホスコテ、元光州ビエンナーレ財団理事長のイ・ヨンウの５人が務めた。
第56回ヴェネツィア・ビエンナーレ
2015年5月9日（金）-11日22日（日）
http://www.labiennale.org/
Above: Im Heung-soon Factory Complex (2014) 56th International Art Exhibition – la Biennale di Venezia, All the World’s Futures. Photo by Alessandra Chemollo. Courtesy by la Biennale di Venezia. Below: United States of America, Joan Jonas: They Come to Us Without a Word. 56th International Art Exhibition – la Biennale di Venezia, All the World’s Futures. Photo by Moira Ricci. Courtesy by la Biennale di Venezia