菅 木志雄  置かれた潜在性

菅 木志雄 置かれた潜在性

このたび東京都現代美術館では、当館のコレクションを代表する美術家、菅木志雄(1944年-)の待望の個展を開催することとなりました。1968年に多摩美術大学を卒業した菅は、「もの派」と呼ばれるこの時代の美術動向を牽引してきた作家であり、概念的思考と物質を結びつけた70年代的な試みは近年、再び注目を集め、半世紀に及ぶその一貫した活動は内外で高い評価を受けています。

石や木、金属板などを素材として空間の中に形成される菅のインスタレーションは、物質と物質を一つの空間に共に存在させることによって立ち上ってくる「風景」の生成といえます。物質が集合して存在すること、そこから生まれる相互の連関性を感性豊かに制御することで空間や物質が変容を始めます。創作行為という介入の結果により空間を活性化すること、それが菅の作品の本質にはあると言えます。

菅の作品は、現代のヴァーチャルなネットワーク社会にあってフィジカルな複雑さと実感を伴った世界との接触を求める私たちの内的欲求を反映しており、それが今日の評価に結びついています。本展は物質と身体、空間について菅作品が内包する多くの示唆に富んだ視点を、菅のコンセプトが先鋭的にあらわれた1970年代を中心に紹介するものです。新作を含むインスタレーションや平面作品、そして初公開となる制作ノートや記録映像を通して、今日、重要性を増すその思考と創造の独創的なありかたが明らかになることでしょう。

展覧会情報■■■■■
会期|2015年1月24日(土)−3月22日(日)
休館日|月曜日
開館時間|10:00‐18:00 (最終入場は17:30)
観覧料|一般1,100円、大学生・専門学校生/65歳以上 800円、中高生600円、小学生以下無料
www.mot-art-museum.jp

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